2015年09月

光瀬龍「派遣軍還る―宇宙塵版」

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こんばんは,皆様,三頌亭です。今日は光瀬龍の「派遣軍還る」を紹介いたします。最近めっきり見なくなってしまった光瀬龍作品です。著者が物故してだいぶたつのでいたしかたはございません。紙の本では読めなくなりましたが,ebookではかなりのタイトルが復刻されています。三頌亭,案外思い出すのが「ロン先生の虫眼鏡」だったりするのはご愛嬌といったところです。

さて「派遣軍還る」でありますが,これはのちのSFマガジン版と処女長編である宇宙塵版があります。どこをどう焼き直したかは別途確認していただくとして,作家本人も言うとおりこの作品が「光瀬作品の原点」なのだそうです。初期作品特有の勢いと申しますか,非常に楽しんで書いている様が見てとれます。書かれたのがもうかれこれ50年前なのでいろいろと記述の古さはありますが,着想は非常に雄大なSFで光瀬龍らしい作品です。

写真はハヤカワ文庫版で山田ミネコさんが挿絵と表紙を担当しています。

ポール・アンダースン『タイム・パトロール』&『天翔ける十字軍』

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日はポールアンダースンの作品です。いままでどちらかというとSF作品を避けてきたのでちょうどいい機会と思いざっと読んだものを紹介していってます。

アンダースンというとSFジャンルでは有名な作家です。この写真の「タイム・パトロール」シリーズなんかもダイムパラドックスを扱った有名作品です。が・・・ですね・・このひと凡打ヒッターとでも申しましょうか、もうひとつのところで面白くないんです(笑)。アイディアとかいいところはいっぱいあるんですが、なんか退屈なんですよ。というわけで豊田有恒訳の「天翔ける十字軍」です。これは比較的面白かったもののうちの一つです。豊田有恒の翻訳がほとんど時代劇じみていてこれまた異色ですww

日夏耿之介編・イギリス抒情詩集 (世界抒情詩選:河出書房)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。枕頭の書というわけではないのでありますが、手じかにおいて長く眺めている本を紹介します。河出書房版・「イギリス抒情詩集」です。もう30年近く前に古書店の均一本で買ったもので、文庫本サイズのハードカバーで箱付きの本です。編者は日夏耿之介で訳詩の選択に非常に個性のある内容になっております。上田敏をはじめ蒲原有明など戦前の翻訳詩の精華集と言っていい内容です。因みに同じ体裁のフランス抒情詩集の編者は鈴木信太郎となっています。

こういった戦前の訳詩集をいろいろみておりますとさいきんよくおもうのでありますが、われわれの年代の人はどう訳すのだろうと?。どう僻目に見ても我々の時代の表現では翻訳はできるけど「感じが出ない」のではないかと・・・。でも、とりあえず私たちの時代の無謀な文章家を心待ちにしている次第です(笑)。

梶井基次郎全集・第3巻・書簡

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こんばんは、皆様、三頌亭です。最近、枕元において少しずつ梶井基次郎の書簡集を読んでいます。小説及び日記の類はすでに読んでしまったのですが、書簡にみる梶井基次郎というのもおもしろいです。あれこれと生活のこまごましたことも描いているのですが、意外とこれが小説だと言われてもそうかなと思ってしまえるところが興味深いです。

中村真一郎だったかが本来は抒情的作家で川端康成なんかにちかいとくしつなのだけれど「意識の流れ」を描いた点では多分に「西欧的」な作家だったと言っていたように思います。そのようなややこしいことはさておき昔から三頌亭が気に入っている梶井基次郎の短編を紹介いたしましょう。「Kの昇天」という不思議な作品です
Kの昇天
http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/card419.html

ローデンバッハ『霧の紡車』

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は昔読んだ本の話題です。ローデンバッハを読んだのはもう30年以上も前のことなのですがよく記憶しているものの一つです。当時、「死都ブリュージュ」の翻訳を探していたのですがなかなか入手することができませんでした。ようやく冥草舎という小さな出版社から窪田般彌(現・岩波文庫)の翻訳が出ていることを知り、本屋さんで発注伝票を書いて取りよせてもらったことを思い出します。

日本の作家たちはローデンバッハが大好きな人が多く、上田敏をはじめ荷風や白秋&西條八十をふくめてこの作家の作品を鐘愛したひとに枚挙のいとまがありません。続いて出た遺作の短編集が写真の2冊です。ローデンバッハの短篇に繰り返し現れる毛髪に対するフェティシズムにはいささかあぜんとさせられるものもありますが、日本人の情緒に媚びる作家であることはよく理解できます。表題作の「街の狩人」は毛髪フェチ版「ウィリアム・ウィルソン」といったところのユニークな作品です。
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