2016年05月

サーバン「人形つくり」(ドーキー・アーカイヴシリーズ)

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こんばんは,皆様,三頌亭です。以前、「角笛の音の響くとき」という作品を紹介したことがあったかと思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/kms130/63541367.html

それまでは唯一の邦訳作品であったのですが、このたび国書刊行会のドーキー・アーカイヴに新しい翻訳が収められることになりました。内容は中編作品が二つです。どちらもアブナイ(笑)心理を扱った特殊な作品といえるでしょう。2編のうち「リングストーンズ」はアーサー・マッケンの「白魔」を思わせる怪異譚です。「人形つくり」はこれまたアブナイ(笑)発想のファンタジー。どちらも「角笛の音の響くとき」同様、作者の個人的嗜好を色濃く反映したものばかりです。48年ぶり、久々の新訳です。怖いもの見たさに興味のある方々いかがでしょう?(笑)。

ところで読みたい昔の作品の多くが電子図書化されています。よっぽどkindleを買おうかと思うのでありますが、なかなかふみきれません。ドーキー・アーカイヴ中のメトカーフの作品集なんかもだいぶ前から出ていてどうしようか?と思っているところです。


出版社紹介
『新海外文学シリーズ〈ドーキー・アーカイヴ〉創刊!知られざる傑作、埋もれた異色作を幻想怪奇・ホラー・ミステリ・SF・自伝・エンターテインメント等ジャンル問わず年代問わず、本邦初訳作品を中心に紹介する新海外文学シリーズ〈ドーキー・アーカイヴ〉全10巻が刊行開始! 責任編集=若島正+横山茂雄

独特のエロティシズムと精緻な文章で綴られた、徹底した被支配関係から生じる恍惚と恐怖……謎の英国作家サーバンによる戦慄の幻想譚を2篇収録。本邦初訳。

田舎屋敷に家庭教師として雇われた女子大生が謎めいた子供たちと過ごす夏休みは、次第に奇怪な様相を帯びていく……古代異教世界が顕現する「リングストーンズ」(1951年)。女子寄宿舎学校を舞台に、少女が人形つくりが趣味の青年と出会い、やがて彼の人形のモデルになる。しかし、その青年の真の正体とは……服従と束縛の快楽が横溢する怪異譚「人形つくり」(1953年)。繊細で喚起力の強い文体を通じて、徹底した被支配関係から生じる魅惑と恐怖が織りなす荒々しいマゾヒズム的快感が描写される、知られざる英国作家サーバンによる幻想中篇を2篇収録。

〈サーバンは自分の生きる社会、時代の規範的、標準的な性愛の概念には強い違和感を覚えていたに違いない。彼は「愛」という西欧社会の発明を信じていないのだろう。そして、それこそ彼が異界を舞台にした小説を書かずにはいられなかった理由のひとつかと思われる。(……)本書に収録したふたつの中篇は、巧繊に織りなされたペルシャ絨毯のように魅惑的な超自然譚であり、日本ではこれまで知られることのなかった幻想小説の佳什として楽しんでいただければ幸いである〉(横山茂雄:本書解説より)』

山本健吉「芭蕉全発句」 (講談社学術文庫)

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こんばんは,皆様,三頌亭です。定型詩シリーズですね。芭蕉を読んでます。日本名著全集の第3巻が芭蕉全集にあてられていて1冊でコンパクトにまとまっています。しかしながらお弟子さんも含めての句集もたくさんありますので、芭蕉の発句のみを集めて脚注を付与したものが山本健吉「芭蕉全発句」 です。分厚い講談社学術文庫ですが、1冊にまとまっているので読もうという方には便利でいいです(笑)。

因みにミステリファンの方のために・・・「むざんやな冑の下のきりぎりす」「一つ家に遊女も寝たり萩と月」というのが2句、横溝正史「獄門島」で取られています。わたしは「むざんやな冑の下のきりぎりす」というのが昔から好きで、兜をふせても出るところはいっぱいありそうなものだとよく思ったものです(面一になかなかなる兜はありません(笑))。

蝸牛・俳句文庫「榎本其角」

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こんばんは,皆様,三頌亭です。今日は最近ふと見つけて読んでいるものです。定型詩は三頌亭がいままで読んでこなかったもののひとつです。近代の訳詩集と並行してここのところ眼に通すようになっています。ところで榎本其角については下記をどうぞ。蕉門十哲、芭蕉のお弟子さんのなかでは随一のかたです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9D%E4%BA%95%E5%85%B6%E8%A7%92
「夕涼みよくぞ男に生まれける」って言うのが一番有名でしょうか?。因みにミステリファンの人には「鶯の身をさかさまに初音かな」という句をご存知でしょう(「獄門島」)。調べてみると案外其角の俳句だけを集めた出版が少ないようですね。簡単に手に入るものがかなり古いものしかありませんね~。また入手したらお見せいたしましょう。

服部まゆみ「時のアラベスク」

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こんばんは,皆様,三頌亭です。またまたアップロードしたまま長らく放置してしまいました、申し訳ありません。たまたま書店で服部まゆみさんの「この闇と光」が並べてあったので出してみました。彼女のデビュー作品にあたります「時のアラベスク」です。本業が銅版画家でしたので装丁も彼女の作品です。先生は加納光於だったとかですね。

ところで作品の方はコアなミステリーファンの人にはあまり面白くないかもしれませんが、雰囲気が探偵小説らしくてなんか好きでした。文章の方はわかる人にはバレバレでしょうけれど、今読むとはっきり書かれた時のものだとわかってしまいます。このころはベルギー象徴派など世紀末絵画が初めて詳しく日本に紹介されたころで、それらに想を得た設定がふんだんに使ってあって面白いです。そうたくさん作品があるわけではない作家さんですが、代表作の「この闇と光」よりも作者のカラーが良く出ているのでこちらを推薦しておきましょう。
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