2012年05月

「宝石」一九五〇: 牟家殺人事件&レオ・ブルース「死の扉」他

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こんばんは皆様、三頌亭です。えーとですね、一週間のご無沙汰です。まだ相変わらずの状態なので本の方は細々と買うばかりでまったく消化しきれておりません。なので出張の移動の道中読んだ本のお話でもいたしましょう。

『牟家殺人事件』はかつての雑誌「宝石」に掲載されたまま埋もれていた作品です。作者は魔子鬼一といって謎のペンネームのみが知られている作家です。『牟家殺人事件』は戦時中の中国の風俗描写がふんだんに取り入れられた作品で今はもうこのような作品を書くことのできる作者はいなくなってしまっています。おそらく大陸経験者という予想を解説の山前氏は書いています。ミステリーとしては王道の連続殺人事件の体裁です。資料として時代背景に興味のある方は面白い作品だと思います。三頌亭も初めて目にする作品でした。

レオ・ブルース普及委員会(笑)の小林晋氏による新訳「死の扉」です。長らく古書店のレアアイテムだったものですが手にとりやすい版が出たことを喜びたいと思います。植草甚一の企画した現代推理小説全集の1冊として清水俊二により初めて紹介されましたが、長らく絶版だったものです。他の出版社から出版されたレオ・ブルースの翻訳も現在では7冊になりました。ポスト黄金期の収穫としてお楽しみいただければよろしいかと思います。三頌亭は『ロープとリングの事件』とこの作品が好きです。

追加としてフリードリヒ グラウザー 「狂気の王国」を紹介しておきます。「砂漠の千里眼」と並んで種村季弘の晩年の翻訳です。ミステリとしてはまあ通常のカタルシスは得られそうにない気がしますが、別の面白さがあるように思います。

出版社紹介
『この探偵小説の舞台は精神病院、それも20年代の先鋭に改革の進められつつあった施設である。今世紀初頭のスイスの精神病院は、他国に類を見ない、いささか語弊はあるが、名だたる大物精神病者たちと医師団を抱えた、精神病院のメッカであった。大狂気画家アドルフ・ヴェルフリ、元名ヴァイオリニストの狂気画家ルイ・ステー、永久機関の発明者=車輪狂アントン・ハインリヒ・ミュラーなど、後にシュルレアリストたちが随喜の涙を流すことになる、これらの狂気芸術家たちとその作品の面影は、この小説のどこかに描き込まれているはずだ。 精神医学花盛りの1930年代、スイスの精神病院を舞台に繰り広げられる異色の探偵小説。狂気の精霊マットの支配するむき出しの無意識の世界を描く。スイスの名刑事シュトゥーダー、日本初登場作品。』

追記:復刊情報です。
由良君美「みみずく偏書記」ちくま文庫で復刊しました。この調子で青土社のエッセイを復刊してほしいです。

新入荷?の話など

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こんばんは、皆様、三頌亭です。相変わらずリアル多忙につき読書をする時間が取れてません。なので、これと言ったものは読んでいませんね。申し訳ないです。というわけで最近入ったものでも紹介いたしましょう。

いつも書店でもらってる小学館のPR誌「きらら」です。中村佑介さんの表紙で持って帰ってるところも老いのですが、大島弓子さんのマンガを読んでます(笑)。次はブック○ーケットへ行くとよく置いてあるのですが、筑摩の現代文学全集の端本です。殆ど読んだ形跡なのない昨日印刷したような本だったので何冊か買ってみました(1冊100円)。梶井基次郎は以前から全集というか全部読んでみようと思っている作家です。舟橋聖一は殆ど読んだことがありませんが、ちょっと読んでみたいと思ってます。さて最後は矢野目源一の草稿を入手してみました。今まで何度かチャンスはあったのですが値段が折り合わないので見送ってきました。今回は30枚近くある草稿で値段が安かったので入手してみました。大変端正な字を書く人だと思います。ペン書きの草稿だとよくわかることですが・・。

花柳章太郎「きもの簪」

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こんにちは、皆様、三頌亭です。またあげっぱなしですね(笑)。申し訳ありません。花柳章太郎の「きもの、簪」です。題の通り、きものや簪のことを話題にしたエッセイ集ですが、意外に読みやすくて面白かったです。戦後すぐくらいの出版ですが、紙質の悪くないきれいな出版だと思います。それぞれ2,3頁くらいのものばかりなのでどこからでも読み始められます。読んで驚いたのは結構な簪のコレクターなのですね、この人。ちょっとした蒐集にまつわるお話も書き手の心情がほの見えて悪くない感じのエッセイだと思いました。

骰子の7の目「ハンス・ベルメール」-シュルレアリスムと画家叢書【第2巻】

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めずらしくアート篇のフォルダの更新です。フィリパッキ社から出た画家叢書の日本語版です。私どもの年代には懐かしい方もいらっしゃると思います。しかしなかなかないラインナップの画家叢書でしたので今でも好きな叢書です。新しく出た増補新版を1冊買ってみましたが、プレートなどが入れ替えられておりまして悪くない編集でした。この叢書を見ていたころはドノエル版のベルメールの画集を入手するのが大変でした。今では現物の版画もそう高価ではない範囲で入手できることを考えると隔世の感があります。シュルレアリスム絵画入門用には面白い叢書だと思います。今回の増補新版は6冊を選んで出版されているそうです。

三橋一夫ふしぎ小説集成・全3巻

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こんばんは、皆様、三頌亭です。どうもお久しぶりです(笑)。写真のみアップして記事を書かないでそのままというのが増えて来ております。すいません。リアル多忙につきご勘弁ください。興味がおありの方は現物に当たってください、悪しからずご了承くださいませ。

ところで写真の本「三橋一夫ふしぎ小説集成・全3巻」です。春陽堂文庫版を読んでからほぼ30年ぶりの再読となっております。以前読んだ時より今度の方が良かったように思います。色々なタイプの短編が集められておりますが、後味の悪いものがほとんどないというのがこの人の特徴です。後年、いわゆる「明朗小説」の書き手として人気が出たのも頷けるような気がします。今の作家でいえば恒川 光太郎さんあたりが近い作風でしょうか?。そう言ったものを好みの方にはお薦めの作品集です。編集はもれなく収録されていますので3巻で少し値が張るのが残念ですが、入手する価値は十分あると思います。
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