2009年12月

野田昌宏「消滅!?隠元岩礁実験空域 (銀河乞食軍団・合本版第2巻)」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。一応今年最後の記事になりますでしょうか?。宇宙軍大元帥こと野田昌宏氏の銀河乞食軍団シリーズ、合本版第2巻ですね。だいたいスペース・オペラなんちゃ、馬鹿にしておりました時期が長くて面白みに気がついたのは割合最近であります(笑)。スミスの<レンズマン>シリーズやハミルトンの<キャプテン・フューチャー>シリーズなんかは「宇宙西部劇」でSFと呼ぶにはかなりお粗末なシロモノだと思ってきました。現在もそう大きくは変わっていないのですが・・・。どなたか忘れましたけど「あんなものは紙芝居だ」といっていましたが、その「紙芝居」がよくなってきただけかもしれません。うっとおしいことを考えさせられずに鷹揚に構えてくれている所がいいのかもしれません(笑)。

ところでこのシリーズ最後まで行くと外伝も入れて後2巻分くらいでしょうか?まずまず、ゆっくりと読んでいきたいと思っております。それでは皆様よいお年を・・・。

出版社・紹介
『パムという少女から依頼を受け、彼女の故郷タンポポ村を必死で捜す“銀河乞食軍団”のもとに、ある情報が寄せられた。タンポポ村消失の原因となったバニシング・エンジン“X200”の全開試運転を、星涯星系軍が再度実施しようとしているというのだ。場所は、星涯星系から数光週離れた隠元岩礁。そこで“乞食軍団”の面々は、ひそかに驚くべき計画の準備をはじめ…。そして実験当日、コントロール・センターが置かれている工作艦“左甚五郎”から星系軍本部に入った緊急連絡は、“隠元岩礁消失ス”であった!いったい、何が起こったのか?一方、“乞食軍団”の白沙基地には、タンポポ村跡の大穴に探検のため入っていった虎造が、数カ月ぶりに宇宙服姿のまま現われた。このことから、タンポポ村の行方を追うための強力な手掛かりが…。1982年に発表されるやたちまち大評判となり、日本SF界に燦然と輝くスペース・オペラの金字塔と高く評価される“銀河乞食軍団”シリーズ。第7巻「決戦!金太郎岩礁」から第11巻「タンポポ村、還る!」までの5長篇を収録。』

最新入荷事情(ハート「ベラミ裁判」他)

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。いろいろありますんで、最近来た本のおはなしでもしましょう。ふと思い出してフランシス・ノイズ・ハートの「ベラミ裁判」を読んでおこうと思い立ちました。ポストゲイトの「十二人の評決」などと並んで法廷ものの嚆矢、最も早い古典作です。例によって日本語訳は以前からみたことあるのですが、なんとなく乗り気になれずに放っておいたらなくなってしまったという体たらくです(笑)。というわけでPBを入手してみました。円高の影響もあってかえらく安いです。ポケットブック版で1945年の出版、乱歩なんかもおそらくこの版で読んだのでしょう。恐るべきは保存状態でヤケがほとんどないです。この頃の日本の本といったら、最低の紙質でほんと凄まじいのが多いです。やっはり戦勝国ですな~、とか妙なことを思ってしまいます。

つぎはウィアードテールズの再刊版ですね。それぞれ、ジーン・ウォルフとタニス・リーの特集号です。ラムジー・キャンベル、ポール・ウィルソン、クラインなんかの名前も見えます。最近無性にこういったパルプを集めてみたくなっているのですが、自重しております。ウィアードテールズのようなパルプマガジンはSFやミステリー、ホラーといったジャンルがまだ未分化だった時代の遺物かもしれませんが、その頃の熱気が素晴らしいです。

藍霄「錯誤配置」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日のお題は島田荘司編・アジア本格リーグの第一弾、台湾の推理作家・藍霄(ランシャウ )の「錯誤配置」です。ところで「島田御大が中国語に堪能だったとわ・・知らなかったぜ!!」というツッコミは無しというのがお約束です(爆)。「ゾディアック・マーダー」をひっさげてアメリカ上陸はしたものの、パズラーの絶滅した国で人気がありえよう筈はありません。しかーし、台湾では神ですね(^^;)。かつての幻影城の編集長・島崎博氏も台湾にいたことから、台湾のミステリシーンは活性化著しいようであります。

台湾ミステリーの初紹介がこの藍霄の「錯誤配置」です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%8D%E9%9C%84
で、一読しましたところ・・・・うーん・・荒い・・ごりごりの荒削り、なんか迫力は凄いんですが。。(笑)。現在の日本産ミステリが高級和菓子に思えてしまいます。ある意味、野性味たっぷりで熱気に溢れています。悪く言えば同人誌並の未完成作品。しかし、ベタなもんで嫌な作品ではなったです。ところでトリックわかってしまいますよ~これ。隠したつもりが妙にバレバレ(笑)。変わったものが読みたいという方いかがでしょうか?

出版社・紹介
「精神科医でミステリー作家の藍霄が受け取ったメールは、周囲の人間が突然自分のことを知らないと言いだす、奇怪な体験を訴えていた。王明億と名乗る謎の差出人はさらに、自分は七年前の未解決密室殺人事件の犯人であり、それには藍霄も関わっていた、と言う。数日後、発見された浮浪者の首切り死体が王明億のものと判明、苦境に立たされた藍霄を救うべく、友人の秦博士と李君が事件解決に乗り出す。幻想的な謎と強烈な不可能興味。台湾ミステリーの最前線をリードする、鬼才の異形の本格ミステリー。」

追記:トリビア・・誤記・・182頁7行・・cMAP ----> cAMP

瀬下耽探偵小説選

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。歳末大売出しよろしく今年読んだものの中で記事にしてないものをとりあげます。論創社のミステリ叢書ですが、ぼつぼつ走破にかかっております(値段が高いです(笑))。今日のものは今回はじめて纏った作品集になる瀬下耽です。「柘榴病」という怪奇小説がいろんなアンソロジーにとりあげられていて、ほとんどこれ一篇で知られてきた作家といってもいいでしょう。乱歩は瀬下耽を評して「この作者の著しい特徴は怪奇美への異常な憧憬にある」といいました。また鮎川哲也は自身の編集になる探偵小説アンソロジー「あやつり裁判」の解説で「氏の作品は文学派の枠におさまりきれぬほどに振幅が大きくて・・・一枚のレッテルを貼って済むような人ではないのだ」と言っております。

さて今回の作品集ですが収録作品は「綱」「柘榴病」「裸足の子」「犯罪倶楽部入門テスト」「古風な洋服」「四本の足を持つた男」「めくらめあき」「海底」「R島事件」「仮面の決闘」「呪はれた悪戯」「女は恋を食べて生きてゐる」「欺く灯」「海の嘆」「墜落」「幇助者」「罌粟島の悲劇」「手袋」「空に浮ぶ顔」「シュプールは語る」「覗く眼」「やさしい風」+随筆(「マイクロフォン」)の計22編です。多くは犯罪小説といえる内容のものが多く、巻頭の「綱(ロープ)」なんかは秀逸だと思います。また「海の嘆」は潜水夫を題材にした珍しい作品で忘れ難い余韻を残りラストが素晴らしい作品でした。総じて三頌亭の好みの作品が多かったので楽しく読むことができましが、問答無用の面白さというのとは少し異なります(笑)。興味のおありの人はどうぞ。この叢書では1.2を争うキキメの巻ではないでしょうか?。

2009年記事回顧-ベスト?のようなもの

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。なんとなく年末になってしまいました。皆様いかがお過ごしでしょうか?。今年は人使いの荒い上司にたたられ、なかなかリアルでは落ち着く暇がなかった三頌亭です。去年は2008ベスト本みたいな記事は書かなかったように思います。なので今年はと思ってみたのですが、例年にも増して読んでないですね(^^;)。しかたがないですね。というわけで今年読んだものというくくりでよかったものを挙げてみましょう。もちろん、今年紹介したもののなかでもこれより面白いものはあるとは思いますが・・・。ではいってみましょう。

イーディス・ウォートン「幽霊」
今年最高の収穫と言っていいでしょうか?。大変感心させられました。キングやストラウブを生んだアメリカ・モダンホラーの源流を辿る思いがします。同時上映で「ざくろの実-アメリカ女流作家怪奇小説選」も素晴らしいアンソロジーでした。

スティーヴン・キング「N」
キングが古典作品に挑んだ意欲作。まずまずの成功を収めている作品です。期待点も込めて「悪霊の島」と同時上映でいかがでしょうか?

小山内薫「お岩」
落語の速記録のような作品ですが、そのざっくりとした残酷感が素晴らしい作品です。驚きの発掘作品ですね。

橘外男「私は呪われている」
橘外男が放つ大衆娯楽作品、化け猫小説の古典作。文句なく面白いです。さすがにいまではこんなものを書く人はいないでしょう。復刻が望まれる怪作であります。

天城一「宿命は待つことができる」
ガチガチの本格作品かとおもいきや、ハードボイルドです。まるでフィルムノワールをみるような思いのする快作です。他の天城作品でダメだった方、一度おためしになってみてください。

篠田真由美「アベラシオン」
バカミスかも・・・(笑)。「黒死館殺人事件」に挑戦した著者渾身の力作。その無謀さが素晴らしいです。その熱い思いに打たれました。

水木しげる「地獄の水」
水木しげるの奇想が遺憾なく発揮された初期の傑作貸本漫画。わたしはそれほど水木ファンではないのですが、この作品は凄いです。小学館クリエィティブ、堂々の復刻作品。

浦沢直樹「20世紀少年」
いまさらなんだといわれそうです(笑)。直木賞を2つ3つあげてもいい作品だとおもいます。マンガがこれでは活字メディアの勝ち目はあるのでしょうか?。近頃の新刊の多くがマンガの原作かマンガのノヴェライゼーションに思えてしまうことがあります。これからの大衆小説の行く末を案じる三頌亭であります。

と・・・こんなところなんですが、少ないうえに新刊らしい新刊がありませんね(^^;)。ええ、決して読まなかったわけでもないのですが、今ひとつのものが多くて・・、申し訳ないです。やっぱり読んだ新刊の数が少ないのでしょう。漫画が入ってしまっているのはご愛嬌です。ただ今年は翻訳で慣れ親しんだ多くの英米の怪奇小説と素顔で再会を果たしました。色々な発見もあって面白かったのですが、その件については年が改まってから記事にしたいと思ってます。
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