2010年01月

ジュリアン・シモンズ「ブラッディ・マーダー」

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こんばんは、皆様、三頌亭です。このところリアルが忙しくて本どころではなくなってきているのですが、そこはそれ、好きものですので仕方が無いですね(笑)。というわけで今日はジュリアン・シモンズ「ブラッディ・マーダー」です。ところで皆様、シモンズの作品ってお読みになったことがおありでしょうか?。あまり多いとは思えないですね(笑)。このひともこの前紹介いたしました、アントニー・バウチャーなんかと同じ感じがいたします。評論家としては大きな存在なのですが、実作の方はいかがでしょうか?。ご自分でご確認いただければと思います。

ところでこの本はミステリーの通史であります。しかしそこはジュリアン・シモンズ流のトピックの選び方がなされておりまして大変ユニークです。何も初めから読む必要は無く、随所に書き散らされている作家評を読むだけでも大変楽しいです。なかなか好みの激しい人で私がいくつか取り上げましたホイートリーなんかは時間の無駄とまで酷評されてますね(笑)。お読みになる方の好みに応じた作家の評を捜して読むのもひとつの読み方でしょう。ドイルの昔から、レンデルやジェイムズなどの比較的最近の作家まで膨大な数の物が取り上げられていてガイドブックとしての役割も見逃せないことでしょう。

それにしても翻訳のほうは労作ですね。何度かでた改訂版の内容を全て取り込んだ決定版だそうです。職業とはいえよくこんなしちめんどくさい翻訳を仕上げてくれたものです。労せずしてその恩恵にあずかれたことを感謝いたします(笑)。

コリン・デクスター「ジェリコ街の女」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。このところ海外モノばかりですね~。国産品も無いではないのですが、もうひとつぱっとしないのと最近読んでないのとで保留ということにしておきます(笑)。今日はデクスターです。コリン・デクスターは発表した時にリアルタイムで読んだ数少ない海外ミステリー作家です。そのなかから「ジェリコ街の女」を紹介いたしましょう。この作品は前作「死者たちの礼拝」に続き、シルバーダガーを受賞した作品でした。初期の「ウッドストック行最終バス」や「キドリントンから消えた娘」に較べればミステリーとしてはやや薄味なのですが、ドラマの部分がより面白いものに仕上がっています。モース警部は怪死事件にまきこまれたあげく、逃げるところを新米刑事にふんづかまったり、殺人現場にこっそり忍び込んだりとなかなか忙しいです(笑)。この作品、テレビシリーズがあるのですが、見てないんですね。なんでも本国では視聴率50%越えの超人気ドラマだったとか、・・機会があれば見てみたいです。

ロジャー・スカーレット「白魔」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。この前ゆきあやさんが「ローリング邸の殺人」を読んで素晴らしいといっておられたのが気にかかっていたので取り寄せて読んでみた作品です。最近、スカーレットの作品は5作品ある中の4作品が新刊で読むことができるようになりました。実を言うと三頌亭は「エンジェル家の殺人」しか読んでおらず、残りの作品はあんまり面白くないのではないかと思い込んでいました。それというのもスカーレットは本国アメリカでは完全に忘れ去られており、過去の遺物ではないかと考えておりました。しかし、乱歩の気に入りようだとか、最近の翻訳の書評などをみていますと、これは「推理小説のソニー・クラーク」なのかもしれないと思い直し、やおら取り寄せて読んでみたくなったのが、スカーレットの「白魔」です。

実をいうと適当な英文テキストを探したのですが、PBが無くて、ハードカヴァーのみという状況です。ごちゃごちゃやっているとそこそこ高くつきそうなので、仕方なく写真の邦訳を買ってみました。おそらく抄訳ですが、味見用にはまあこんなものでしょう。かって乱歩に「白魔」と「エンジェル家の殺人」を貸し与えたのは「探偵小説のプロフィル」の井上良夫であったのですが、2人の間で「白魔」と「エンジェル家の殺人」どちらがいいか議論がかわされたことは有名です。この別冊宝石のスカーレットの紹介は乱歩でなかなか面白いことを書いています。

ところでこの作品ですがなかなかいけます(笑)。雰囲気は充分で少し変わった趣向になっておりますが、面白いです。黄金期の本格推理小説らしくてよろしいですね。難を言えば犯人の性格をもっと掘り下げてくれると現代的な推理小説になったことでしょう。このあたりは原テキストに目を通していないのでなんともいえないところですが・・・。できればどこかの出版社が完訳の日本語テキストを出版してほしいものであります。余談ですが同時収録のヘキスト(フィルポッツ)の訳文が凄いです(宇野さん素敵ですねえ(笑))

ロジャー・スカーレット作品リスト
ビーコン街の殺人(密室二重殺人事件)
白魔(ペルシア猫のなぞ)
猫の手
ローリング邸の殺人
エンジェル家の殺人

ジェフリー・ハウスホールド「追われる男」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日はクラッシックスからまた離れ小島を1冊ご紹介いたしましょう。いままでに翻訳された作品はたった3作品。そのうちから、英国冒険小説の古典という太鼓判のジェフリー・ハウスホールド「追われる男」です。ずうっと前から本が出ているのに読まれた方は意外と少ないんじゃないでしょうか?。かくいうわたしもフリッツ・ラングの「マンハント」を見なければ読もうと思わなかった作品です。

押さえた筆致でかかれた静かなる決闘とでもいったらいいのでしょうか?。淡々とした書きっぷりが素晴らしいです。全編を日記形式で書いてあって、長い長いモノローグの心理小説を読む思いがいたします。派手な表現を極力排した硬派の冒険小説といえる内容です。したがって、日本での人気の程度には限りがありましょう(笑)。ミステリファンの方にはそうですね~、モールの「ハマースミスのうじ虫」がありますね、あんなものと大変似かよった気質を感じる作品だと紹介しておきましょう。

因みにこの作品は発表から2年後、フリッツ・ラング監督で映画化されています。題を「マンハント」といってそのものずばりのものになっています。反ナチスのプロパガンダ映画ですが、極めて映画的シーンに満ちたすばらしいものになっております。とりわけ有名なのはヒトラーを照準の中へ捕らえてみせたカットでしょう。今では珍しいショットではありませんが、ラングの才を示す典型的なショットだと思います。

コピー紹介:映画「マンハント」
「ヒトラーに銃を向けたハンターと、彼を狩り出そうとするゲシュタポの追跡を描いた本格サスペンスの一編。本作のあと「死刑執行人もまた死す」「恐怖省」「外套と短剣」と続く、フリッツ・ラング監督のナチスものの最初の作品。従来のアメリカ映画にないナチスのリアルなイメージを米国の大衆に与え、以後のプロパガンダ映画のあり方に大きな影響を与えた。原作はジョフリー・ハウスホールドの小説『Rogue Male』で、「男の敵」「駅馬車(1939)」などジョン・フォード作品でお馴染みのダドリー・ニコルズが脚色。監督は当初、そのフォードが予定されていたが彼が難色を示したため、36年に渡米後、「暗黒街の弾痕」「西部魂(1941)」などを撮っていたフリッツ・ラングが当たった。スタッフには、撮影に「わが谷は緑なりき」のアーサー・ミラー、音楽を同作のアルフレッド・ニューマンが手掛けるといった具合に当代の名匠が担当。主演はこの作品で評価され、先述の「わが谷は緑なりき」や「ミニヴァー夫人」に起用された名優ウォルター・ピジョン。対するは本作以外でもナチスの将校役を何度か演じた、「イヴの総て」で知られる悪役俳優ジョージ・サンダース。また紅一点として、本作を契機に「飾窓の女」『Scarlet Street』「扉の影の秘密」と以後も3本のラング作品でヒロインを務めるジョーン・ベネットをはじめ、ナチスの追跡者役で怪演を見せる、「駅馬車(1939)」の他ホラー作品への出演で知られるジョン・キャラダイン、さらに後年「ヘルハウス」などホラー作品でも名を挙げる子役時代のロディ・マクドウォールなど個性的な役者が脇を固める。」

クロノクルセイド

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GONZOさん製作アニメシリーズ・第4弾。ほとんど三頌亭アニメ館になってしまっています(笑)。悪魔の力を借りて、悪を倒すというけっこうアブナイ発想のアニメです(笑)。そのディーテールは国籍不明のごった煮状態ですが、かなり面白いです。悪魔と契約を結んだ修道女というのがキモでしょう。マンガとアニメではストーリーが異なりますが三頌亭はマンガの方が好みです。借り物競争もここまで借りてくれば立派というもの。製作側のこれでもかというディテールの付け足しに溌剌としたものを感じます(笑)。

内容紹介:バイダイチャンネル
「森山大輔による人気コミックをGONZOが映像化した作品。第一次世界大戦直後、1920年代のアメリカを舞台に、修道会のシスターが魔法を使って人の心を惑わす悪魔と戦う。みどころは主人公のロゼット・クリストファのシスターにしては明るく破壊的な性格と、聖なるコスチュームの魅力。そして、相棒をつとめる少年クロノの悪魔らしからぬ優しさと可愛らしさである。本来のイメージと正反対の2人が、いざというとき力を合わせて「悪魔の力」で逆転するカタルシスが心地よい。後半は原作コミックとは違い、ロゼットとクロノの運命について切なさあふれる物語が描かれる。2人の魂で結ばれた深い絆の行く末を見届けてほしい【アニメ評論家 氷川竜介】」
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