2017年10月

野尻抱影&山口誓子「星戀」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。最近時々読み返すようになった野尻抱影の本をご紹介いたします。星の民俗学者の野尻抱影と俳人、山口誓子が「星に恋する」ことをテーマに随筆と俳句を載せたコラボ作品「星戀」です。初版は戦後すぐ鎌倉書房より出版されました。写真の「底本・星戀」は深夜叢書社版で若干の追加を収録し、ハレー彗星の接近のころ出版されたものです。外箱にプレアデスの写真をあしらってあり、俳句とエッセイの本としてはなかなかユニークなデザインになっております。

季節に応じて星を題材にした山口誓子の俳句が選ばれて、それを野尻抱影がエッセイの中で解説しでいくという形式で基本的にはどこから読んでもよいようにできております。星に興味のない方には少し退屈かもしれませんが、題材といい、内容といいまことに浮世離れした出版だとこの頃よく思うようになりました。

現在は中公文庫の1冊として再販されております。ご興味の節はそちらでよろしくお願いいたします。


出版社紹介
「星を愛し、星と星座に和名をつけた天体民族学者・野尻抱星。たびかさなる療養生活のなかで星を眺めることで慰めを得た、俳人・山口誓子。山口誓子の星の句と、それに導かれるようにして生まれた野尻抱影の随筆を収めた珠玉の随想句集。
星の和名収集研究で知られる天文民俗学者・野尻抱影、戦後の俳句界を牽引した俳人・山口誓子。星を愛し、星座の動きに子どものように心躍らせる二人が、天空を眺めながら交わしあった随想と俳句を収める。ページを繰るごとに星々がこぼれ落ちるような珠玉の随想句集。」

モース&キンボール『オペレーション・リサーチの方法』

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こんばんは、皆様、三頌亭です。特にそれほどの興味があるわけではないのですが、オペレーションズリサーチのほうでは有名な本(日科技連からの翻訳がある)なので読んでみました。ORは、第二次世界大戦中に英軍、続いて米軍により「作戦研究」として誕生しました。そのため、初期のOR適用例では軍事目的のものがほとんどだそうです。現在ではいろんなジャンルで、統計学などの数学的手法を使い、最適な条件を見つけることが多数行われています。

この本の前半部分は簡単な統計学の説明ですのでご存知の方は読む必要はないでしょう。後半は様々な適用事例が述べられています。特に日本に関係がある事例は「神風特攻からの逃避問題」でしょう。この部分はそう難しい数学が使われているわけではなく、今までの事例を船舶の回避行動に従って分類し、その障害率を算出するというものです(当時はコロンブスの卵だった)。その結果、攻撃機の侵入角度が垂直に近ければ進行方向に、水平に近ければ直角方向に逃避するのがよいことが判明しています。ただ驚くべきはその命中率で攻撃機のほぼ4割が艦船に命中するという結果です。ことの是非はともかく、現代の誘導ミサイルのようなものですから相手の被害がことのほか甚大だったことがこれらの研究の動機といってよいでしょう。

そのほかの事例としては英海軍のUボート対策があります。これはバラエティに富んだいろんな問題に数学的手法を適用した例が示されています。Uボートの攻撃に対する艦隊最適規模の決定、Uボート攻撃で損害を最大にする爆雷深度の研究、哨戒機の迷彩研究etc・・・。これらの研究は当時の最高機密でしたが、戦後はこのように公刊本に掲載されています。現代のレベルから見ればやや簡単な数学的モデルではあるものの、とことん理詰めでいこうとする意志に素晴らしさを感じます。ご興味の節は下記で読むことができますのでご覧になってはいかがでしょうか?


本文
https://archive.org/details/methodsofoperati030158mbp

閑話休題(川端康成「禽獣」のことなど)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日の作家さんは大手の人wなので三頌亭などが贅言を費やす必要はないのでありましょうが、ふと思い出したので紹介しておきます。川端康成の短編・「禽獣」であります。川端作品中の白眉あるいは名品との評価も著しい作品ですね。三頌亭は初めてこの作品を読んだ時から、すごいとは思うのですが嫌いな作品でした。特に動物好きな人は同じ気持ちになるのではないでしょうか?。本人は「できるだけいやらしくかいてやろう」ということでしたから、」三頌亭などは見事に罠にはまってしまっているくちで作者は快哉をさけんでいることでしょうww。

お話少し変わるんですが、イヌが好きな人と嫌いな人の行動がはっきり出てる記事が最近出てましたのでリンクを張っておきますw。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/12/putin-dog_a_23240723/
三頌亭のこの作品に対する好悪もこんな感じだと思っていただければよろしいと思います。まああまり文章を無視してテーマ性ばかり言っても仕方がないのですが面白いので記事にしておきます。余談ですがほかにも川端作品には「眠れる美女」「みづうみ」などトンでも作品目白押しですね
三頌亭がいままで読んだ川端作品は全集の約1/3ぐらいでしょう。どうも心底好きにはなれない作家なのですが、作品には不思議な牽引力があってできれば残りも読みたいのであります。しかし・・・もう全集を置く場所がないです(泣)。


川端康成「禽獣」
https://ja.wikipedia.org/wiki/禽獣_(小説)

カーター・ディクスン「仮面荘の怪事件」他

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今回はたまたま見つけたものをご紹介いたします。まずはカーの作品、戦後7年ぐらいのものです。以前、早川HPBで「メッキの神像」として出版されたものを読みました。創元推理文庫の「仮面荘の怪事件」は新訳でした。ヘンリー・メリヴェール卿ものでカー中期の作品です。もともとフェル博士もの短編『軽率だった夜盗』がオリジナルなのでいささか小ネタ感は否めないのでありますが、まずまず適当に楽しめる作品です。表題は「The Gilded Man」でありまして、内容と合わせると「メッキの神像」というのがぴったりくるかなと思います。

写真右は一緒に買った角川文庫版の横溝正史「獄門島」です。再読しました。いろいろディテールを外してしまうとクリスティにも負けない世界ランク級の古典的パズラーだと思います。この作品は三頌亭が映像より先に読んだ数少ない横溝作品です。写真の角川文庫版の表紙は映画化の際にかえられ、ポスターにも使われた版です。映画のストーリーでは犯人が変えられておりこの表紙になりました(ややネタバレww)。

出版社紹介
「ロンドン郊外の広壮な邸宅、〈仮面荘〉。ある夜、不審な物音に屋敷の者たちが駆けつけると、名画の前に覆面をした男が瀕死の状態で倒れていた。その正体はなんと、屋敷の現当主スタナップ氏その人だったのだ! なぜ自分の屋敷に泥棒に入る必要があったのか? そして、彼を刺したのはいったい誰か? 謎が謎を呼ぶ、カー中期の本格推理。」
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