2016年11月

J・T・ロジャーズ「赤い右手」&アントニイ・ギルバート「薪小屋の秘密」

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こんばんは,皆様,三頌亭です。周回遅れの感想文のコーナーです。国書刊行会の2冊です。すでに「赤い右手」の方は創元推理文庫に収められています。

J・T・ロジャーズ「赤い右手」
ロジャーズの「赤い右手」ですが、翻訳が出たときにはだいぶ話題になって、ミステリ・ファンの評判も上々だったようです。リンク先のブロガ―さんたちの間でもなかなかの評価でした。舞台はアメリカ、ちょっとサイコホラーっぽい設定がいかにもアメリカ作家らしいです。なのですが・・・(^^;)、わたしにはややこしくて・・・、書き手と時制が微妙におかしいのが災いしてあまり楽しめなかったのであります。解説をよんでああそうかと気が付く始末、傑作だったのは前の持ち主(古書で買いました)がご丁寧に登場人物の相関図をまとめたメモが入っておりました。

アントニイ・ギルバート「薪小屋の秘密」
ほとんど日本に紹介されてこなかった作家で過去に翻訳はHPBの「黒い死」のみという作家です。作品の方は非常に多くて英文でよければAMAZONでいくらでも読めます。本書の解説の森さんがギルバートの代表作ともうべた褒めしているのがすごいです(笑)。作品の方はどちらかというと普通小説に近いものがありますが、何とも用意周到かつしぶとい犯人と警察の対決が読みどころではないでしょうか?。少々地味な嫌いはある作品ですが佳品と言える作品だと思います。

以上2点まだお読みでない方がおられましたらいかがでしょうか?

喜国雅彦 国樹由香「本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド」

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こんばんは,皆様,三頌亭です。今日はやっと新刊ですね(笑)。喜国さんのクラッシック・ミステリガイド。だいぶ前に「メフィスト」に連載されていたものの集成です。F1・グランプリ形式で26戦が用意されてます。海外古典ミステリを俎上にした抱腹絶倒のガイドブックです。喜国さん扮する坂東善博士と女子高生りっちゃんとの対話形式になっております。

「ボロクソじゃのう~」連発の古典作の評が面白いです。各回のグランプリ優勝作品はちょっと意外なものが目白押し。実を言うと三頌亭も記事では書けなかったことが満載で、頷く場所も多かったです。例えばブランドの回では本格ガチガチの名作を「図を入れてくれないとわからないよ~」ということで「緑は危険」が優勝作になってみたりとツッコミどころ満載の内容です。またほとんど最近では書評を見たことのない「消えたエリザベス」や「復讐するおうむ」などの超マイナー作品の寸評が載っていたりして大変ユニークなガイドブックでした。海外ミステリファン必携のガイドブックであります。ご興味の方はどうぞ!

F・W・クロフツ「ホッグズ・バックの怪事件」&「死の鉄路」

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こんばんは,皆様,三頌亭です。また更新の時間がいてしまいました。申し訳ありません。で、今回はというと徐々に紹介していっているクロフツ作品から2作品です。クロフツの作品の中ではあまり目立たない2作品ですが、作家のカラーが良く出ているため選んでみました。

まずは「ホッグズ・バックの怪事件」からです。徐々に開示されていく事実とそれに至る論理のタペストリーとでも申しましょうか、そのあたりのクロフツ作品の特色が良く表れている作品です。ひとつひとつの謎は大したことはないものですが、全体として見た場合の収まり方が尋常じゃない作品といってもいいでしょう。因みによく言われてきたようにフレンチ警部は足で稼ぐ凡人探偵ではなくて、数々の謎のハードルを必ずすべて越えてしまう天才的な探偵だと私は思ってます(笑)。

次は「死の鉄路」ですが、どちらかというと鉄ちゃん御用達の作品です。クロフツはもともと鉄道技師を生業にしていたものでこのあたりの描写はお手の物でしょう。そのほか「英仏海峡の謎」や「マギル卿最後の旅」のように船と鉄道が重要な役割をする作品が多くあります。どれも旅と乗り物を舞台にしている点が同時代の作家の中では顕著なのではないでしょうか?。

クロフツ作品にはあんまり極端な当たり外れはなくどれもできは水準点以上のも尾が多いです。また残りの作品も徐々に紹介していきたいと思ってます。

出版社内容紹介:

ホッグズ・バックの怪事件
『イングランドの町で引退した医師が失踪した。三分ほど前には、くつろいで新聞を読んでいる姿を妻が見ているというのに。誘拐か? それとも数日前、彼が密かに会っていた女性と駈落ちしたのだろうか? 彼が書いていた原稿とは何か……? そしてまた失踪者が一人……。フレンチ警部が64の手がかりをあげて連続失踪事件の真相を解明する。』

死の鉄路
『「停止! 停止! 線路上に何かある!」複線化工事に従事する見習技師パリーの乗った機関車が停まったときには、すでに黒い塊を轢いたあとだった。そしてそれは彼の上司アッカリーの無残な死体だったのだ……。翌朝の検死審問では事故死の評決が下されるが、フレンチ警部が捜査に乗り出すや、事件の様相は一変する。鉄道技師としての経験を存分に活かした、クロフツ中期の逸品。』
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