2010年10月

トリュフォー「黒衣の花嫁」&マイケル・パウエル「血を吸うカメラ」

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こんばんは皆様、三頌亭シネマ館です。今日は2本紹介いたします。このところアイリッシュ原作の映画をいくつか紹介いたしましたが、今日はその中の傑作「黒衣の花嫁」を紹介いたします。原作はもう一つでも映画はよくできているということがままあります。アイリッシュの原作「黒衣の花嫁」はやや一本調子で、紋切り型のサスペンス小説です。ほぼ初めからラストまでみえみえなところが多く、彼の作品とすればもっといいものがほかにあります。

対してヒッチマニアのトリュフォー監督作品ですが、主演のジャンヌ・モローが良いこともあって大変面白い映画に仕上がっております。どのように主人公が自分の夫を殺害してゆくか?、映画ならではの表現方法でアイリッシュの原作映画化作品のうちの白眉といっていい作品だと思います。三頌亭の好きなカットを写真で入れておきます。余談ですが「怪奇大作戦」まったく同じカットが出て来てこれが元ネタかなと思った記憶があります。

次はマイケル・パウエル監督作品「血を吸うカメラ」です。「赤い靴」や「ホフマン物語」で知られるイギリスの名匠・マイケル・パウエルの撮った異常心理ものの映画です。ヒッチコック「サイコ」とほぼ同時期に作られた映画ですが、どちらかといえばワイラーの「コレクター」なんかの方に近いです。いやーこの映画いいですね~(笑)。映画ファンならきっと興味を持つであろうシーンが満載です。スコセッシやデ・パルマが絶賛したB級映画だというのも首肯できる内容です。ただし題がいかにもな感じになってますが、いわゆるホラー色は薄いです。

VHSで出ていたのですが、廃盤になってしまって、スティングレイがDVDにするまで長いことかかりました。最近まで廉価版が出ていたのですが、今品切れらしいです。デジタルリマスターになって大変綺麗です。興味の方はTVなどでどうぞ。

「血を吸うカメラ」:あらすじ
「マーク・ルイス(カール・ベーム)は撮影所のカメラマンをつとめるかたわらヌード写真撮影のアルバイトをしている。彼の亡父は有名な心理学者で人間の〈恐怖〉に対する反応研究に生涯を捧げた。そしてマークは幼時、父の実験材料として育ったため、いまでは自分に殺される寸前の犠牲者の恐怖と、断末魔の表情を撮影、そのフィルムを自分で現像映写することに生きがいと快感を覚えるようになっていた。彼は必ずシネ・カメラを携帯して歩いていたが、最初の犠牲者はドラという街娼だった。ドラの自室につれこまれたマークはカメラの三脚に仕込んだ兇器を片手に、カメラのシャッターを押しながら女に迫った。翌朝、運び出される女の死体をそっと撮影しているマークの姿が……。その夜、ドラ殺害のフィルムを映写しているところへ、マークの部屋の下に住むヘレン(アンナ・マッシー)が訪ねてきた。その日は彼女の誕生日でお祝いのケーキのおすそわけにきたのだ。二人は親しくなった。マークに彼の幼時の暗い過去を聞いたヘレンは同情し、その孤独感を柔らげようとした。……が、翌日、マークは撮影所で新人女優のビビアン(モイラ・シアラー)をスクリーン・テストを口実に誘い出し、またも殺害、それをカメラに収めた。マークは死体を小道具のトランクに詰めて去った。数日後、ビビアンの死体が発見されたが警視のグレッグはドラ殺しと関連のあることに気づいた。そして捜査の協力者で精神病学者のローズン博士からマークの父のことを聞くと早速マークに尾行をつけた・・・」

ジョン・ファーロウ「夜は千の眼を持つ」

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こんばんは、皆様、三頌亭シネマ館です。書けるときに書いておこうという貧乏根性です(笑)。唐突ですが、「スティーヴン・キングはアイリッシュを読んでいたか?」という質問に三頌亭はイエスと答えます。今日紹介する作品はアイリッシュ原作「夜は千の眼を持つ」の映画化作品です。監督は「大時計」のジョン・ファーロウで、主演は エドワード・G・ロビンソンですね。

なぜキングを持ち出したかというと、キングの「デッド・ゾーン」と同じく、アイリッシュの「夜は千の眼を持つ」は千里眼を題材にしたサスペンス小説だからです。もちろん原作を読んでもいいのですが、キング原作の映画「デッド・ゾーン」も悪くはないので2つならべて御覧になるのも良いでしょう。細部は異なりますが、大筋のプロットは同じです。キングの「デッド・ゾーン」もかなり孤独なお話ですが、アイリッシュの「夜は千の眼を持つ」も悲しいお話です。

どちらがお好きかは見る人の好みによるかと思いますが、わたしはどちらかというとアイリッシュの方が好きですね。ただし盛り上げ方はキングの方が上手かなとも思います(笑)。

あらすじ他(注意!、最後まで書いてます)
http://movie.goo.ne.jp/movies/p9449/story.html

J・リー・トンプソン「恐怖の岬」

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こんにちは、皆様、三頌亭シネマ館です。今回はいわゆる恐怖映画の傑作と言われている作品です。J・リー・トンプソン「恐怖の岬」です。ジョン・D・マクドナルドの原作をもとに映画化されました。ストーカーなどという言葉がなかったころに撮られたリアルな恐怖の物語です。

なんといってもロバート・ミッチャムの変質者ぶりが素晴らしいです(笑)。「狩人の夜」あたりと双璧ですね。対する弁護士役はグレゴリー・ペックという鉄壁のキャスティングです。とにかくしつこいロバート・ミッチャムがなんともコワイ映画です。

この作品はマーチン・スコセッシによってリメイク版が作られましたが、これはデ・ニーロが主演しております。スコセッシの「ケープ・フィアー」は少々やりすぎというか描写があくどすぎかなと少し思いました。「狩人の夜」の刺青を取り入れるなどいっそうインパクトあるシーンを追加してあって、サービス満点なんですが・・・・、まあどちらが好きかは好みによりますか・・。興味のある方は2本並べて御覧になってみてください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%BB%E3

オットー・プレミンジャー「ローラ殺人事件」

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こんにちは、皆様、三頌亭シネマ館です。今日はオットー・プレミンジャーの「ローラ殺人事件」です。ミステリー映画の傑作としてよく知られています。が・・・映画としては見どころ満載で言うことのない映画なのですが、ミステリとしては少し薄味かと思います(笑)。主演のジーン・ティアニーの代表作といっていいでしょう。あらすじなどはwikiなどを参照してください。

ジーン・ティアニーという女優さんを初めて見たのはやはりビデオでありまして、ルビッチの「天国は待ってくれる」という映画でした。最盛期が戦時中から戦後にかけてという方なので時期が悪かったのかもしれません。以前は日本での知名度は低かったように思います。「地獄への逆襲」、「タバコ・ロード」、「砂丘の敵」と見て、三頌亭の大好きなマンキーウィッツの「幽霊と未亡人 」を見ました。

なんとなくイメージが薄倖の人という感じがしていたのですが、DVD付属のドキュメンタリーを見ますとプライベートではいろいろあって、女優としての成功とは裏腹の人生だったようです。「ローラ殺人事件」は彼女の一番良かった時の映画で、またプレミンジャーの初監督作品です。映画としての面白さは非常に優れていると思います。原作は三頌亭は読んだことがありませんが、脚本家のベラ・キャスパリーという人でベストセラーとなったようです。この映画を見るとミステリー映画というのは上手く撮るのが難しいジャンルだと良く思います。


解説その他
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

クルーゾー「悪魔のような女」&ワイルダー「情婦」

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こんばんは、三頌亭シネマ館です。最近本を読んでいないのをいいことに映画の話ばっかりですね。マイナーなミステリー映画や最低ホラー映画(笑)ばかりではいけないと思い、今日はミステリー映画の傑作を2作品紹介いたします。以前も申しましたようにミステリー映画というのは動きが少なくなりやすく、なかなか映画の文法には合わない部分が多いジャンルだと思っております。かのサスペンス映画の巨匠ヒッチコックも「どちらかというと新聞の3面記事のようなものからヒントを思いつくことが多い」などと言っております。原作の優れた本格ミステリほど、映画的な要素を付け加えるのが難しいのではないかと三頌亭は思います。

さてまずクルーゾー「悪魔のような女」です。民生用のVTRが普及するまでどうしても見られなかった映画というのがありまして、これもその一つです。クルーゾーというと「恐怖の報酬」が有名なのですが、ミステリー映画の傑作としてマニアに世評の高かった映画が「悪魔のような女」でした。レンタルなどには出回っていないうえ、当時はビデオの値段が高くてこれ1本に結構な額がかかりました。それで見たわけなんですが、いやー、さすがクルーゾー、なんかこうミステリーというよりはホラー映画に近い感じで、まあフランスの監督さんは残酷がお好きですね(笑)。ところでこの映画にも出てますクルーゾーの奥さん(ヴェラ・クルーゾー)、この映画撮った後、ほどなく亡くなってるんですね。心臓でも悪かったのでしょうか?。因みにこの映画はシャロン・ストーン主演でリメイクされています。

次はワイルダーの「情婦」です。クリスティ原作のミステリ映画はたくさんあって、全部見たなどとはとても言えないのですが、三頌亭の見た中のベストワンがこの作品です。シナリオの「検察側の証人」をそのまま映画化したものですが、キャスティングの妙というか、映画的興味と本格ミステリの面白さが程よくミックスされている傑作だと思います。大方のミステリファンに三頌亭が推薦する一押しの作品です。実はこの映画もどうしても見る機会に恵まれず、ビデオになって初めて見た映画でした。


クルーゾー「悪魔のような女」」:解説
「恐怖の報酬」についでアンリ・ジョルジュ・クルーゾーが監督する推理スリラー「映画一九五五年度作品である。原作はピエール・ボワローとトーマス・ナルスジャックが合作した探偵小説で、クルーゾーとG・ジェロミニが共同で脚色、台詞も担当した。撮影は「恐怖の報酬」のアルマン・ティラールと「禁じられた遊び」のロベエル・ジュイヤアル、音楽は「寝台の秘密」のジョルジュ・ヴァン・パリスである。主演は、「嘆きのテレーズ」のシモーヌ・シニョレ、「恐怖の報酬」のヴェラ・クルーゾー、「宝石館」のポール・ムーリッスで、「埋れた青春」のシャルル・ヴァネル、「密告(1943)」のピエール・ラルケエ、テレーズ・ドルニー、ジャン・ブロシャール、ジョルジュ・シャマラ、ノエル・ロックヴェール、ジョルジュ・プージュリーらが助演する。」


ワイルダー「情婦」:解説
「アガサ・クリスティが自身の短編小説を基に戯曲化した『検察側の証人』の映画化。ミステリー映画というジャンルの中で、間違いなく最高峰に位置する傑作である。金持ちの未亡人を殺した容疑をかけられたレナード(パワー)は、老齢ながらロンドンきっての敏腕弁護士ロバーツ(ロートン)に弁護を依頼。だが“検察側の証人”として法廷に立ったレナードの妻クリスティーネ(ディートリッヒ)から、思いもかけない証言が発せられた……。ミステリーの解説ほど馬鹿げたものはないので、これ以上ストーリーは語れない。ストーリーだけでも充分面白い作品だが、それだけでは名作には成りえない。ロートン、ディートリッヒ、パワーの芸達者ぶりと、ワイルダーの語り口の上手さがあってこそ、ここまでの完成度を誇る映画となったのだ。それは、82年にTVムービーとしてリメイクされた「検察側の証人」が物語以上の魅力を持ち得なかった事でも明らかであろう。」
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