2013年08月

復刻版・小栗虫太郎「黒死館殺人事件」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。堀辰雄全集が面白かったので他の本を読んでないのと取り上げようと思う本がありませんでしたので、また放置でございます(笑)。もうしわけありません。今日は沖積舎の複製本、小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」です。

もうだいぶ前のお話ですが、大衆小説本の古書価がそんなに高くなかったころ、「黒死館殺人事件」のオリジナルを何度か手に取ってみる機会がありました。値段が中途半端だったのと、もう一つオリジナル本でないとという所有欲が起きなかったことで何度も見送っていた時期がありました。「ドグラ・マグラ」についても同じで、まあ言いかえれば、あまり熱心な探偵小説の古書ファンではなかっただけなのかもしれません。

ところで沖積舎の「黒死館殺人事件」、まずまずの出来なのと、バーゲンブックで安かったので買ってみました。パラパラ拾い読みしていたのですが、版面の迫力は相変わらずで、やっぱりこうでないとと再認識いたしました(笑)。こういった複製本を手にとるたびに思うことがあって、旧かな正字&ルビのフォントをかすれの無いものに変えてほしい・・・と思うのであります。そうするともっといいのになと思うことが多いです。どこかご奇特な出版社をお待ちしております(笑)。

フィオナ・マクラウド「かなしき女王」(松村みね子訳)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。このところ、堀辰雄全集を読んでいてふと思い出した作家を取り上げてみようということでお出ししています。堀辰雄の『聖家族』の「細木夫人」、『菜穂子』の「三村夫人」のモデルとなった片山廣子です。また松村みね子のペンネームでアイルランド文芸を中心にした翻訳を手掛けております。大分前に読んだものですが、世評の高いものとしてフィオナ・マクラウド(ウィリアム・シャープ)「かなしき女王」を挙げておきましょう。ちくま文庫か青空文庫でも読むことができます。また、比較的入手が難しかったエッセイ集「燈火節」も読むことができるようになりました。個人的には好きなエッセイ集ですが、隔世の感があります(笑)。


フィオナ・マクラウド「かなしき女王」(松村みね子訳)
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1399.html

片山廣子「燈火節―随筆+小説集」
http://www.aozora.gr.jp/cards/001346/card49142.html

閑話休題(角川書店版堀辰雄全集など)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。最近仕入れてきました角川書店版の「堀辰雄全集(全10)」です。お盆休みの間に大分読み進みましていま第7巻が終わったところです。因みに現在の決定版全集は筑摩書房版全集なのでそこのところはお間違えなきようお願いいたします。ところでこの角川書店版全集は年代順にまとめられておりまして、時系列の作家の作品傾向の変遷を負うことができるようになっております。

メジャーな作品についてはもうすでにいろんな作品集で読んだものが多いのですが、この全集で面白かったのは全集のかなりの頁を占めている創作ノートです。表に様々な本からの取材ノートみたいなもので興味深々でしたが、この方、プルーストやリルケといったものにひどく入れ込んでおられるので、このあたりは三頌亭は弱いところです(笑)。堀作品の作風の多くは私小説風(でないのもありますが)ロマネスクでございます。実は告白とはあまり縁がないのものですが、モデルが実在の人物だったりすることが多いのでこのあたり誤解を生みやすいのかもしれません。三頌亭の個人的な好みの作品は「晩夏」です。甲鳥書林版(昭和16)の変形本を読んだのはもう20年以上も前のお話です。

それにしても日本文学の作家たちは外国語に堪能な人が多いです。鴎外から始まって村上春樹までみなさんとまでは言いませんが、若い時に外国の本をよく読んでおられます。堀辰雄にしても都合英仏独と3カ国の本を駆使して読もうとするのには恐れ入ってしまいますね。やっぱりエキゾチズムのなせる技でしょうか?。ただ、村上春樹と鴎外では少し似あわないものがありますね(笑)。彼のの出自はもはや過去の日本文学なのではないのかもしれませんが・・・。外国語に堪能ではあっても堀辰雄の場合は室生犀星や芥川龍之介であり、また朔太郎や鴎外なのであります。

ここまで仔細に堀作品を読んできて、過去読んだ作家の中から誰を思い出すかと言えば案外澁澤龍彦だったりして少し笑ってしまいました。彼のエッセイに「堀辰雄とコクトー」&「海彼の本をめでにけるかも」というのがありまして、コクトーの翻訳者として堀作品を話題にしていました。澁澤龍彦はある時期かなり堀作品を読んだのではないかと思える節があって興味深いものがありました。
「しぐれふる町を幽けみここにして海彼の本をめでにけるかも」(芥川 龍之介)

さて余談ですが、堀作品の主人公たちは実にうまそうに煙草やパイプを吸っています。アニメ「風立ちぬ」で喫煙シーンが話題になってましたが、ある意味、堀作品には忠実なのかもしれません(笑)。堀辰雄のパイプはヘビースモーカーの芥川から形見分けでもらったものでした。若いころの遠藤周作は堀に「使ってないから使いますか?」言われたそうだがおそれ多いので辞退したという逸話が残ってます。まああんまりこういうことを現在の物差しで測っても仕方がないと私は思うのですが、さまざまな見方があって少し驚きでした。

零人 (大坪砂男全集4) &松岡圭祐「万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ,Ⅱ」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?。折からお盆休みの方も多いことでしょう。これといって真新しい本はございませんが、以下2冊を紹介いたします。

大坪砂男全集の第4巻「零人」・・・これですべて配本終了です。もっとも三頌亭が期待していた巻なのですが、「思ったより雑文の類が多くはないのかな?」とか思ってしまいました(笑)。とはいうものの薔薇十字社版には収録されなかったエッセイなど全巻では最も未収録作品の多い巻になっております。ご興味の向きにはぜひご一読を・・・めずらしいSF作品なども収録されております。

次は松岡圭祐さんの「万能鑑定士Qの事件簿」シリーズです。この人のものとしては「千里眼」シリーズがありますが、「万能鑑定士」のシリーズは読んだことがなかったので読んでみました。あいかわらず主人公の非現実的なキャラクター設定が漫画っぽくて面白いです(笑)。とにかく読みやすくて短時間で読めてしまいますのでまた気が向いたら次を読んでみようと思ってます。シリーズ第1作と2作はテーマが「偽札」です。



出版社紹介:零人 (大坪砂男全集4)
「異様な精神が創り上げる罪の庭の美を描く表題作のほか3篇を収録する〈幻想小説篇〉に、書籍初収録の「露店将棋」「ビヤホール風景」を収める〈コント篇〉、「ロボット殺人事件」など科学趣味に溢れた先駆的な作品を集めた〈SF篇〉で贈る第四巻には、未発掘だった随筆と関連資料を多数併載する。生前歿後を通して初の単著文庫となる決定版全集、堂々完結。解題=日下三蔵/巻末エッセイ=桜庭一樹」

閑話休題(全集あれこれ)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。最近やっと筑摩書房の「梶井基次郎全集」を読み終わりました。やっぱり凄いな・・・と思いながら次の作家を物色しています(笑)。実はそのうち読んでみたいというのは何人かいるのですが、もう本を置くスペースがありません。紅葉あたりは一番食指が向いていて岩波の全集も安いのですが、いかんせん冊数が結構あります。コレクターではないので並べておいておいても仕方がありません。やっぱり3巻本の「中島敦全集」あたりは一番の候補でしょうか?。そのほか一度読んでもいいかと思っているのが堀辰雄です。角川版の全集あたりが造本もよくて安いです。今まで読んだのは文庫本が数種と写真の文学全集の端本ですね。読んだ時はそうも思わなかったのですが、時間がたつとあれも面白いんじゃないかと思い始めているところです。何より文章はかなり気に入っています。今思案中の個人全集です。
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