2015年05月

眉村卓コレクション異世界篇Ⅰ「ぬばたまの…」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。出版芸術社からでている眉村作品の傑作選です。長編一つに中短編がいくつかという構成ですが、結構ボリュームがあって楽しめます。第1巻は「ぬばたまの…」ですが、お得意のパラレルワールドものでSFというよりも幻想小説に近いものです。時間軸の異なる自分がある世界で鉢合わせしてしまうという不思議を描きます。ある種の漠然とした不安感がよく出ていておもしろいです。昔、講談社文庫で読んだ時はそう面白いとも思わなかったのですが、今読むと何故か面白く感じます(笑)。歳をくってしまったせいかもしれませんね。しかし結構な数の作家さんが傑作との折り紙つきでびっくりいたしました。

集中、中篇の「名残の雪」が収録されています。テレビドラマ化されて「幕末未来人」と言う題で放映されています。タイムスリップものの典型なのですが、不思議に読後感のさわやかな傑作です。編者の日下三蔵氏も出版芸術社としては2度目の収録となりますがと前置きしてあえてこの作品を収録するほどの思い入れようです(笑)。


出版社紹介
「眉村SFの傑作を厳選
作家・マエウラタクが遊園地のオバケ屋敷で乗り込んだトロッコと共に迷い込んだ不思議な暗がりの異世界は何を意味するのか・・・。傑作長編「ぬばたまの…」、仲の良かった守衛が暴漢に殺された。残された手記には歴史を変える、驚くべき事実が・・!「名残の雪」他4編。著者描き下ろしのイラスト、収録作品雑記を併録。眉村SFの傑作を厳選した、シリーズ第一弾! 編者解説・日下三蔵。」

光瀬龍「暁はただ銀色」&「北北東を警戒せよ」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。「夕ばえ作戦」のきじのところで触れました光瀬龍のジュブナイルSF・2作品を紹介いたします。どちらも侵略テーマのSFですが、非常にテンポの良い作品になってます。どちらがいいか三頌亭の好みを言えば、やはり「暁はただ銀色」でしょうか。人間そっくりの味方の美人エイリアンが面白いです。作品中の大人の登場人物では了雲和尚がいい味出しておりまして三頌亭お気に入りのキャラでした。

「 北北東を警戒せよ」のほうは怪獣映画真っ青の洞窟での大立ち回りがおもしろいです。舞台を現代に変えて映画化すればけっこう面白いものができると思うんですけどね・・(笑)。どちらもソノラマ文庫よりの表紙です(レトロ感がたまりません(笑))。因みに「暁はただ銀色」はハルキ文庫に「夕ばえ作戦」と共に収められていますので、お読みになりたい方はそちらを先ずあたってみてください。

法条遥「リライト」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は比較的新しいものから紹介いたします。法条遥「リライト」です。どうでもいいんですが、最近のハヤカワ文庫は以前より少し背が高くなって並べると他社さんのものと段差ができます。なんとなく気になって仕方がないのですが、皆様はいかがでしょうか?(笑)。

ところで本書ですが、抱腹絶倒の不条理SFであります。はじめはある有名作品のパロディかと思いましたが、それをはるかに上回るアホらしさww・・・がすばらしいです。「えっ、ほんとうにやっちゃうの?」 的なある種の律義さが心地よい作品となっております。評価はともかく一読印象に残る作品であることはまちがいないですね。

光瀬龍「夕ばえ作戦」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。この前少しふれましたジュブナイルSFの名作、光瀬龍の「夕ばえ作戦」です。光瀬龍のジュブナイルSFは眉村卓のものほど数はないのですが、それぞれに完成度が高く面白いものが多いです。この作品はどちらかと言うとSF作品というよりも活劇の面白さが際立っている作品です。時間を行き来しての大活劇、風魔忍群との戦いがメインとなっています。因みにこの作品はいろんなメディアで作品化されていまでは写真のように漫画にまでなりました。いうまでもなくNHK・少年ドラマシーリーズでも映像化されましたが、私は時間の関係で見ることはできませんでした。テキストは現在、ハルキ文庫に「暁はただ銀色」と共に収められています。

眉村卓「虹は消えた」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。引き続き眉村卓の作品集です。比較的初期の作品集から「虹は消えた」です。著者にとっては第3短編集となり、1969年の出版です。この作品集では何といっても表題作の「虹は消えた」が印象に残ります。SF作品といえばそう呼べるのかもしれませんが、どちらかというと経済を話題にした短篇です。この時代にこれほどわかりやすくバブルと経済政策の危うさについて説明した作品はないのではないかと思います。ある国の経済復興の夢が破れて行く様を主人公の目を通して余韻縹渺と描いたこの作品は集中の白眉だろうと思います。そのほか、意のままに夢を見ることが自由になった世界でひたすら自分の夢に没入して行く男を描いた「スラリコ・スラリリ」も素晴らしい出来栄えの短篇だと思います。

角川文庫への収録情報はひとさまのサイトですが下記をご覧ください。
http://okmh.web.fc2.com/i/mayu.htm
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