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戦前の古書には総木版装の本が時々あって、私の目を楽しませてくれます。日本の伝統色には多数の中間色があって、これらは現代の装丁工芸ではあまり使われない色が多く、いろいろな発見があります。現代は原色のポスターカラーの時代、これでは書店で目立たず売れないのでしょう(笑)。

北原白秋の有名な歌に「城ヶ島の雨」というのがあって、学校の音楽の時間に習います。こんな歌詞ですね。

「雨はふるふる 城ヶ島の磯に 利休鼠の 雨がふる

雨は真珠か 夜明けの霧か それともわたしの 忍び泣・・・」

私は小学生のころ習ったのですが、長い間、憶え違いをしていました。「利休鼠の忍び泣」と憶えてしまい「離宮」で「鼠」が雨の日にチューチュー泣いているのだと、高校生くらいまでそう信じていました(爆)。「離宮鼠」ってどんな鼠だろうとか・・(笑)。

抹茶の色を千利休にちなんで「利休色」といいますが、「利休色」のかかったねずみ色を「利休鼠」といいます。日本の伝統色のひとつです。写真は籾山書店の胡蝶本のひとつ小山内薫「鷽(うそ)」(大正2)です。これは何色でしょうか?鶯色(うぐいすいろ)、鶸色(ひわいろ)、淡萌黄(うすもえぎ)あたりでしょうか?。装丁は橋口五葉のデザインによります。胡蝶本は取り立てて言う事はないのですが、比較的軽く、持ちやすくて読みやすい本です。