2014年07月

福澤徹三「怪談実話・黒い百物語 叫び」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今回も最近読んだものから・・・福澤徹三「怪談実話・黒い百物語 叫び」です。怪談プロパーの方は最近だいぶ増えてはきたのですが、そのなかでは一番文章の気に入っている人です。書き手をあまり意識させないというか、岡本綺堂ほどではないにせよ非常にすっきりした文章を書く人ですね。表題のルポタージュ?は雑誌「幽」に連載だった「続・怪を訊く日々」をまとめて新しい収録作品を加えたものです。それほど怖くはないのですが不思議なお話の数々を楽しむことができると思います。

因みに中公文庫から岡本綺堂読物選集(青蛙房)のうちの4冊が復刻になっておりまして、こちらのほうも興味がおありの方に推薦しておきましょう。他に気にかかる出版としては新聞連載を復刻した都新聞版の「大菩薩峠」が出ているのですが、コストの関係でまだ手が出てないです。作品社の2巻本の岡本綺堂探偵小説全集も同じです。また、去年から読んだ堀辰雄全集に気を良くして中原中也全集を読んでみようかなどと思っているところです。さらに翻訳で気にかかるのはリリアン デ・ラ・トアの「探偵サミュエル・ジョンソン博士」(論創海外ミステリ)などがあります。いろいろあるのですがなかなか思うにまかせない昨今ではあります(笑)。

大阪圭吉「死の快走船 (ミステリ珍本全集04)」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は新刊から・・「ミステリ珍本全集」の第4巻です。このところミステリー作品にもうひとつ食がのらないというか、読書欲の夏バテのような状態です(笑)。そういえばフィリップ・マクドナルド「狂った殺人」 (論創海外ミステリ) も少し前に新刊で並んでました。やっとこさ読み残した部分を読んでしまいましたが、サスペンス小説に近い作品でしたね。実はある程度プロットが途中でわかってしまったので中断しましたが、このタイプご存じない方にはかなり面白い作品でしょう。あとメイスンの「被告側の証人」やバークリー「服用禁止」なども気になりますが、ひところほど翻訳作品に対する熱がありません。最近では容易に原著が入手できるせいもあって絶版になってもまあいいや的な楽観があるのも理由かもしれません。

さて前置きが長くなりましたが、大阪圭吉「死の快走船」です。まずはじめに下記の3冊をお読みでない方はそちらを先にお読みください。
『とむらい機関車』 :東京創元社(創元推理文庫)
『銀座幽霊』 :東京創元社(創元推理文庫)
『大阪圭吉探偵小説選』 :論創社(論創ミステリ叢書45)
この3冊から漏れた大阪圭吉作品が今回の「ミステリ珍本全集」の第4巻に収録されています。どちらかというとマニア向けの仕様になっていますのでその辺りご注意をお願いたします(笑)。現代的な意味での戦前の本格派の作家ですが、今回の作品集にはいろんなジャンルの作品が集められています。言わずもがなですが作家本人についての文章は鮎川哲也「ルソン島に散った本格派・大阪圭吉」 などを再評価の嚆矢として今ではたくさんのものが発表されています。

佐島勤「魔法科高校の劣等生」

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こんばんは、三頌亭アニメ館です。これも久しぶりの更新です。少し前から原作を読んでいたのですが、アニメ化されて人気も上々のようです。魔法というファンタジーを事細かにSF設定に翻訳して近未来SFとしてみせたところは立派というか、やっぱりエネルギーがあるなと感じさされずにはいられません(笑)。

プロットと設定の原石がごろごろ落ちている様はある意味圧巻でございます。造語とカタカナルビの山で読みにくいところがままありますので、アニメの方が一般には快適に楽しめるかもしれません。ライトノベルの作者としてはやや年配に属するようで、よく見ると文章はそれほど私などには違和感は少ない方でした。

面白さはというと読んでいるうちにどこかで似たような感覚があったような・・・と思っていたのですが、要するに「水戸黄門」ですね(笑)。オールマイティで規格外の主人公の面白さと言ったところだと思います。余談ですがアニメの方は緑色が基調となった配色のデザインでユニークです。

ベン・ヘクト作品集・「The Collected Stories of Ben Hecht 」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日はこれも最近入手した本です。ベンヘクトの短編集です。読めればいいということでとことん値段をケチったのですが曲がりなりにもジャケットまで付いてきて喜んでます(笑)。500頁程度の本で戦時中、1945年の出版です。

さて、ベン・ヘクトについてはシナリオ・ライターとしてあまりに有名なのでむしろ作家としての活動にはほとんど光があたってこなかったというのが本当のところじゃないかなどと思っております。ミステリや怪奇小説のジャンルでは時々翻訳されているのですが、まとまったものは現在絶版のものが多いです。
http://ameqlist.com/sfh/hecht.htm
上記は漏れもありますが、今までの邦訳のあらましです。本作品集にも多くのものが収録されています。一番初めに読んだものと言えば江戸川乱歩の『世界短編傑作集5』に収録されていた「15人の殺人者とひとつの奇蹟」なのですが、全く記憶に残っておりません。この巻ではアイリッシュの「爪」があまりに印象的で他の物の記憶がほとんどありません(笑)。以前読んだ中では猫を扱った怪奇小説もあったと思うのですが、思い出せません。しかし総じてにも気のきいた上手な短篇作品が多いです。今回入手した作品集の中で読んでだことのない「斧」という作品をささっと読んでみましたが、非常によく考えられてます。異常心理を扱った切れ味のいい短編でした。この本もまた折を見て少しずつ読んでいきたいと思っております。
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