2017年09月

鹿島圭介「警察庁長官を撃った男」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は最近読んだノンフィクションの中で最も面白かったものを紹介いたします。鹿島圭介「警察庁長官を撃った男」です。国松長官狙撃事件といえばお分かりになると思います。もうかれこれ20年以上も前のお話になってしまいましたね。あの事件の犯人はだれだったかというのが少し気になっていて、関連の本が出たら読もうと思っていました。

このドキュメントのキモは犯人と目された老スナイパーの特異な犯人像にあります。著者の鹿島圭介氏は「間違った目的」や「歪んだ目的」などと表現していますが、犯人の不屈の意思に感心していることは疑いのないことではないでしょうか?。解説の立花隆さんもこの点は同じだろうと思います。「チェ・ゲバラに憧れた男の末路」ではあるものの右翼とも左翼とも言えない思想・信条のみに殉ずる姿がきわめて昭和的な時代の燃え残りを感じさせます。月並みな言葉で申し訳ないのですが「事実は小説より奇なり」であります。

文庫本になって入手がしやすくなってますのでいかがでしょう?


出版社紹介
『2010年3月30日に時効を迎えた国松孝次・警察庁長官狙撃事件。警視庁の現職巡査長が犯行を自供したり、当初からオウム真理教による組織的犯行の疑いが指摘されながら、警視庁公安部の捜査は犯人逮捕には至らなかった。
一方で、2002年11月、愛知県警察に逮捕された一人の男に警視庁刑事部捜査第一課は注目していた。男の名は中村泰。東大を中退したインテリで、銃に対する知識は豊富。何より、逮捕容疑となった現金輸送車襲撃で見せた射撃の腕前は、とても七十歳を過ぎた老人とは思えないものだった。中村の関係先を捜索すると、おびただしい量の銃やマシンガン、実弾が発見され、さらに長官狙撃事件に関する膨大な資料が......。治安機関トップを狙撃するという、重要未解決事件の舞台裏に光を当てる、迫真のドキュメントです。』

現代アメリカ幻想小説(白水社)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。また以前読んだ本の中からよかったものをご紹介いたします。白水社の幻想小説アンソロジーのシリーズから「現代アメリカ幻想小説」です。幻想小説とありますが、普通小説の傑作選と思ってもらってよろしいです。現在でていますuブックスのものとは収録作がかなり異なりますので、そこのところよろしくお願いいたします。

内容は大きく3つに類別されていて、「動物たち」「狂気」及び「死」となっています。全部で16篇の短編作品が収録されていますが、その中で特に記憶に残っているものを挙げてみましょう。

フラナリー・オコナー「啓示」
きついなあ・・・(笑)。宗教(カトリック)感バリバリ、日本人の三頌亭には映画の「エクソシスト」を見せられているような気分になりました。ただ迫力だけは本物、読み終わった後何やら言いしれない罪悪感にとらわれてしまうところすらある短編作品。余談ですが、動物テーマでは、たった3ページくらいの作品ですがスタインベックの「蛇」という何とも怖いアメリカ作品があります、

トルーマン・カポーティ「ミリアム」
アメリカは「サイコパス」の国だと納得させられる傑作。カポーティというと「遠い声、遠い部屋」の流麗なキラキラした文体が思い浮かぶのだけれども、この作品はモダンホラーの傑作です。同傾向の作品にフォークナー「エミリーに薔薇を」がありますが、三頌亭はこちらが好きであります。

アーネスト・ヘミングウェイ「キリマンジャロの雪」
こういうと語弊があるかもしれませんが、アメリカといえばやっぱりハードボイルドですね。ヘミングウェイの傑作ハードボイルド作品が「キリマンジャロの雪」です。また作家本人が言う通り「4つの長編プロットをたった1つの短編に使った」ヘミングウェイ渾身の力作でもあります。ヘミングウェイの描いたものは「死」そのものではなかったのか?。いずれにせよヘミングウェイを読むときは一度は目を通す必要がある作品です。

レイ・ブラッドベリ「キリマンジャロ・マシーン」
ヘミングウェイ「キリマンジャロの雪」を本歌取りしたブラッドベリらしい傑作だと思います。アメリカ作品はナイーヴなのであります。ww

シオドア・ドライサー「亡き妻フィービー」
ドライサーは実はあんまり読んだことがないのですが、「キリマンジャロの雪」にも負けない「すげえ!!」作品。「淡々とよく書くよな・・」というある種のリアリズムに三頌亭は打たれました。

以上、三頌亭の読んだ中では屈指の傑作アンソロジーが今回紹介した現代アメリカ幻想小説」です。


収録作品
http://ameqlist.com/japan_sa/shimuram.htm#hakua01

「賭ケグルイ」&「恋と嘘」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。このところ読むほうに食が乗らなくて・・・(^^;)。最近見たものの話題です。まずは「賭ケグルイ」からです。有名私立高校版の「カイジ」といったところなのですが、主人公の切れっぷりが気持ちいいです(笑)。とばくの結果もたらされる学園内でのランク付けが面白いですね。一応はばくち打ちのサクセスストーリーの体裁をとってます。

つぎは「恋と嘘」です。最近、いくつかの漫画で目にするようになった近未来設定の恋愛もの。少子化で結婚相手が国によってきめられてしまうというハードルが用意されています。内容はというと完全に昼メロw、用意したハードルにどう始末をつけるかが見ものであります。まあこんなところ・・・興味がございましたらどうぞ。
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