2012年12月

東雅夫編著「世界幻想文学大全」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。さて今年も大分押し詰まってまいりましたが、ちょうど切りのいいところでおあつらえ向きの本が入ってまいりました。東雅夫編著「世界幻想文学大全・全3巻」です。大分のアンソロジーですね。この叢書をひとことで言うと・・・コミック・アニメ・特撮で育ち、桃源社、牧神社、薔薇十字社のゾッキ本が古書店にあふれ、「幻影城」や「幻想と怪奇」などのB級マガジンが出版された70年代に青春時代を過ごした世代による「文学スノッブ養成講座」です(笑)。同様の読書体験をお持ちの方にはそれほど真新しいことはないのですが、大変懐かしい内容が目白押しです。サブカルチャーを目いっぱい全身に浴びて育ってきた世代が文学に求めていたもの、あるいはその思考を支える信仰告白みたいなものが随所に感じられて面白かったです。それゆえこの本の内容にはオリジナリティはありません。たとえて言うなら熱心に集めたおもちゃの入った箱を開けてみたようなといったところ。そしてこれを見て自分なりのおもちゃ箱を作ってくださいというのが編者の意図ではありますまいか?。

余談ですが、編者の東雅夫さんは仮面ライダーシリーズの大ファンだそうです。まがりなりにも文学作品のアンソロジストと特撮の大ファンというのが個人の中に同居するというのが我々の世代の育ち方をよく表しているように思います。とりとめのない感想で申し訳ありませんが、もやもやと感じていたことを書いてしまいました。全巻の詳細内容を書いて今年最後の記事といたします。ご訪問&コメントくださった方有難うございました。来年も変わらずよろしくお願いいたします。

『世界幻想文学大全/幻想文学入門』
 東雅夫編著/ちくま文庫

◆「幻想文学」とは、どのような文芸ジャンルなのか
幻想文学について(澁澤龍彦)
幻想文学について(澁澤龍彦)

◆日本における幻想文学の受容
私の履歴書(平井呈一)
覗き小屋の二つの窓(紀田順一郎)

◆アンソロジーに学ぶ(東雅夫)

◆幻想文学の極意はスタイルにあり
短編よ、よみがえれ(中井英夫)
アルゴールの城にて(倉橋由美子)

◆幻想文学にはどのような歴史と作品があるのか
文学における幻想的なものについて(ノディエ)窪田般彌訳
文学における超自然的なるもの(ハーン)池田雅之訳
文学と超自然的恐怖(ラヴクラフト)植松靖夫訳
妖精物語からSFへ(カイヨワ)三好郁朗訳

世界幻想文学年表(東雅夫編)
収録作品著者・翻訳者紹介
作家名索引

『世界幻想文学大全/怪奇小説精華』
 東雅夫編/ちくま文庫

嘘好き、または懐疑者(ルーキアーノス)高津春繁訳
石清虚/龍肉/小猟犬――『聊斎志異』より(蒲松齢)柴田天馬訳
ヴィール夫人の亡霊(デフォー)岡本綺堂訳
ロカルノの女乞食(クライスト)種村季弘訳
スペードの女王(プーシキン)神西清訳
イールのヴィーナス(メリメ)杉捷夫訳
幽霊屋敷(リットン)平井呈一訳
アッシャア家の崩没(ポオ)龍膽寺旻訳
ヴィイ(ゴーゴリ)小平武訳
クラリモンド(ゴーチエ)芥川龍之介訳
背の高い女(アラルコン)堀内研二訳
オルラ(モーパッサン)青柳瑞穂訳
猿の手(ジェイコブズ)倉阪鬼一郎訳
獣の印(キプリング)橋本槇矩訳
蜘蛛(エーヴェルス)前川道介訳
羽根まくら(キローガ)甕由己夫訳
闇の路地(ジャン・レイ)森茂太郎訳
占拠された屋敷(コルタサル)木村榮一訳

解説(東雅夫)
著者・翻訳者紹介

『世界幻想文学大全/幻想小説神髄』
 東雅夫編/ちくま文庫

天堂より神の不在を告げる死せるキリストの言葉(ジャン・パウル)池田信雄訳
ザイスの学徒(ノヴァーリス)山室静訳
金髪のエックベルト(ティーク)今泉文子訳
黄金宝壺(ホフマン)石川道雄訳
ヴェラ(リラダン)齋藤磯雄訳
アウル・クリーク橋の一事件(ビアス)中村能三訳
精(マクラウド)松村みね子訳
白魔(マッケン)南條竹則訳
光と影(ソログープ)中山省三郎訳
大地炎上(シュウォッブ)多田智満子訳
なぞ(デ・ラ・メア)紀田順一郎訳
衣裳戸棚(トーマス・マン)実吉捷郎訳
バブルクンドの崩壊(ダンセイニ)佐藤正明訳
月の王(アポリネール)窪田般彌訳
剣を鍛える話(魯迅)竹内好訳
父の気がかり(カフカ)池内紀訳
沖の小娘(シュペルヴィエル)堀口大學訳
洞窟(ザミャーチン)川端香男里訳
クレプシドラ・サナトリウム(シュルツ)工藤幸雄訳
アレフ(ボルヘス)牛島信明訳

戸松淳矩「剣と薔薇の夏」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は少し前に買った本を消化してしまおうというコーナーです(笑)。戸松淳矩さんの日本推理作家協会賞・受賞作品「剣と薔薇の夏」です。いやはや大作でございました。おなかいっぱいです。下巻の解説で法月さんが書いてられるようにPD・ジェイムズとかお好きな人はなかなかいいんじゃないかと思います。時代ミステリ・・・なんですが重爆級の細密描写がすごいです(笑)。全体の1/3は我慢してお読みください。さすれば四方八方に張り巡らされた伏線が生きて金糸銀糸の如く輝きだします。近頃にはめずらしい書きっぷりなので快速サスペンスをお望みの方にはすこし期待外れの作品と映るかもしれません。皆様はいかがでしょうか?。因みにヤフーブログ内で検索いたしますと7件といたく人気がないようです(笑)。



出版社紹介:
『1860年、日本使節団の来航に沸き返るニューヨークで勃発した奇怪な連続殺人。〈ノアの方舟〉や〈燔祭に捧げられるイサク〉など、死者の傍に残される旧約聖書の切り抜きは何を意味するのか?サムライ使節団と殺人事件の関係は?アトランティック・レヴュー社の古株記者ダロウと挿絵画家フレーリが真相を追う。第58回日本推理作家協会賞を受賞した華麗な時代推理巨編、文庫化。』

宇宙大怪獣ギララ・他(マイナー特撮映画3種)

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こんばんは、皆様、珍しく三頌亭シネマ館です。以前youtubeを覗いていたときに見つけた映画2本と手元にあった松竹のマイナー怪獣映画「宇宙大怪獣ギララ」とを合わせて3本立てとしてみました(笑)。このうち三頌亭がリアルタイムに見たのは「ギララ」のみです。そこはかとなく陽の当たらなかった3本の映画ですが、今見ると結構楽しめたりします。「宇宙大怪獣ギララ」のほうはメインのストーリーとはあんまり関係のない恋の鞘当てがおかしかったり、「ガンマー第3号 宇宙大作戦」ではテンポのいい快速Bムービーを楽しむことができたり、「恐竜・怪鳥の伝説」では微妙に70年代の雰囲気がおかしかったりと見どころは満載です(笑)。そういえば「恐竜・怪鳥の伝説」の予告編を劇場で見た時は死んでも行っちゃあダメって思ったのを懐かしく思い出しました(笑)。


追記:一応、全編視聴が可能です
【劇場版】恐竜・怪鳥の伝説[公式]
http://www.youtube.com/watch?v=JJk-tCuZXXM
【劇場版】ガンマー第3号 宇宙大作戦[公式]
http://www.youtube.com/watch?v=DLGBChGWSlw

閑話(入荷予定他)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。世間様ではクリスマスでございますね。皆様いかがお過ごしでしょうか?さて、これと言って新しく入荷した本とか読んだものはないので今発注かけてるのをひとつ紹介いたします。最近、見つけたのですがLeonaurという出版社がありましてここがゴーストストーリーを書いた作家の作品をまとめて出版しています。レファニュやストーカーは言わずもがなですが、リチャード・マーシュと言ったところもかなりの巻数で以て網羅していてかなり興味があります。試しにエリザベス・ギャスケルのゴーストストーリーをまとめたものを頼んでみました。出版目録にはまだ読んだことがない作家もたくさん含まれていますので順次集めて行きたいと思ってます。ただし、ワーズワース社などと違いお値段の方がすこし高いです。ストーカーの作品集なんかは1巻500頁オーバーで5巻もあります。

kowa BD32-8

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こんばんは皆様、三頌亭です。久しぶりの機材ネタですね(笑)。鳥見のサブ機にコンパクトな双眼鏡が欲しいと思い買ってみました。コルゲンコーワのコーワBD32-8です。三頌亭初のダハプリズムの双眼鏡です。なので少しだけインプレを書いてみましょう。メカニクスと言うか造りはいいです。ホールドもやりやすいですし、防水ですね。思ったよりはコンパクトで使いやすいです。さて肝心の見え方ですが、少し色収差が目につきます。コントラストのきつい日中の野鳥をみるとかなりはっきり見えてきます。しかし概ねすっきりしたフラットな見え方で悪くはありません。このところずっとフジノンの防振双眼鏡とニコン8x30EII を使ってきたのでどうしても比べてしまうのですが、像はニコン8x30EIIの方がいいように思います。ましてあの見かけ視界の広さですから仕方がないです。やっぱりポロの方が安くて良い像を得やすい構造なのかもしれませんね。なんか改めてそう思ってしまいました。ビクセンのアルティマ8x32とどちらが像が好きかと言われるとやビクセンの方に個人的には軍配を上げてしまいます。
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