2011年04月

「大倉燁子探偵小説選」&「おやすみラフマニノフ」

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こんばんは皆様、三頌亭です。今日は最近読んだ本から紹介いたします。論創社のシリーズから「大倉燁子探偵小説選」です。たぶんこの人の作品がまとまって出るのは最近では初めてでしょう。ペンネームは「大倉燁子」、本名は本名物集芳子。廣文庫で有名な国学者物集高見の娘です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%80%89%E3%81%A6%E3%82%8B%E5%AD%90
女流探偵小説作家の嚆矢と言っていいかと思います。作品内容はどちらかというと犯罪心理小説のようなものが多いです。収録作品は下記の通りです。外交官S夫人のシリーズなどはなかなか面白いですが、集中で特にというと「和製椿姫」でしょうか?作家本人の自伝的心象風景が取り入れられていてぐっと来るものがありますね・・。
(創作篇)
「妖影」「消えた霊媒女(ミヂアム)」「情鬼」「蛇性の執念」
「鉄の処女」「機密の魅惑」「耳香水」「むかでの跫音」「黒猫十三(とみ)」
「鳩つかひ」「梟の眼」「青い風呂敷包」「美人鷹匠」「深夜の客」
「鷺娘」「魂の喘ぎ」「和製椿姫」「あの顔」「魔性の女」「恐怖の幻兵団員」
(随筆篇)
「心霊の抱く金塊」「素晴しい記念品」「蘭郁二郎氏の処女作――「夢鬼」を読みて――」「今年の抱負」「最初の印象」「アンケート」
「解題」横井司

さてと、なんとなく買ってあって読んだもの・・中山七里「おやすみラフマニノフ」です。これ一応はミステリ的な要素があるのですが、音楽小説とういうかそんな感じです。クラッシックの名曲とオーケストラのメンバーが織りなす人間模様というか、ドラマですな。私などと同年代の方が書いてるんであまり私には違和感がないんですが、皆様はどうでしょうか?。素材になってる曲を知っていればそれなりに面白いんですが、曲の演奏中の描写がかなり長いので知らない人は少し退屈かもしれません。ミステリ的な要素の部分は初めの方からジャクリーヌ・デュ・プレって何度も出てくるのでクラッシックファンの方には周知の事実ですね。比較的読みやすい文章で悪くは無い作品だと思います。クラッシックファンの方にはお薦めといったところでしょうか?

小泉喜美子「月下の蘭」

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こんばんは皆様、三頌亭です。最近少し別件で忙しいので中座しまくりです。(笑)。さて、出しておいた小泉喜美子の文庫本「月下の蘭」です。この作品集は中編4編を含む作品集ですが、それぞれ歌舞伎の演目にインスパイアされた作品ばかりです。「歌舞伎とミステリー」というようなエッセイにもあるように小泉喜美子さんの好みが高じた作品集です。どちらかというと怪奇幻想小説といった趣のものばかりで、所謂ミステリを期待する方にはあまりお勧めできないものかもしれません。収録作品は下記の通りでそれぞれヒントにした歌舞伎の演目が示されています。
「月下の蘭」(春は花『双面水照月』)
「残酷なオルフェ」(夏は星『田舎源氏露東雲』) 
「宵闇の彼方より」(秋は虫『土蜘蛛』)
「ロドルフ大公の恋人」(冬は鳥『積恋雪関扉』)
個人的には冒頭の「月下の蘭」が最も好みです。乱歩のいうところに従えば「植物怪談」ということになりますが、この手の趣向のものは大坪砂男の「零人」くらいしか見当たらないという珍しいものです。これ以外では最後の「ロドルフ大公の恋人」がいいです。伝説の「極楽鳥」に雪という取り合わせがなんとも素晴らしい視覚的な効果を生んでいるように思います。この本はおしくも絶版ですがまだよくみますので見つけましたらどうぞお読みになってみてください。

佐々木昭一郎「夢の島少女」

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こんばんは皆様、三頌亭シネマ館です。今日はNHKアーカイブスより1970年代初期に作られましたテレビ映画「夢の島少女」を紹介いたします。まずは当時の新聞からの紹介文です。
『田舎から東京へ出てきた夢多き一人の少女と孤独な少年との出会いを、メルヘンふうに描き、物質文明第一主義の現代、人々が失ってしまっている“一番大切なもの”を改めて問いかけるドキュメンタリー・ドラマ。 …… 全体の三分の二以上をことば以外の音で構成するという新手法も見どころ。』
因みにドキュメンタリー・ドラマとありますが、純然たる創作映画です。ドキュメンタリーの手法のみを活用した実験的な映画です。この作品はまったく知らなかったのですが以前テレビで見て唸ってしまいました。よくできたスタジオシステムの映画とは異なって非常に荒いテクニックなのですが、妙にあとで気になる映画でした。非常に初々しいというか撮った撮影陣の熱意が感じられて素晴らしいです。実験作なのですがみょうにつげ義春のマンガめいたシーンがはさんであって不思議な作品でした。特に目が行ったところはラストのヘリコプターを使った移動撮影で数キロ先から主人公たちのクローズアップまで切れ目なしのカットがすさまじいです。バックに流れるバッハのカノンが大変印象的でした。DVD等にはなっていませんが、記憶に残る作品だと思います。

追記:画質は悪いですが・・・ここで見られます。
http://www.nicovideo.jp/mylist/5907817

オオカミさんと七人の仲間たち

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こんばんは、皆様、三頌亭アニメ館です(笑)。今日は「オオカミさんと7人の仲間たち」を紹介いたします。『オオカミさんシリーズ』は、沖田雅による一連のライトノベル作品で、それのアニメ化作品でございます。この作品の特徴はは各エピソードをおとぎ話のキャラクターで統一してあることでしょう。もちろん作者の独自の解釈で現代的にかつ身近にマッチさせたキャラクターなのですが、これがかなり面白いです。最初はちょっとどうかと思っていたんですが、軽妙なナレーションに魅かれて最後まで見てしまいました。「文学少女」などより少し早く、特殊なテーマで全体を統一した嚆矢だろうと思います。エピソードが回を追って進むにつれて、登場人物の結構ドロドロの過去が明らかになっていくあたりは、絵から想像がつかないです。それでも最後は明るくまとめて後味もすっきり、最近では出色だったなと思っている作品でした。非常に変った仕掛けの学園ラブコメ作品です。

雑談02(フィルム・ノアール等)

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こんばんは、皆様、三頌亭です。なんとなく話題も途切れてますが・・最近、入荷した本から紹介しましょうか?。映画関連のデータベースというか写真のような本は基本的にはあまり買わない三頌亭なのですが、少し見たいジャンルの映画のモノグラフもあってもいいかと思い買ってみました。「フィルム・ノアール」というのはwikiによれば「フィルム・ノワール (Film noir) は、虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画を指した総称である。」とあります。また「狭義には、1940年代前半から1950年代後期にかけて、主にアメリカで製作された犯罪映画を指す。」とも書いてあります。私はダーク・ハリウッド・シネマというのがぴったりくる表現かなと思ったりもします。

今回入荷した「フィルム・ノワール事典」ですが、パラパラめくっているとみてない面白そうな映画たくさんあって楽しいです。以前から50~60年代のBムービーというのをたくさん見たいと思っているのですが、このようなジャンルの映画もその一つのうちでしょう。ただ、たくさん見るためにはDVDというわけにもいかないので、衛星放送などの専用チャンネルが適当なのかもしれません。カラーでCGバリバリの最近の映画も面白くないわけではないのですが、この年代の映画にはまだまだ私の興味をそそるものが多いのも事実です。まだまだ思うようには見れないなあといつも思ってます。
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