2018年06月

ジェイムズ・ジョイス 「ダブリナーズ」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日のお題は写真の本・ジェイムズ・ジョイス 「ダブリナーズ」です。翻訳は柳瀬尚紀氏で帯に従えば名訳だそうです。この作品、三頌亭はいままで2度ほど読んでおりまして、その時の翻訳は安藤一郎氏と高松雄一氏のものでした。今回の柳瀬尚紀氏の翻訳が名訳かどうかは三頌亭にはわかりませんが、非常に苦労してあることはよくわかります。ご奇特な読者のために英文テキストのリンクを張っておきますので、興味のある方はご確認ください。

さて、ジョイス 「ダブリナーズ」でありますが、一言でいうと都市文学の一種といっていいでしょう。たしかに一篇づつジョイスなりの工夫が凝らされてはいるのですが、全体として描きたかったものはダブリンという名の都市ではないかと思います。柳瀬尚紀氏の翻訳には一篇ごとに面白い写真が挟まれておりまして、これが秀逸です。さらに私見を言えば「日本人向きに小味のきいた短編集」ではないかと思ってきました。また「ユリシーズ」や「フィネガンズ・ウェイク」の門構えに恐れをなしてすごすご引き返した来た方にもおすすめのジョイス作品であります(笑)。皆様いかがでしょうか?


出版社紹介
『アイルランドの首都ダブリン、この地に生れた世界的作家ジョイスが、「半身不随もしくは中風」と呼んだ20世紀初頭の都市。その「魂」を、恋心と性欲の芽生える少年、酒びたりの父親、下宿屋のやり手女将など、そこに住まうダブリナーたちを通して描いた15編。最後の大作『フィネガンズ・ウェイク』の訳者が、そこからこの各編を逆照射して日本語にした画期的新訳。『ダブリン市民』改題』

Internet Archive「Dubliners」 by Joyce, James
https://archive.org/details/dubliners00joyc_8

梅崎春生「赤帯の話」&シュニッツラー(森鴎外訳)「みれん」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。また写真をアップしたままほおりっぱなしの状態で申し訳ございません。というわけで今回は思い出のグルメ小説を紹介いたします。梅崎春生「赤帯の話」であります。この短編、昔、中学の国語の教科書に採用されてたことがありまして、私と同年代の方にはおなじみだという方もいるでしょう。舞台は終戦後のシベリア捕虜収容所のお話なのですが、飢餓感が半端ないですw。そして最後に出てくる黒パンとシャケの切り身のうまそうなことといったら・・(^^;)。三頌亭は4時間目が国語の時間だと先生の話などそっちのけでこの短編ばかりを繰り返し読んでいた記憶があります。写真はこの短編を収録した「黒い花」です。何十年ぶりかにたまたま手にした古書で出会うとは思ってみなかったのでずっと手元に持っておりました。

さて次はデジタルコレクションから鴎外のシュニッツラー「みれん」です。鴎外の著作もだいぶ読んでしまったのですが、まだ読んでいなかったものの一つです。シュニッツラーという作家は微妙な心理のひだを描くのが大変上手な作家で、このあたりがニュアンスを大事にする日本人の好みに合致するのでしょう。鴎外をはじめ現在までたくさんの日本語訳があります。また、最近ではキューブリックがシュニッツラーの原作をもとに「アイズ ワイド シャット」を撮ったのには驚かされました。鴎外の翻訳は面白くて舞台がヨーロッパなのにまるで東京だといっても通用するような翻訳です。ご興味の方はご一読を・・・いかがでしょう?



デジタルコレクション・シュニッツラー(森鴎外訳)「みれん」
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/947400
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