2019年02月

ロバート・マラスコ『家』 Burnt Offerings (1973)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。この前、Valancourt Booksのカタログを見ていたら思い出したので紹介いたします。ロバート・マラスコの「家」であります。本格的なゴシックホラーの典型的な作品ですね。幽霊屋敷ものではマイルストーン的作品だと思いますが、現在では忘れ去られたベストセラーの感があります。「意志を持つ家」というところがこの作品のモダンホラーとしてのオリジナリティだろうと持っております。簡単なあらすじは下のコピーを見ていただくとして・・・、「ひと夏の経験」幽霊屋敷版ですw。また、大筋のプロットをほぼ踏襲した、「ひと冬の経験」幽霊屋敷版がこの作品の5年後に出たキングの「シャイニング」です。季節に合わせてお読みいただければぐっと興が乗ることと思いますw。以前はハヤカワ文庫のモダンホラーセレクションに翻訳が入っていたと思いますが、残念なことにいまは品切れです。古書にてお読みください。

ところでこの作品は映画化もされてまして、そこそこ出来が良かったと思います。これはデジタルリマスターされた版が出ているそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=98EcIOUKP1g
この後観たキューブリックの「シャイニング」のインパクトが凄かったので、忘れてました。ただ、プールのシーンからラストあたりのことをよく憶えていて、そこはかとなくラストが怖い作品でしたね。


出版社紹介
「暑苦しく、騒がしいニューヨークを逃れて、ひと夏を郊外の別荘で快適に暮らしたい…。誰もがいだく望みを、ロルフ一家は実現することができた。美しい自然にかこまれた、壮麗で古風な屋敷、しかも、賃貸料は格安。ただ、ひとつだけ奇妙な条件があった。「家」の所有者の兄妹が留守のあいだ、老母の食事の用意をして欲しい、というのだったが…骨薫品がみちあふれた壮重な屋敷で次々と起こる奇怪なできごと。高まるサスペンス、蝕む狂気。やがて恐怖の幕は開いた!」

カール・エドワード・ワグナーのホラー小説13選

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こんばんは、皆様、三頌亭です。E・H・ヴィシャックの「メドゥーサ」を紹介したついでに読んだ本のお話です。「メドゥーサ」の巻末に載せられていたワグナーのホラー小説のリストをアップしておきます。このリストはオールタイムベストといった性格とは少し違って、あまり知られていない作家に焦点の当てられたベスト13になっております。
https://en.wikipedia.org/wiki/Talk%3AKarl_Edward_Wagner

邦訳のない作品が多いのですが、今はいい時代になりましてw、kindleなどのebookでよければすべて読むことができるでしょう。リスト自体は80年代に発表されたものなのでホラー小説としては知られざるクラッシックスといったところでしょうか?。個人的にはC・R・マチューリンの「メルモス」なんかが入っているのが面白いです。ところでこのリストの中からトップのマイケル・アーレンの「"Hell," Said the Duchess」を読んでみました。これ「グリーン・ハット」のマイケル・アーレンなんですよね。意外というかこんなの書いてたのかという驚きがあります。

この作品は「ジェーン・ザ・リッパー」といいますか、女性のシリアル・キラーのお話なんですね・・・「どこが超自然?」と思ったのですがラストにコピーに従えば「誰も予想しえない結末」を持ってきています。リストの他作品に何故「火刑法廷」と「堕ちる天使」が入っているかよく考えれば結末がネタバレしてしまいそうですが、・・・・という作品です。このテーマの最初の作品トーマス・バーク「オッターモール氏の手」に敬意を表して題名は「伯爵夫人の手」とでもしておきましょうw。
"Hell," Said the Duchess - Michael Arlen
https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.209057

さて、次はたまたまよんだものです小林泰三「C市からの呼び声」です。なかなか元気があってよろしいです。映像化すればかなり面白いのではないかと思います。出版社は創土社です。なんせ「クトゥルー・マシマシ」ですからw。ご参考までに1971年出版の創土社「ラヴクラフト傑作集」の写真をアップしておきます。このころはラブクラフトの本は創元文庫の傑作集2冊と写真のこの本だけでした。いまの羽振りをだれが予想しえたでしょうか?ww。

上遠野浩平「ブギーポップは笑わない」

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こんばんは、皆様、三頌亭アニメ館です。いま放映中のアニメです。原作、上遠野浩平さんの「ブギーポップは笑わない」のアニメ化作品。以前のアニメ化作品(「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」)とは異なり、原作中の主なエピソードのアニメ化作品となっております。

三頌亭は上遠野作品は意外に好きなのでありますw。初作の「ブギーポップは笑わない」が出てからもう20年以上がたってしまったので、いささか古くなってしまっているところはありますが、特定の年代層には好きになってもらえるのじゃないかと思いまして改めて持ち出してきた次第です。アニメ化作品はいい導入偏となってくれることを期待しております。

E・H・ヴィシャック「メドゥーサ」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日はE・H・ヴィシャックの「メドゥーサ」です。「紫の雲」に続きゴランツ社の叢書の未訳作品ですね。実はこれ読みたいと思ったことがあって、適当な版を探してみたのですがペーパーバックとかになってないし、古書のほうは結構な値段だったので放置してました。そのうち限定版で復刻されたのですが、値段が・・・(^^;)。というわけで海外のスポイラー(ネタバレ)サイトを見るとご丁寧に一章づつ要約してくれてる方がいてこれを読んでしまいましたw。なので大筋はわかっていたのですが、やっぱり楽しみにしていた本です。

ところでコピーの「悪夢の『宝島』か、幻覚の『白鯨』か?」っていいですね~。私は幻覚の『白鯨』でしょうか?。とはいうものの、友人のリンゼイ(「アルクトゥールスへの旅」)の影響が強いです。コリン・ウィルソンの「不思議な天才 -デイヴィッド・リンゼイ論」にヴィシャックとウィルソンの会話が少し載せられていてこれも興味のある人には参考になると思いますのでお勧めしておきましょう。


出版社紹介
「孤独な少年は船出する――。怪異が潜む未知なる海へ!。悪夢の『宝島』か、幻覚の『白鯨』か?
コリン・ウィルソンを驚嘆させた謎と寓意に満ちた幻の海洋奇譚が、幻想文学史の深き淵より、ついに姿を現す!。父を亡くした少年ウィリアムは数々の苦難を越え、船主ハクスタブルと共に、その息子を捜す航海へ。 秘密を抱えた船主。そして目指す海域には、何が潜むのか?」

E・H・ヴィシャック E. H. Visiak
本名エドワード・ハロルド・フィジック。1878年、ロンドンに生まれる。電信会社に勤務しつつ詩作を続け、第一次大戦では良心的兵役拒否者として従軍せず、在野で教鞭を執る。詩集やミルトンやコンラッドについての評論のほか、友人デヴィッド・リンゼイの幻想小説『アークトゥルスへの旅』に触発され、本書『メデューサ』など、怪奇幻想の要素の濃い三篇の長篇小説を遺している。1972年歿。
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