2018年04月

ロイ・ヴィカーズ「迷宮課事件簿」&ジュール・ヴェルヌ「氷のスフィンクス」&佐島勤「魔法科高校の劣等生 エスケープ編」&相磯凌霜「荷風余話」「荷風思出草」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。種々雑多に取り合わせたものの感想です。昔読んだものや、最近読んだものや、いろいろですね(^^;)。では行ってみましょう。

ロイ・ヴィカーズ「迷宮課事件簿」
割と有名な短編集だったのですが最近は早川さんのおかげで取り上げられない作品集になってしまいました。クイーンの序文がついておりまして、これが何気に「アツい」wです。内容は倒叙型推理の短編集となっております。したがって読者は「完璧な犯罪がなんでばれちゃったの?」の過程を楽しむことができます。大変奇抜な趣向の短編集だと思います。

ジュール・ヴェルヌ「氷のスフィンクス」
ポオ唯一の長編作品(未完?)に「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」というものがあります。この作品はきれいな終わり方でなかったため、後世の作家を刺激して続編を書かせました。その続編がジュール・ヴェルヌ「氷のスフィンクス」です。海洋冒険小説となっておりますが、秘境探検ものみたいな感じの作品です。あまり知られない南極周辺の島々も舞台になっていて、三頌亭などはその地理を確認してなるほどなどと思ったことがあります。因みにポオの本国アメリカではラヴクラフトの「狂気の山にて」が「アーサー・ゴードン・ピムの物語」にインスパイアされた作品であることはファンの方ならご存知のことでしょう。

佐島勤「魔法科高校の劣等生 エスケープ編」
えーと、結構長々と読んでいるライトノベル作品。「お兄様」の無双ぶりにひたすら感心してしまう「魔法科高校の劣等生」です。今回は力勝負だけではなく見事な政治的手腕で相手の計画を葬り去ってしまうというオマケつき。いやはやどう収拾つけるのか少し見ものですね。しかしこの作者のいろんな造語の豊富さにはあきれてしまいますw。

相磯凌霜「荷風余話」「荷風思出草」
加藤郁乎の「俳人荷風」に刺激されて読んでみた作品。相磯凌霜(あいそ・りょうそう)氏は荷風晩年の友人です。「僕は友達が少ない」荷風にとって数少ない気のおけない友人であったようです(確か荷風の葬儀はこの人が仕切っていたと以前読みました。)。つかづはなれず、いい感じの回顧録になっていて、この本でしか知られないエピソードが満載です。また、「荷風思出草」には珍しい荷風との対談が掲載されております。

以上、4点よろしくお願いいたします。



出版社紹介より

ロイ・ヴィカーズ「迷宮課事件簿」
『長い歴史を誇るスコットランド・ヤードには、他の係や課が捨てたあらゆるものを引き受けるのが役目の風変わりな課がある。たとえぱここにある、何の変哲もないおもちゃのゴムのラッパだ。これと新婚早々の花嫁が無残に撲殺された事件は、いったいどのように結 びつくのだろうか・・・偶然のきっかけと刑事たちの忍耐が、難事件を次々解決へと導いてゆく。その名も 「迷宮課」の事件簿公開!倒叙ミステリの伝統を守る短篇集。』

ジュール・ヴェルヌ「氷のスフィンクス」
『南緯49度のケルゲレン島で、ジョーリングは帆船ハルブレイン号の乗客となった。だが、船はさらに南を目指す。この“地の果ての島”の先には、氷と寒さと危険に満ち、人間の立入りを拒みつづける荒涼たる南氷洋が広がる。剛毅果断な船長に率いられ突き進むこの船は、何を捜し求めているのか…未踏の大地、南極大陸に想像の翼をはばたかせた、豪快な海洋冒険譚。幻の傑作、ここに文庫化なる。』

相磯凌霜「荷風余話」
『相磯凌霜は,孤高狷介を貫いた晩年の荷風に深く親炙した側近として知られる.荷風と凌霜の胸襟を開いた密なる交遊の記録は,荷風の実像を知る上での貴重な証言集であり,闊達洒脱な文による出色の荷風論として高く評価されてきた.相磯凌霜の荷風を巡る随想を初めて一冊にまとめる」

S・A・ステーマン「殺人者は21番地に住む」&フィリップ・マクドナルド「エイドリアン・メッセンジャーのリスト」&E・X・フェラーズ「間にあった殺人」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。以前読んだミステリーからご紹介いたします。ではいってみましょう。

S・A・ステーマン「殺人者は21番地に住む」
フランス語圏の作家らしく一発芸のバカ作・・・というのは言い過ぎかもしれませんが、三頌亭の好きな作品です。わかりやすい結末で謎も明快に晴れるのですが・・・動機は置いてけぼりというところが玉に瑕、まあ大目に見ましょうw。ステーマンの作品はいくつか翻訳されたのですが多くは絶版か品切れ少し残念です。
「殺人者は21番地に住む」あらすじ
『霧深いロンドンの街を騒がす連続殺人。犯人は不敵にも、現場に〈スミス氏〉という名刺を残していた。手がかりもなく途方に暮れる警察に、犯人の住居を突き止めたという知らせが入る。だがしかし、問題のラッセル広場21番地は下宿屋なのだ。どの下宿人が犯人なのか? 二度にわたって読者への挑戦状が挿入される、ファン待望の本格長編。』

フィリップ・マクドナルド「エイドリアン・メッセンジャーのリスト」
いきなりですが、解説の瀬戸川猛資氏に拠れば、本書は「本格ミステリの秀作ではなく、本格ミステリのパロディの秀作」ととらえるべきなのだそうです。三頌亭、実はジョン・ヒューストン監督の映画のほうを先に見ちゃったものですから、長い間積読状態の本でした。こう見るとやっぱりフィリップ・マクドナルドの特質ってシナリオライターなんでしょうか?。どちらかというとこの作品も映画むきにできてるような気がします。
「エイドリアン・メッセンジャーのリスト」あらすじ
『作家エイドリアン・メッセンジャー氏が落命した航空機事故には、何者かの意思が働いたのか? 死の直前エイドリアンが友人に託したリストの10名は照会の結果ほとんどが故人、しかも事故死を遂げているという。名探偵ゲスリンら捜査当局は11名の共通項を見いだそうと暗中模索、それを横目に邪悪な計画を推し進める変幻自在の男がひとり。』

E・X・フェラーズ「間にあった殺人」
さて、最後はエリザベス・フェラーズの作品。フェラーズの作品の多くは創元推理文庫におさめられているんですが、この作品だけハヤカワが翻訳権を持っているので取り残されている状態です。内容はというと丁寧に書かれていてまずまずの出来だと思うのですが、少しサスペンスの要素が足りないように思います。表題は素晴らしくまさに「間にあった殺人」といっていいと思います。

以上3作品いかがでしょうか?

追記:アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督「犯人は21番に住む」も紹介しておきます。

田宮俊作「田宮模型の仕事」&加藤郁乎「俳人荷風」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日のお題は写真の2冊です。まずは田宮俊作「田宮模型の仕事」です。以前、ネスコから出ていたものの増補版です。昔、学生の頃、通っていた道の近くにタミヤのプラモデル工場がありました。近くには当時は少なかったラジコンのサーキットもありました。学生時代の下宿近くの風景でよく記憶しているものは大きなガスタンクとタミヤのプラモデル工場やタミヤサーキットでした。工場の近くを通るたびに「なかを見学させてくれないかな~」とよく思ったものですが、いまだにかなえられず現在に至ります(笑)。。静岡県には田宮模型を筆頭に、フジミ模型、長谷川製作所、アオシマ文化教材社、イマイ・・・など多くのプラモデルのメーカーがありまして、プラモデルは静岡県の特産品なのでありました。因みにバンダイのガンプラ工場も静岡にあります。というわけでこの本はタミヤ二代目社長・田宮俊作氏によるプラモデル製作開発記であります。個人的にはプラモデルの金型の話と日米決戦の感すらある「スロットレーシングカー」の開発秘話の部分が面白かったです。ところで今では「田宮工場見学ツアー」のようなものも定期的に行われているようで、少しうらやましいですねw。

次は加藤郁乎の「俳人荷風」です。久々に面白い荷風関連本でした。あまり取り上げられることのない俳人としての荷風について書いたもの。同じテーマに行き当たった先人たち日夏耿之介,秋庭太郎,相磯凌霜,正岡容,邦枝完二,籾山梓月,森銑三)をとりあげていて三頌亭には特に籾山梓月(庭後)の章が面白かったです。ところで籾山梓月の句集「江戸庵句集」が国会図書館・デジタルコレクションで公開されています。読みたい方はいかがでしょう?。古書で探すと結構苦労しますので・・(^^;)。

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/924442

以上2冊の感想です。



出版社紹介
「田宮模型の仕事」
「たかが模型、されど模型。戦車のプラモデルのために東西冷戦下のソ連大使館と直談判し、車の模型を作ろうと実物のポルシェを解体してしまう。そんな本気がタミヤを世界一の模型メーカーにした!自らリンゴ箱の上で模型の図面を描いた現社長が綴る涙と笑いの奮戦記。親本に新原稿を大幅追加した増補決定版。」

加藤郁乎「俳人荷風」
「著者は、荷風がその生涯に残した約八〇〇余句の俳句を、荷風の人と文学を知る最大の鍵とする。荷風の随筆・小説・日記中の俳句を取上げて、江戸俳諧の伝統を踏まえた荷風俳句を本格的に鑑賞するそして荷風と関わり、荷風俳句を取上げた同時代の諸家の貴重な論評を紹介しつつ、さらに著者独自の知見が述べられる。俳人としての荷風を論じたのは、本書が初めてである。岩波現代文庫オリジナル版 」
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