2018年05月

『神西清全集』(文治堂書店)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日はここのところ読んでいってる文治堂書店の神西清全集です。ちびちび読んでいって詩作&小説の4巻分を読み終わりました。しかしこの本まだ現役だったのですね(驚)。刊行が始まったのが昭和30年代なんですが、全6巻刊行が終わったのが昭和60年はいってからという代物です。あと評論が2巻分残ってるんですがまあぼちぼち読んでいこうと思ってます。それにしてもこの人の作品は文章がすげええ!です。三島が絶賛するのも仕方がないですかね。翻訳家として有名だったのであまり作品を作らなかったのが残念です。ところで月報に掲載さえている座談会のメンツがすごいです。これも面白かったです。日夏節、炸裂でございます(笑)

『雪の宿り 神西清小説セレクション』より
「チェーホフの名訳で知られる昭和の文学者神西清。彼の美しい日本語による創作世界。
三島由紀夫は、「雪の宿り」を「本集きっての傑作である」と評価し、(中略)中村真一郎は、「応仁の乱の時代を扱つた、これは完璧な中篇である」と最も高く評価している。この評価は、今日においても変わるまい。神西清の小説を読まれたことのない読者は、この小説から読むことを薦める。神西清の最良の文学(小説)に出会うことができるからである。(「解説」より)
時は応仁の乱の真只中、雪の降りしきる晩に、連歌師貞阿がゆかりの寺に一夜の宿りを求めた。寺主に促され、貞阿は動乱の世で体験した出来事について語り出す…。応仁の乱を題材とし、いつの世も変わらぬ戦争の恐ろしさを達観した人生観で描いた壮大な歴史小説「雪の宿り」の他、未発表作「水と砂」、病から恢復する少女の心理経過を描いた「恢復期」、著者の自伝的小説ともいえる「母たち」「少年」、日本に置かれたJ国の商務館を舞台とした国際小説「灰色の眼の女」など、代表作10篇を収録。巻末には、編者による解説、作品解題、神西清略年譜を掲載。 」

草野原々「最後にして最初のアイドル」 (ハヤカワ文庫JA)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日はめずらしく新刊書から紹介いたします。草野原々さんの「最後にして最初のアイドル」です。この作品集は簡単にいうとオラフ・ステープルドンの作品をオタク・カルチャーで本歌取りしたパロディ小説です。表題はもちろんステープルドンの「最後にして最初の人類」からです。内容としては「スターメイカー」あたりでしょうか?。注目すべきはその饒舌ぶりで「あんた、ヘンリーミラーかい?」というくらいのものですね(笑)。壮大な年代記SFが好きな方は読んでみるとよろしいです。驚くこと請け合いでございます(笑)。

出版社紹介
「SFコンテスト史上初の特別賞&「神狩り」以来42年ぶりにデビュー作で星雲賞を受賞し、SF史に伝説を刻んだ実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSFの表題作をはじめ、ガチャが得意なフレンズたちが宇宙創世の真理へ驀進する「エヴォリューションがーるず」、異能の声優たちが銀河を大暴れする書き下ろし声優スペースオペラ「暗黒声優」の3篇を収録する、驚天動地の草野原々1st作品集!  解説:「げんげん♥SF道」前島賢」

ソードアート・オンライン オーディナル・スケール

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こんばんは、皆様、三頌亭です。周回遅れの「ソードアート・オンライン オーディナル・スケール」です。実は原作のほうは途中でほおりっぱなしでさすがに全部読んではおりません。20巻のうち15巻ぐらいまでです。というわけで劇場用アニメですw。出来はというとまああまあ。アスナさんがヤンデレ風で難病もののような感じがすこしステロタイプでしょうか?。しかし、全編にでてくるVRマシンがおもしろいですね。それをちこっと現実にリンクさせてみたところが特許もののおもしろさといったところでしょう。ご興味の方はいかがでしょうか?。


あらすじ『ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』
「2022年。天才プログラマー・茅場晶彦が開発した世界初のフルダイブ専用デバイス≪ナーヴギア≫――その革新的マシンはVR(仮想現実)世界に無限の可能性をもたらした。
それから4年……。
≪ナーヴギア≫の後継VRマシン≪アミュスフィア≫に対抗するように、一つの次世代ウェアラブル・マルチデバイスが発売された。
≪オーグマー≫。
フルダイブ機能を排除した代わりに、AR(拡張現実)機能を最大限に広げた最先端マシン。
≪オーグマー≫は覚醒状態で使用することが出来る安全性と利便性から瞬く間にユーザーへ広がっていった。
その爆発的な広がりを牽引したのは、≪オーディナル・スケール(OS)≫と呼ばれる≪オーグマー≫専用ARMMO RPGだった。
アスナたちもプレイするそのゲーム に、キリトも参戦しようとするが……。」

図書館へ行こう~その2(レヴィ=ストロースの本)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。特に注目してるというわけではありませんが、こんな本も読めるよというお話です。クロード・レヴィ=ストロースはフランスの文化人類学者です。
クロード・レヴィ=ストロース「親族の基本構造」(英訳)
https://archive.org/details/TheElementaryStructuresOfKinshipLeviStrauss
因みに日本語訳のほうは新訳が出ていて、
「親族の基本構造」福井 和美 (翻訳) 青弓社 (2001/01)
https://www.amazon.co.jp/親族の基本構造-クロード・レヴィ-ストロース/dp/4787231804

出版社アオリw
「のちに構造主義と呼ばれる手法を用いて、インセスト禁忌、交叉イトコ婚などの問題解明に挑んだ古典的名著。レヴィ=ストロースの原点にして、20世紀の哲学・思想に一大衝撃を与えた野心的労作を、意欲的で大胆な新訳で待望の復刊。親族分類法、特権・禁止体系は同一の現実の、つまり当該体系の構造の、互いに不可分な側面をなすことを明らかにする。民族学・文化人類学の古典の新訳」

昔、旧訳で読んだのですが、とにかく膨大な婚姻制度のフィールドワークの事例があげられていてまあ圧倒されました。構造主義だとかいう小難しい哲学的なことはよくわからないのでありますが、これは婚姻制度を数学的(代数学)モデルで説明しようとした著作でそれがドンピシャ当てはまった例ではないかと個人的には納得しております(笑)。
具体的には人様のブログですが・・・
http://teenaka.at.webry.info/200611/article_27.html
http://teenaka.at.webry.info/200611/article_28.html
親族の構造が保持されていく基本的な必要条件が近親婚の禁止であって、それがこの数学的モデルの帰結としてでてくるというのが素晴らしいです。もちろんその関係式は交差イトコ婚(Cross Cousin Marriage)ではなく平行イトコ婚(Parallel Cousin Marriage)の禁止も説明することが可能です。外婚制という関係(女性の交換:レヴィストロースの用語)も数学的モデルの指し示すこととなります。
この本が出たのは戦後すぐですが、現在ではこういった手法は人文科学にたくさん取り入れられていて数理社会学といったものまであります。ところでこのような数学的定型化をレヴィ=ストロース自身がやったわけではなくてアンドレ・ヴェイユ(シモーヌ・ヴェイユのアニキ)に相談したそうです(英訳256pあたりからappendix)。こぼれ話としてはじめジャック・アダマールに相談しなのだけれどだめだったそうです。「アダマールってまだ生きていたんだ!」と妙なところで感心している三頌亭でした(笑)。

図書館へ行こう~松本泰「天鵞絨」他

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は図書館といっても国会図書館のデジタルコレクションのお話です。いろいろ理由があって、集めることを逃した古書の中で読みたい本が国会図書館のデジタルコレクションで公開になっております。今日はその中から松本泰「天鵞絨」を紹介いたします。最近ではどちらかというと探偵小説のほうがクローズアップされることのほうが多いようですが、もともとは「三田文学」系の作家でした。この本、実物はいわゆる胡蝶本でして入手するとなるとそこそこするので悩んでいたら逃してしまいましたw。よく似た作風というと水上瀧太郎なんかでして、イギリス留学とか経歴もよく似ておりまして、本人同士も面識はあるようです。ただ、水上瀧太郎より書いてることが神経質じゃないですが・・・w。随筆的な小説が多いですね。ご興味の方はどうぞ。
このように明治大正文芸で出版のデッドスポットになった本が割合多く読めますので、読み残しを楽しんでいます。現在は小山内薫の小説を読もうと思っています。(追加として参考までに三頌亭のブログで今まで紹介した矢野目源一作品が公開になっていますのでリンクを貼っておきます)。


松本泰「天鵞絨」他
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/947426
参考:松本泰作品・・・よく調べてあります。
http://iwawi.a.la9.jp/dozou/kansou2/matutaik.htm

矢野目源一作品
ド・ブレオ氏の色懺悔 レニエ著(春陽堂, 1924)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1016780
吸血鬼 (海外文学新選 ; 第11編) / マルセル・シュウオッブ 著(新潮社, 1924)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/977324
光の処女 : 詩集 矢野目源一 著 (籾山書店, 1920)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/909021
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