2010年05月

千街 晶之他「本格ミステリ・フラッシュバック 」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。閑話休題、最近ミステリ系の話題が少ないので・・・、安いので買ってきた本から。ガイドブックです。オッサン達による最近風旧作ガイドブックですね(笑)。なかなかチョイスが独断と偏見?に充ちていてすばらしいです。古書店めぐりのお供にどうぞといったところで、あまりこの時代のミステリは読んだことが無いという方には読書欲増進ために必携といえましょうか?。もちろん三頌亭と同じ年代の方には旧作のチェックリストとして面白みはあると思います。ただし大半が良くご存知の方かもしれません。しかし微妙に芯を外してあるのでご覧になってもそれなりの情報は得られるのではないかと思います。

かくいう三頌亭も大半は読んだ作家なのですが、あまり有名でない作品が数多く掲載されていますので、80%くらいの達成率ではないでしょうか?。ま、スポーツではないのでほどほどなんですが・・(笑)。垂水堅二郎「白犬の柩」とか蒼社廉三「戦艦金剛」、輪堂寺耀「十二人の抹殺者」とか読んでみたいのですが入手がむずかしいですね。大河内常平は春陽堂文庫に以前たくさんはいっていたのですが、完全にノーマークでした。楠田匡介、島久平、鷲尾三郎についてはいくつか読んできましたが、まあそれなりといったところで、幻の作品というのも本当に面白いのは極少数かなというのが偽らざる印象です。

あー、ですね、ところで「本格冬の時代」とか「社会派」云々というイメージはいつごろからミステリ関係の本で使い始めたのか知りませんが、嘘とは言わずまでもかなりの線で異論があるんじゃないかと思います。まあ商売ですんで、あんまり目くじら立てても仕方が無いんですが・・・。

ジョージ・スタイナー「白夜のチェス戦争」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日は新入荷の本から紹介いたします。伝説のチェスプレイヤー~ボビー・フィッシャーとボリス・スパスキーのレイキャヴィーク(アイスランド)での世界タイトル戦のルポタージュです。この本は以前から少し興味があったのですが、邦訳(1978:晶文社)がどうも上手く手に入れられなくて英語版になってしまいました。で読んでみたのですが、なんか物凄く読みにくい英文で・・・良くわからないぞ(笑)。因みに邦訳の印象を書いておられる方の文章を拝見したところ、邦訳も何かいてるか良くわからないらしいです(笑)。買わなくてもいい本かもしれません。

三頌亭は全くチェスについて詳しいわけではないのですが、ボビー・フィッシャーという奇行の多い天才プレイヤーには以前から興味があって、どんな人物なのか知りたいと思っていました。また、米ソの冷戦下に行われたこのタイトル戦についても大変興味があって、勝者はもしくは敗者はいかなその後運命を辿ったかもう少し詳しく知りたいと思ったものでした。ボビー・フィッシャーについてはわりと最近、日本の紙面を賑わしましたのでご存知の方も多いでしょう。14歳で史上最年少グランドマスターのタイトルをとってから、ボリス・スパスキーを破って世界チャンピオンとなるまでの彼は正にチェスの天才というにふさわしい活躍ぶりです。

チェスは将棋などよりはるかに競技人口の多いボードゲームですが、ボビー・フィッシャーが活躍したころには、チェスで食っていくことはアメリカでは難しい現状でした。またチェスの世界チャンピオンは代々ソ連が持ち回りで圧倒的な強さを誇っていた時代のことです。それゆえ、「ミサイルをポーンに持ちかえた戦争」といわれたレイキャヴィークでの戦いに勝利したフィッシャーは「アメリカの英雄」でした。このあたりの経緯は最近ではyoutubeなどにドキュメンタリーがアップされていまして、フィッシャー・スパスキー戦の実際の映像を見ることが出来ます。また、その後のフィッシャーの奇行はwikiなどの示すとおり、かなり複雑な性格の御仁です(笑)。

90年代に作られた映画「ボビー・フィッシャーを探して」はある少年がチェスの大会に優勝するまでを描いたホームドラマですが、最近のハリウッドには珍しく(笑)真面目に作られたいい映画です。もう廃盤で申し訳ないのですが、興味のある方はごらんください。

ボビー・フィッシャー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC
ボリス・スパスキー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC

北森鴻「暁英-贋説・鹿鳴館」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。たまには新刊でもと思いますので、今日は写真の本です。北森さんの絶筆となりました「暁英-贋説・鹿鳴館」です。当然未完なのですが、これがなかなかあきさせない面白さがあって、本当に残念です。三頌亭と同年代の作家の中で、好みの文章を書いてくれる数少ない作家達の一人だったのですけれど・・・、返す返すも残念です。このところ最近の方の書いた文章に鼻が利かなくなってしまっているのでなおさらですね。

ところで、この作品ですが歴史のフェイクということで、大変よく調べているというか、やられたなというのが「鹿鳴館の設計図」で、結構詳細のわかっていない建物なんだというのに驚かされます。そこからジョサイア・コンドルと画家の河鍋暁斎を物語の中心を構成する連星として、鹿鳴館に絡む虚々実々の謀略を明らかにしていくストーリーで上質のスパイ小説でも読むような面白さがあります。作品中、少しああそうなのかというところがありました。辰野金吾という後の建築界のボスになる人物が工部大学校の第1期生として登場しますが、以前紹介したフランス文学者の辰野隆の父親ですね。あんまりいい感じの人物としては描かれてないのが少しおかしかったです(笑)。

この作品は歴史小説とミステリーの中間を狙った作品で、これから最後に向けてどう纏めるのだろうとワクワクさせてくれる所で切れてしまってますが、そこまでのところで充分なネタをつぎ込んでいるのでかなり面白い作品になっています。しかしながら、もしも最後まで書いていたらと考えてしまいますが・・・かなわないことなのでしょう。

シリル・ヘアー「風が吹く時」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。今日はシリル・ヘアーの「風が吹く時」をと・・・思いましたが・・以前出してましたね(笑)。耄碌したか・・記憶が・・。まあいいです。音楽を扱ったミステリーなんですが、なかなか読みやすいんですね、翻訳は古いんですが。ヘアーは「法の悲劇」が有名なのですが、あれよりサクサク読めて感じがいいのがこちらの作品。ちょっと勘のいい方はトリックなんかもわかってしまいますが、それでも割合評判がいいです。なんといいますか、黄金期の探偵小説と現代性との適度の混合、微妙に乗りのよいドライブ感がなかなかよろしいです。どこがどうと言うことはないのですが、ヘアーの作品では一番印象に残っている佳品です。残念なことに今品切れなので古書でどうぞ。

R・A・ハインライン「地球の緑の丘」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。引き続きハインラインですね(笑)。別に大好きというわけではない作家なのですが、無視するには少し惜しいストーリーテラーなのでこの際だから・・ということがひとつ。どうも最近の出版事情を見ていますと、細かいタイトルはもうカタログから落ち始めているので集めるなら今の内ということがひとつ(笑)。まあSF御三家のひとりですんで、言ううだけのものは、「タネしかけチョボッとアル」(笑)といったところです。

「地球の緑の丘」は「人形つかい」や「夏への扉」より前の作品、ハインラインの初期作品ですね。SFとしては最初の晴れ舞台、サタデー・イブニング・ポストに連載された連作短篇です。通称・未来史シリーズと呼ばれているもので、現在はハヤカワ文庫(NVですのでご注意を!)に3分冊で収められています(他は『デリラと宇宙野郎たち』と『動乱2100』)。ハインラインというとどちらかというと長編のイメージがあるのですが、初期のこの連作短篇集はハインラインのストーリーテラーとしての資質を窺わせるに充分な作品集です。後期の長編はちょっとという方にもまずまずお薦めしてもよろしいだろうと三頌亭は思います。いかがでしょうか?、皆様。

余談ですが古いアメリカのPBを読んでいるとインキのせいか紙のせいかわからないのですが、独特の臭いがあります。最近はもう慣れたのですが、以前はよく「お前、ちょっと臭うぞ!!」とか思ったものでした。日本の本では少し古めのハヤカワSFのPBが少しには臭いがすることがあります(ミステリのPBは臭いません(笑))。写真の「地球の緑の丘」はアメリカのPBそっくりの臭いがします(笑)。
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