2017年01月

椿實「メーゾン・ベルビウの猫」&山中峯太郎「亜細亜の曙」他

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こんばんは皆様、三頌亭です。今日はブログを始めたころ一度紹介したことのある作家・椿實の本です。立風書房で出た「椿實全作品」以降の未収録作品と遺構を収録した未完作品集です。以前こんな記事を書きました。
http://blogs.yahoo.co.jp/kms130/31711988.html

中井英夫に曰く
『ところでメーゾン・ベルビウの素晴しさはどうだ。きらきらした色硝子のかけらをいちめんにまきちらし、その中でくねくねのたうつ肉体は満身傷だらけだが、その代りどんなかすり傷にも金砂子の様な光彩がきらめいてゐる。読んでゐるこちらの膚にべたべた花粉がついてくる様な、じよろでヰスキーをふりまいてゐる様な香ひ高さ。しなしな柔い草の中にねころんで三角のプリズムをぎゆつと目に押しつけたらこんな風に世界が輝き出すだらう。青春は何処へ行つたと、その叫びさへ出ないでゐる僕たちのうしろから、もうこんな風になまめかしく白粉をぬりたて陽気な道化服をきこんで、日の当るまつぴるまの街にろまんの旗をふる若者たち。己らはかうして生きぬいて来たと、何の飾り気もなくズバリと云つてのける大胆さ。今更道端に落ちてゐる吸殻さへ、いちいちふみ消さずにはゐられない育ちの僕らが、この上もなくみじめに見えてくるのだ。』

私どもの世代には澁澤龍彦のアンソロジー「暗黒のメルヘン」に収録された「人魚紀聞」のおかげで残ることができた・・と言ったら言い過ぎでしょうか?。ともあれ三頌亭が同世代の作家には感じることのできなかった「眼の眩むような文才」を見せてくれた数少ない作家でありました。ご興味のおりはいかがでしょうか?

ところで復刻版ですが樺島勝一のデザイン・装丁になる2作品を紹介いたしましょう。かつて、講談社少年倶楽部文庫というのがありましたが、それの愛蔵版です。芸術新潮の記事で見たオリジナル版の装丁が気に入っていたので以前買ったものです。


出版社紹介
「『椿實全作品』(82年)以降、本人が構想していた拾遺集に未発表の遺稿を増補した中短篇作品集。日本幻想文学の水脈の異貌。焼け跡を生きる、博物学的精神とエロス。中井英夫・吉行淳之介の盟友であり、稲垣足穂・三島由紀夫・澁澤龍彦らの激賞を受けた幻の天才が、『椿實全作品』以降編んだ未収録の秀作群に、未発表の遺稿他を増補した中短篇作品集。没15年記念出版、初版1000部限定ナンバー入。
(立風書房『椿実全作品』紹介:椿實は大正14年の神田生まれ。昭和21年、吉行淳之介らと「葦」を創刊し、翌22年「新思潮」に「メーゾン・ベルビウ地帯」を発表し、柴田錬三郎、三島由紀夫の激賞を受ける。 その後、新進作家として活躍したが、そのペンは新しすぎ、あまりに鋭く、かつ脆かった。結局、職業作家ではなく、教師としての人生を歩んだようだ)」

ウィリアム・アイリッシュ「暁の死線」

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こんばんは皆様、三頌亭です。今日はまた過去読んだものの中からひとつ紹介いたしましょう。昔、一時期、アイリッシュの作品をよく読んでおりました。乱歩の有名な推輓もあって、一番初めに読んだのは「幻の女」でしたが、その作品のサスペンス・スリラーとしての面白みより、その雰囲気に感動しました。後年、謎だった彼の生涯はいくつかの評伝によって明かされることになりましたが、なるほどなあと思ったものでした。

ところで2番目に読んだアイリッシュ作品というのが「暁の死線」です。実はその次に読んだのが「夜は千の目を持つ」でしてこれも印象的な作品でしたが、以前映画の方で紹介いたしましたので、こちらをお持ちしました(笑)。タイムリミット型のサスペンス小説のお手本です。「幻の女」に比べますと男女の登場人物ということもあってかややハッピーな雰囲気の描写がよろしいです。ニューヨークからの脱出というところが「都会の孤独」の描写とあいまって、いかにもアイリッシュらしいゴールの設定ではありますまいか?

大変恐縮ですが、今版元品切れなっているようで・・・、古書でいくらでもありますのでご興味の向きにはそちらでどうぞ。


秋田書店/世界の名作推理全集・第13巻
『犯人をあげろ』 ウイリアム・アイリッシュ(William Irish) より

出版社紹介(創元推理文庫)
「夢破れたダンサーのブリッキー。孤独な生活を送る彼女は、ある夜、不審な青年クィンと出会う。同じ町の出身だとわかりうち解けるふたり。窃盗を告白した彼に、ブリッキーは盗んだ金を戻そうと提案する。現場の邸宅へと向かうが、そこにはなんと男の死体が。彼が殺人犯にされてしまう! 潔白を証明するタイムリミットはたった3時間後。『幻の女』で名高い著者の傑作サスペンス! 訳者あとがき=稲葉明雄/解説=門野集」

クレイトン・ロースン「棺のない死体」・坂口尚「3月の風は3ノット」

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こんばんは皆様、三頌亭です。正月に読んだ本の感想からお送りしたいと思います。クレイトン・ロースンの長編、邦訳のあるうち最後のもの「棺のない死体」です。この本実ははるか昔に買って読まなかった本です。行方が分からなくなったのでまた買って読むという全く非効率なお話(笑)。長編邦訳リストは次の如くです。
帽子から飛び出した死(1938年)Death from a Top Hat
天井の足跡(1939年)The Footprints on the Ceiling
首のない女(1940年)The Headless Lady
棺のない死体(1942年)No Coffin for the Corpse

以上、4作品なわけですが、何時も期待を持たせながらいまいちにすっきりしない期待外れな代物でして・・・(面白いところもあるんですよw。ちょっと妙な蘊蓄とかw)。で「棺のない死体」ですが、アイディアは悪くないです。ただ見せ方の問題でしょうか?。ちょっとごたごたしていてこれまたわかりにくいかなと思います。しかし、4作品の中では一般的には一番ましな作品だと思います。スチュアート・タウン名義の中短編集『虚空から現れた死』もでているので機会があればこちらも読んでみたいと思います。ちなみに本屋さんで横を見たらエドワード・アタイヤの「細い線」も復刊されてました。うーん、時の経つのは早いです。

坂口尚「3月の風は3ノット」 ・・・いまはなきチクマ秀版社のもの。精選されたものばかりを出版してましたが、ここ志とは一致せず無くなってしまいました。坂口尚の作品は以前から読んでいました。「3月の風は3ノット」は希望コミックスというマイナーレーベルから出たので今一つ読まれませんでした。原画展等も最近やっていたようなのですがいかんせん田舎では見ることができませんでした。残念です。


出版社紹介
「強大な権力を有する実業家ウルフには、死を異常に恐れる一面があった。怪しい男の来訪をきっかけに彼の周囲では怪異現象が続発し、ついにはウルフ自身が不可能状況下で殺害される! 何度死んでも生き返る“死なない男”の存在が不気味な影を投げかける、奇術師探偵マーリニが手がけた最大の難事件。カーと並ぶ密室本格派の名手が、二重三重の仕掛けを駆使した謎解き推理長編!解説=中島河太郎」

「寄生獣 セイの格率」&「ガールズ&パンツァー(劇場版)」

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皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。最近とみにネタの在庫が払底してきた状態になりつつありますが、できればいまひとたび頑張っていきたいと思っております。

ところで今年最初は新春アニメ館(旧作w)でございます。岩明均の漫画「寄生獣」のアニメ化作品です。原作のほうはもうだいぶ前に読んだきりでしたが、素晴らしい作品だったと思ってます。映像化に恵まれなかったためかなり長い間、放置wされていましたが最近になって実写とアニメの両方が出来上がりました。原作漫画は比較的動きの少ない画面だったのでアニメ化作品ではこの部分が大幅に改善されています。全24話で原作漫画のエピソードをほぼもれなく網羅しております。通して見るとやっぱり面白いですし、傑作だと思います。

次は「ガールズ&パンツァー( 劇場版)」・・・テレビ版の延長戦&総花取り的なアニメ作品。特定の興味を扱ったものとしては大金星で映画の方もよく入ったようです。町おこしにも使うことができて大変ハッピーな結果になったアニメ作品でした。そこそこには面白く作ってあるので楽しいですね。

以上2本いかがでしょうか?
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