こんばんは皆様、三頌亭です。えーとですね、一週間のご無沙汰です。まだ相変わらずの状態なので本の方は細々と買うばかりでまったく消化しきれておりません。なので出張の移動の道中読んだ本のお話でもいたしましょう。
『牟家殺人事件』はかつての雑誌「宝石」に掲載されたまま埋もれていた作品です。作者は魔子鬼一といって謎のペンネームのみが知られている作家です。『牟家殺人事件』は戦時中の中国の風俗描写がふんだんに取り入れられた作品で今はもうこのような作品を書くことのできる作者はいなくなってしまっています。おそらく大陸経験者という予想を解説の山前氏は書いています。ミステリーとしては王道の連続殺人事件の体裁です。資料として時代背景に興味のある方は面白い作品だと思います。三頌亭も初めて目にする作品でした。
レオ・ブルース普及委員会(笑)の小林晋氏による新訳「死の扉」です。長らく古書店のレアアイテムだったものですが手にとりやすい版が出たことを喜びたいと思います。植草甚一の企画した現代推理小説全集の1冊として清水俊二により初めて紹介されましたが、長らく絶版だったものです。他の出版社から出版されたレオ・ブルースの翻訳も現在では7冊になりました。ポスト黄金期の収穫としてお楽しみいただければよろしいかと思います。三頌亭は『ロープとリングの事件』とこの作品が好きです。
追加としてフリードリヒ グラウザー 「狂気の王国」を紹介しておきます。「砂漠の千里眼」と並んで種村季弘の晩年の翻訳です。ミステリとしてはまあ通常のカタルシスは得られそうにない気がしますが、別の面白さがあるように思います。
出版社紹介
『この探偵小説の舞台は精神病院、それも20年代の先鋭に改革の進められつつあった施設である。今世紀初頭のスイスの精神病院は、他国に類を見ない、いささか語弊はあるが、名だたる大物精神病者たちと医師団を抱えた、精神病院のメッカであった。大狂気画家アドルフ・ヴェルフリ、元名ヴァイオリニストの狂気画家ルイ・ステー、永久機関の発明者=車輪狂アントン・ハインリヒ・ミュラーなど、後にシュルレアリストたちが随喜の涙を流すことになる、これらの狂気芸術家たちとその作品の面影は、この小説のどこかに描き込まれているはずだ。 精神医学花盛りの1930年代、スイスの精神病院を舞台に繰り広げられる異色の探偵小説。狂気の精霊マットの支配するむき出しの無意識の世界を描く。スイスの名刑事シュトゥーダー、日本初登場作品。』
追記:復刊情報です。
由良君美「みみずく偏書記」ちくま文庫で復刊しました。この調子で青土社のエッセイを復刊してほしいです。
『牟家殺人事件』はかつての雑誌「宝石」に掲載されたまま埋もれていた作品です。作者は魔子鬼一といって謎のペンネームのみが知られている作家です。『牟家殺人事件』は戦時中の中国の風俗描写がふんだんに取り入れられた作品で今はもうこのような作品を書くことのできる作者はいなくなってしまっています。おそらく大陸経験者という予想を解説の山前氏は書いています。ミステリーとしては王道の連続殺人事件の体裁です。資料として時代背景に興味のある方は面白い作品だと思います。三頌亭も初めて目にする作品でした。
レオ・ブルース普及委員会(笑)の小林晋氏による新訳「死の扉」です。長らく古書店のレアアイテムだったものですが手にとりやすい版が出たことを喜びたいと思います。植草甚一の企画した現代推理小説全集の1冊として清水俊二により初めて紹介されましたが、長らく絶版だったものです。他の出版社から出版されたレオ・ブルースの翻訳も現在では7冊になりました。ポスト黄金期の収穫としてお楽しみいただければよろしいかと思います。三頌亭は『ロープとリングの事件』とこの作品が好きです。
追加としてフリードリヒ グラウザー 「狂気の王国」を紹介しておきます。「砂漠の千里眼」と並んで種村季弘の晩年の翻訳です。ミステリとしてはまあ通常のカタルシスは得られそうにない気がしますが、別の面白さがあるように思います。
出版社紹介
『この探偵小説の舞台は精神病院、それも20年代の先鋭に改革の進められつつあった施設である。今世紀初頭のスイスの精神病院は、他国に類を見ない、いささか語弊はあるが、名だたる大物精神病者たちと医師団を抱えた、精神病院のメッカであった。大狂気画家アドルフ・ヴェルフリ、元名ヴァイオリニストの狂気画家ルイ・ステー、永久機関の発明者=車輪狂アントン・ハインリヒ・ミュラーなど、後にシュルレアリストたちが随喜の涙を流すことになる、これらの狂気芸術家たちとその作品の面影は、この小説のどこかに描き込まれているはずだ。 精神医学花盛りの1930年代、スイスの精神病院を舞台に繰り広げられる異色の探偵小説。狂気の精霊マットの支配するむき出しの無意識の世界を描く。スイスの名刑事シュトゥーダー、日本初登場作品。』
追記:復刊情報です。
由良君美「みみずく偏書記」ちくま文庫で復刊しました。この調子で青土社のエッセイを復刊してほしいです。