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こんばんは皆様、三頌亭店長です。今日は古書マニア向きの読物を少しご紹介いたします。のっけからなんですが、古書とミステリーを絡めたものというのが微妙に不得手です(笑)。なぜかというと少し説明しずらいのですが、ただでさえ物欲むきだしのマニアの世界に殺人事件というのが余りにも殺伐としているように感じるからでしょう。ミステリのーの余り絡まない愛書家小説というものが意外と少ないからかもしれません。とまあ余計な説明はいいとして関係のないミステリファンの方はなんかヘンな世界のミステリとしてお楽しみになればよいわけですね。

まずは二階堂さんの「稀覯人の不思議」です。元手塚ファンクラブの会長さんだけあって随所に手塚本のトリヴィアがちりばめられています。わたしはマンガ本のほうはそんなによく知っているわけではないので、結構面白かったです。また絶版マンガマニアの擬化のぐあいが程よくて笑えます。殺人事件は起こるのですがそれほど殺伐とはしていないのでまずまずに面白く読めるとは思いますが、やっぱり古書マニア向きでしょうね。

つぎは意外な珍品、森真沙子さんの「快楽殿」です。澁澤・生田ファンは読めば面白いと思います。作品中にはあからさまにわかるモデルがたくさんあってこれが傑作です。とくに生田耕作をモデルにしたと思しき、フランス文学の大学教授というのが傑作で、いいのかこんなの書いて・・とか思ってしまいました(笑)。他にアス○○テ書房の主人とか実物を知っている方には結構笑える傑作な作品だと思います。残念ながら完全マニア向きです。

出版社紹介など

森真沙子「快楽殿」
「昭和三十年代初め、あらゆるタブーに挑戦し耽美と贅のかぎりを尽くした限定版豪華雑誌が話題となった。しかし、創刊から6号を数えて、雑誌『快楽殿』はあっさりと姿を消した。“幻の”といわれるゆえんである。盛岡でオンライン書店を営む矢城は、東北財界の重鎮・漆原より、『快楽殿』の6号を入手するよう依頼を受けた。数少ない手がかりを追う矢城を待ち受けていたのは、悪徳ブックハンターなど稀覯本を取り巻く闇の世界。そしてなによりも、『快楽殿』そのものが大いなるミステリーなのであった!傑作長編サスペンス。」

二階堂黎人「稀覯人の不思議」
「手塚治虫愛好会の会長が自宅の離れで殺され、貴重な手塚マンガの古書が盗まれた。しかも、その部屋は完璧なる密室に仕立てられていた。犯人は、やはり手塚マニアなのか?また、どんな方法で密室を創り出したのか?愛好会の一員である大学生・水乃サトルは、持ち前の頭脳と博識で、真犯人を追いつめてゆく、鮮やかな論理とトリック!スリリングな傑作長編。」