2011年11月

山本禾太郎「小笛事件」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。いろいろごそごそやっていたら出てきた本です。ひょえー、これは懐かしいです。という代物です。ぷろふぃる社の山本禾太郎(のぎたろう)「小笛事件」です。たぶん幻影城で読んだのが初めての作品ですが、ぷろふぃる社というのがうれしくて買った本だったと思います。山本禾太郎「小笛事件」は甲賀三郎の「支倉事件」とならぶ裁判物の代表作でした。今でいえばドキュメントノベルといったたぐいのものですが、期せずして本格ミステリーとなっている稀有な例です。特に検察側の提出した容疑事実を弁護側が逐一反駁していく様は圧巻です。作中、法医学的な論議に踏み込んだ浩瀚な記述もありますが、まずまずうわさ通りの内容で面白かった記憶があります。不満としては一点だけ明らかにされない事実があるのですが、これを作中ではあえて述べられない内容としていることぐらいでしょう。

現在この作品は創元推理文庫「日本探偵小説全集第11巻」に収録されています。因みにぷろふぃる社の刊本にはカバーが付いておりました。完全な状態ですとビジュアル的にはあまり面白くない本ですが、現在はかなりとんでもない値段らしいです(笑)。裸本は当時は安くて、神田のT書店で2000円でした。

小野不由美「ゴーストハント・扉を開けて」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。だいぶ寒くなってきましたね!。今日は珍しく新刊です。浜松町駅の本屋さんで買って飛行機の中で読みました(笑)。最近、新刊本屋さんへ行くのはこんな時ぐらいです。ところで小野さんの「ゴーストハント」最終巻です。やっと終わりました。やっぱり小野さんの代表作だと思うのですが・・・、世間的には違うのかな?。

最終巻ではナルの正体が最後で明らかにされます。そのあと一つサプライズがまっております。このあたり少し推理小説とのアマルガムのようで面白いです。このシリーズは正統派実話怪談の成果を盛り込んだフィクションで「超心理SRI」とでも言いたくなるようなシリーズでした。因みに全巻購入の特典は化粧箱とブックレットだそうです(笑)。

豊島与志雄「山吹の花」&安部公房「笑う月」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。たまには本の話題でも・・・といっても大したものは読んでいないのですが・・。最近、買ったものの中から紹介いたしましょう。豊島与志雄「山吹の花」はたぶん最後の著作でしょう(再録もの?)。どちらかというと翻訳家としての方が有名かもしれません。文豪怪談のアンソロジーのところでも書きましたが、もう少し読んでみたい作家の一人です。「山吹の花」は短編集で私小説の題材をそのまま投げ出したような作品が多いです。集中「霊感」という作品が実話怪談風で作者の近くで起こった非常に不思議な出来事を描いています。あまり読書欲がのらないときはこのあたりの文章が肩がこらずにぴったりです(笑)。

次は本がきれいだったのと大きな版だったので買ってみました。安部公房「笑う月」です。「万物は流転する」よろしくゆるゆると夢とも現実ともつかないお話が続きます。途中ではさまれる挿絵(デカルコマニー?)がモダンなデザインで楽しいです。活字も大きくて余裕のある出版はやっぱりいいですね。

ヴァランチーヌ・ユーゴー・アルニム怪奇物語集より

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こんばんは皆様、三頌亭です。シュルレアリスムの女流画家ヴァランチーヌ・ユーゴーについては以前から何度か紹介いたしました。今日は彼女の出世作・アルニム怪奇物語集の挿絵を紹介いたします。ドイツロマン派のアヒム・フォン・アルニムについては「エジプトのイザベラ」なども訳出されているようですからそちらの方でご覧下さい。

最近ではフィニーやキャリントン、はてはタニングまで女性のシュルレアリスム画家の展覧会が日本で開かれるようになりました。にもかかわらずヴァランチーヌ・ユーゴーの展覧会が日本で開かれることはありません。その作品の多くが油彩でないせいもあるのかもしれませんが、もう少し注目されてもいいような気がしております。とりあえず、印刷ではありますが彼女の細密かつ幻想的な挿絵をお楽しみください。

余談ですがgoogleで「ヴァランチーヌ・ユーゴー」と画像検索すると三頌亭ばかりがかかってきたのには笑ってしまいました。ひょっとして恐ろしくマイナーな扱いの状態なのではと改めて思いました(笑)。因みにヴァランチーヌ・ユーゴーは舞台や映画のコスチュームデザインなども多く手掛けておりましてドライヤーの「裁かるるジャンヌ」などのデザインは彼女が担当してます。

中島河太郎・紀田順一郎編「現代怪談集成」&「現代怪奇小説集」

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こんばんは皆様、三頌亭です。今日は怪奇小説のマニアの方は当然お読みであろうと思われる本を紹介いたします。この方面のアンソロジーとしては現在現役の東京創元社の日本怪奇小説傑作集(全3巻)があります。もちろん収録作は今日紹介する2つのシリーズとは少し異なっておりますが、編者に紀田順一郎がはいっているため、この3つのアンソロジーを通しての編集方針に大きな違いはありません。

本邦の怪奇小説のアンソロジーとしては写真にお示しした2つは最もスタンダードなもので、70年代に出版されて以来のロングセラーでした。どいういわけか現在は文庫化もされず捨て置かれていますが、そうしておくには惜しい出版です。収録作などはアップした写真にてご確認ください。おなじみの作品もありますが、伊波南哲などこの選集でなければ読みにくい作品も多く収録されています。
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