2017年06月

佐々木丸美「雪の断章」&「崖の館」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は佐々木丸美さんの作品を紹介いたします。三頌亭が読んだのは出版された頃でしたので、再読してみました。活動期間が短かったため、一時期作品が絶版になっていましたが、創元推理文庫とブッキングにより再版されています。思っていたより記憶に残ってた人が多くて三頌亭としては意外だった出来事でした。

この人の代表作としてはいろいろ意見もあるのでしょうが、「雪の断章」ではなかろうかと思います。初めて読んだ当時はぼんやりとしか意識してなかったのですが。再読してはっきりわかったことがあります。少女漫画的ファンタジーですねこれは・・・(笑)。出版当時は活字メディアにこのあたりの作品をうまく吸収できる企画がなかったせいもあってもうひとつ受けなかったのではと思ってしまいます。いまならライトノベル系の出版でいけたかもしれません。

この作者の作品としては「雪の断章」に始まるいわゆる孤児四部作(忘れな草、花嫁人形、風花の里)とは別にミステリ寄りの館シリーズ三部作(崖の館、水に描かれた館、夢館)がありますが、どちらを選ぶかは読み手の好みでありましょう。ただどちらかというとミステリ作家の資質ではないので、このシリーズも安普請の黒死館めいた館モノとしての側面よりも過去未来現在を通じて起こる連綿とした愛憎劇に主眼が置かれているように三頌亭は感じます。ざっくりとした言い方で申し訳ありませんが古い少女漫画お好きな方は読まれると面白いのではないかと三頌亭は思います。いかがでしょうか?

マイケル・スレイド「暗黒大陸の悪霊」&ジャック・ケッチャム「オフシーズン」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は少し前に読んだもののなかから2冊紹介いたします。まずは法月綸太郎さんの熱血解説が楽しいマイケル・スレイド「暗黒大陸の悪霊」です。この作品は娯楽小説としていろんなものを詰め込みすぎのごった煮感がたまらない作品です。全体で800頁ちかい量なのですが細かい章に分かれていてストーリー展開が早いので難なく読めてしまいます。全体として大きなミスダイレクションを抱えたミステリーなのですが、作品の印象は作者の私淑するJ・D・カーの作品に通底するところがあります。読んでいると何故かライダー・ハガードの作品を読み返したくなってしまう不思議な作品でした。

次はジャック・ケッチャム「オフシーズン」です。扱うテーマがそれモノなので何かと読むのにしり込みしてしまうケッチャム作品なのですが、どういうわけか三頌亭は翻訳のあるものはすべて読んでいたりします(笑)。長らく翻訳が待たれていたケッチャムの「オフシーズン」はソニービーンの伝説をモチーフにした最後の🄱級映画といってもいいような内容になっています。キングが扱わなかったクラッシックな怪奇小説的テーマのモダン・ホラーバージョンといえる作品だと三頌亭は思っています。「初心を忘れず」・・・他のケッチャム作品でダメだったという方に推薦するケッチャムのデビュー作品です。いかがでしょうか?。

アイリッシュ短編集(創元推理文庫)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。創元推理文庫に収められていたアイリッシュ短編集を紹介いたします。三頌亭は昔、アイリッシュに夢中になった時期があって、その時は翻訳された作品のほとんどを読んだことがありました。この短編集はその時買ったものです。現在はさぞや多くの出版があるのかと思いきや、昔とほとんど変わっていません。それどころか、いま現役で読めるものがほとんどなくなってしまっています。残念ですね~。

ところでこの短編集ですが、記憶に残っている作品を2つ挙げてみます。ひとつは「ニューヨークブルース」です。これはミステリ色はほとんどない作品です。その孤独と寂しさがたとえようもない哀切をそそります。アイリッシュという作家のルーツというかそんなものを表現した作品だと思います。もうひとつは「九一三号室の謎」という作品で短編というより短めの長編ですね。集英社文庫で「ホテル探偵・ストライカー」という題で収録されたこともありました。これは簡単に言うと「自殺室の謎」といったものなのですが、都会の谷間を捜査する探偵の雰囲気がよろしいです。謎自体はそれほどのものではありませんが、アイリッシュらしい作品です。

追加資料として世界ミステリ全集のアイリッシュの巻の月報をアップしておきます。少し古くなってしまいましたが、日本でのアイリッシュ作品のポジションがよくわかると思います。私見ではありますが、乱歩をはじめ日本の多くの作家たちがアイリッシュ作品を独特の感慨を持って受け入れた理由はアイリッシュ作品の多くが「敗者の文学」であったからではないかと常々思っております。
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