2014年05月

垣芝折多(著),松山巌(編)「偽書百撰」他

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こんばんは、皆様、三頌亭です。1週間のご無沙汰でございます。どうも最近、写真と書目をあげておしまいというのが多くなってしまってます。まあ私の駄文などはどうでもよいので、あるべきスタイルなのかもしれませんw。

さて、「偽書百撰」であります。大分以前に「乱歩と東京」というエッセイ集を紹介したことがあると思いますが、その著者・松山巌氏のパロディ本であります。架空の本のブックガイドなのですが、文中に紹介される明治から昭和初期にかけての擬古文のフェイクが素晴らしいです。三頌亭程度ではどこと言って穴が見当たらないぐらいです。いろんな当て字もさもありなんという字をあててあって秀逸です。おそらく三頌亭と同年代の作家ではあるまいということで、少し調べたらひとまわり以上うえの年齢の方でした・・・失礼いたしました(笑)。ランダムに楽しく読めますし、どこでやめてもいいというお手軽で素晴らしい作品なのでお薦めです。

さて次は新刊の星川真「赫獣(かくじゅう)」です。初めて読む作家さんですね。一気に読んでしまえるのですが・・・。映画にする方がいいのでしょうか?。文章そのものは悪くないし、ネタもつかみも十分、興味深々なのですがいかんせん文章にスピード感がないのが残念です。へんな言い方ですが編集前のフィルムを見ている気がする作品でした。ただし、映画化すれば大変面白いと思うのでぜひどなたか映画化してください!!。

追記:マルティン・ベック・シリーズが1冊50円だったのでシリーズ全部を入手してきました。はるか昔に3作ぐらいは読んだことがあるのですが、残りも一定の質だと聞きます。時間が空けば読んでみようと思ってます。


内容紹介
垣芝 折多(著),松山 巌(編)「偽書百撰」
『世の中にこんな珍妙な、役に立たぬ、抱腹絶倒の書物があったのか。明治・大正・昭和の「奇書・珍書・偽書」百冊を総覧する奇想天外の書。『週刊文春』連載の「偽書発掘」をもとに加筆。』

星川真「赫獣(かくじゅう)」
『犯人は…人間ではないのか!?
1984年11月16日・長崎県長崎市大浦地区の山中で、大量の野犬の死骸と何かに噛み切られた人間の掌が見つかった。初動捜査を担当した県警は、その事件を、この夏に起きた婦女暴行殺人事件と関連づけして捜査を開始する。しかし同地区派出所勤務の植木の考えは違った。「犯人は人間じゃないかもしれない」。
そして、次の犠牲者が現れたことを皮切りに、大浦地区では複数の行方不明者と家出人が多発。さらに山中で大量の惨殺死体の発見により県警は野獣処分チームを設立、警察の威信をかけた捜査が開始された!
突如捜査本部に現れた、米軍の影。警察とは違うルートで「犯人」に迫ろうとする派出所勤務の植木と小学校教師の篠崎、そして謎の男・韓。<奴ら=赫獣>の真の正体とは果たして――各々の思いを胸に、最後の死闘が繰り広げられた!
新たなモンスター小説の誕生! 』

梶龍雄「若きウェルテルの怪死」他

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こんばんは、皆様、三頌亭です。えーと、引き続き梶龍雄作品のナンバースクール・シリーズです。旧制二高、仙台を舞台にしたミステリーです。そうですね~、この作品が一番「透明な季節」に近いですかね・・・。ただ適度なサプライズもありますし、ややサスペンス小説の要素も加わって読みやすくなってます。梶作品としては標準策ながら別の面白さがある佳作です。新古本屋さんなどでみかけたらまた読んでみてください。

ところで、泡坂妻夫「妖盗S79号」を買ってきました。これまだ読んだことがないのです。デビュー作から知っているのですが、もう亡くなってしまいました。全部読んでるかというと全くそうではなく、半分くらいの作品しか読んでいません。読み残しでお楽しみと行きたいものであります(笑)。

そのほか、写真のように定番の「ラディゲ全集」(江口清訳:東京創元社)を入手いたしました。このあたりはもう安くて品の方も豊富で助かります(笑)。また読んだら記事にしたいと思っております。

梶龍雄「青春迷路殺人事件」(「我が青春に殺意あり」)他

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は久しぶりに読んだ梶龍雄作品です。このところもうほとんど新古本屋さんではみかけることがなくなってしまって、古書店アイテムになってしまいました。現在新刊で読めるのも「透明な季節」のみということになっております。ブログを始めてから紹介した新刊で読めないミステリ作家&作品はたくさんあります。しかし、いろんな形で復刊を遂げたもの多く、残されたものはそんなには無くなってしまいました。まだ残されている作家の中では復刊すべきと思う最右翼の作家が梶龍雄です。どこかやってくれませんかねえ~(笑)。

さて、「青春迷路殺人事件」ですが、ナンバー・スクールのシリーズで旧制一高と三高の野球対抗試合を背景にしたものです。時代設定は昭和の初期で戦前が舞台です。探偵役は理系と文系のコンビで犯行の実証を理系の主人公が、動機を文系の主人公が解明するという面白い構成になっています。梶作品としては標準作以上の出来栄えで悪くないです。新古本屋さんなどでみかけたら読んでみるのもいいかもしれません。まずまずのお薦め作品です(笑)。

ところで、最近初めて「透明な季節」以前の梶作品を読む機会がありました。雑誌・宝石の掲載作品ですが、クライムノベルであります。これが読ませるというか、すごく上手いので驚いてしまいました。

ポール・モオラン「夜ひらく」他

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日も最近古書で購入して読んだ本から紹介いたします。アールデコ叢書などという話題も随分前にお出しいたしましたが、知ったかぶりを言うのはいいとして、ポール・モランの作品を殆ど読んだことがないのに気付き読んでみようということになりました。適当な刊本をと思ったのですが、適当な値段のものがもうなくなっていました。仕方がないので堀口大学の全集の翻訳編を購入。これがいたく安くて立派な本で喜んでます(笑)。収録作品は写真の通りです。

お目当てのポール・モランの「夜ひらく」ですが、モダニズム小説の代表格のように言われてきた作品です。外交官であったモランはヨーロッパのいろんな都市に赴任しましたが、その経験も作品に生きているのでしょう。都合、6つの都市とその地の女性が出てきますが、女性も都市もあたかもひと種類のタッチでまとめられたデッサン集を見る思いがいたします。読み手は汽車に乗って旅をするがごとくにその都市の面影を想像することができます。この時代の文芸にご興味の向く方にはやはり必読の作品だろうと思われます。牧逸馬の「踊る地平線」などとは少し異なりますが、同種の作品ではなかろうかと思います。因みに大学あてのモランと荷風の序文が付いております。

ところで、恥ずかしながらラディゲの作品というのを読んだことがなかったので同時収録の『ドルジェル伯の舞踏会』を読んでみました。これが傑作というか素晴らしい作品です。ラディゲのいうところの「心理のロマネスク」という言葉通りの作品なのですが、その老練さと精緻な人工美に驚嘆いたします。とても二十歳前の作者の手になったとは思えない作品でした。堀辰雄の私小説風ロマネスクもこのあたりに大きく影響を受けていることは想像に難くありません。因みにこの作品は若い時の三島由紀夫の愛読書であったことはよく知られています。

さて、皆様、この記事は三頌亭日乗2000件目の記事でございます。個人の本棚のようなブログをイメージして始めたブログでしたが、記事一件につき1冊、単純計算で2000冊近くを公開したわけでもうそうそう後に紹介したい名所案内があるわけでもありません。今はどちらかというと嗜好のルーツ・少女漫画がメインコンテンツになってしまっていて、ほぼ名所案内(といえるかどうか?(笑))も最終段階に入っています。しかし、いますこしできれば続けたいと思っていますので、見ていただける皆様、これからもよろしくお願いいたします。

別冊・宝石(昭和33年10月号)他

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こんばんは、皆様、三頌亭です。皆様、連休はいかがお過ごしでしたでしょうか?。三頌亭は野暮用向きの本ばかり読んでおりました。なんとも味気なく感じますが、これはこれで結構楽しいので満足してます(笑)。

ところで最近は古雑誌を引っ張り出して来て読んでおります。今日のお題は写真の通りです。冒頭の有馬頼義「三十六人の乗客」は映画にもなったやや有名な作品です。この中で個人的なお気に入りは岡田鯱彦「死の湖畔」、木々高太郎「二重人格」、渡辺啓助「魔女物語」でしょうか?。山村正夫「指」と朝山蜻一「鶏の腸」はハードボイルド風の短篇、なかなか読ませます。そのほか奇想あふれた香山滋「処女水」&鷲尾三郎「女臭」は驚きの短編です(笑)。それぞれに作家の力量を発揮した短編集で久しぶりに面白く読めました。案外だめなのが乱歩御大で乱歩作品としてはいささか悪趣味が過ぎるかと思います(笑)。

ところでマンガショップから出ている桑田次郎の「エリート」を買ってきました。平井和正とのタッグですが好きな作品です。初めて読んだのはサンコミックスで、どういうわけか連載中の記憶がありません。「エイトマン」のあとの作品ですが、どうもそのころは「超犬リープ」のイメージが強くて・・・。「ガロロQ」とかも通して読みたいんですが思うにまかせません。
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