
さて大倉崇裕さんの「生還」は山岳捜査官・釜谷亮二の活躍する連作短篇ミステリです。4篇の短篇を収録していますが、そのうち3篇は雑誌「山と渓谷」に掲載されただけあって登山シーンは本当に過不足がないです。ミステリとしてはやや薄味といったところですが、それでも私にとってはなかなか悪くないです。ただやはり山を舞台にしたミステリというのはなかなか難しくて今までこれというものに出会ったことがありません。全てサスペンス小説か中間小説のようなものばかりです。この「生還」にかんしても通常ミステリとすれば動機などの点で一般に理解し難いところがあったりといろいろ瑕はあります。ただ最近、山岳小説の書き手として新しい人が出てきてないので個人的には期待するところが大きいです。次は「聖域」を読んでみたいと思います。








