2009年10月

東雅夫&石堂藍 (編)「日本幻想作家事典」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。『日本幻想作家名鑑』(幻想文学出版局刊)の増補改訂版です。やっと入荷いたしました。やたら分厚い本ですが、完全にごった煮状態になっていまして、これがよろしいです(笑)。一応、100頁ほど目を通してみたのですが、以前の版に較べてかなり多くの項目が追加されています。特に江戸期の文芸方面は新たに追加されたジャンルでこのあたりが面白く読めます。個人的には特大ブックガイドと考えている次第です。以前の版は何度も目を通したのでわかるのですが、旧項目について全く記述が変わっていない所が多くあって、これは少し残念でした。また、書誌についての記述が少し手薄でこのあたりはもう少し書き足していただければと思っています。何よりもまずテキスト探しで読書が始まることの多かったトラウマなのかもしれませんが・・。今キングの本と平行して読んでいるのですが、1ヶ月くらいあれば読み終わると思います。さすがに今すぐにでも手に入れて読もうと思う作家はもうたくさんは残ってはいません。強いていえば江戸期のものでしょうか?

出版社紹介
「一九九一年に刊行され反響を呼んだ『日本幻想作家名鑑』(幻想文学出版局刊)を、大幅に増補改訂。旧著の三倍を超える分量。《超自然的・非現実的な事象を主要なモチーフとする文学作品》の書き手の事典。いわゆる怪奇幻想小説やメルヘン、ファンタジー、ホラー、伝奇小説、 SFのほか、ミステリ、時代小説、冒険小説などとの境界領域に位置する作品までを、一般向け、ジュヴナイル等の別なく対象とした。古事記・宇津保物語・平家物語等の神話や物語、源内・秋成・馬琴・南北等の江戸の文人、 露伴・鏡花・谷崎・川端・三島等の近代の文豪、京極夏彦・小川洋子等の現代作家やライトノベルの書き手など、怪奇幻想文学の主要な作家作品約三千を網羅し、幻想文学関連の業績に重点をおいて記述。さらに重要作には詳しい内容紹介を施した。怪奇幻想文学世界を渉猟するための地図の一枚となるように構成。わが国の怪奇幻想文学、ホラー、ファンタジー、メルヘン、伝奇小説、 SF等の分野に関わる古今の作家作品をことごとく網羅した大事典。巻末には、「怪奇幻想漫画家事典」と「怪奇幻想映像小史」を附録として掲載し、文学以外のメディアにおける幻想作家・作品についても解説。漫画・映画愛好家にも必携の事典。
「怪奇幻想漫画家事典」…怪奇幻想漫画の主な作者を取り上げた本格的な作家事典。漫画研究者、漫画愛好家必携の事典。漫画家数335名。言及作品数約3000作。別立て作品数300余。手塚治虫・石ノ森章太郎・横山光輝・楳図かずお・水木しげる・つげ義春・萩尾望都・竹宮惠子・大島弓子・山岸凉子といった作家たちをはじめ、ファンタジー漫画の元祖である樺島勝一・宮尾しげを・杉浦茂等昭和前期の漫画家たち、『黄金バット』の永松健夫、『少年ケニヤ』の山川惣二、『空魔X団』の小松崎茂、さらには尾田栄一郎・CLAMP、荒川弘らの近年の作家までを記述。
「怪奇幻想映像小史」…怪奇幻想的な映画・ドラマ・アニメーションを概説。怪奇幻想文学をもとにした作品、オリジナルの怪奇幻想映画やドラマ、さらに特撮物全般、ファンタジーアニメなどについて通史的に概観。取り上げた作品数は約770。」

ウィリアム・L・シャイラー「第三帝国の興亡」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。前回、グラフィックノベルとか言う中途半端なものを紹介いたしましたので、最近復刊されました中から間違いのないものをご紹介いたします。ウィリアム・L・シャイラーの「第三帝国の興亡」です。ジャーナリストの書いた歴史ノンフィクションですが、随所に小説的な面白さに満ちた部分がありまして大変面白いです。「ヒトラー一代記」とでもいえる内容ですが、大河ドラマのような面白さがある名著です。1巻平均2段組300頁強、全5巻で1500頁という大冊ですが、一気に読んでしまえるのではないかと思います。長らく絶版であったようですが、今年に入って松浦伶氏の新訳で甦りました。三頌亭が読んだのは学生の頃で、夏休みに補講が飛び飛びにあって退屈だったので1週間位で読みました。旧訳は井上勇氏のものです。写真のようにもうかなり汚い本のうえに、裸本なので500円くらいで安かったように記憶しています(笑)。

出版社紹介
「ナチス第三帝国の誕生から滅亡までを描く歴史ノンフィクション『第三帝国の興亡』(全五巻)をお届けします。第三帝国とは、ヒトラーやナチ党員がナチ国家を称揚するために使った言葉。自分たちが支配している国家は、栄光に包まれた神聖ローマ帝国とプロセインを中心として諸邦が統一されたドイツ帝国に次ぐものであるという意味が込められています。第三帝国は千年続くとヒトラーはうそぶき、ナチ内部では「千年帝国」という言葉がしばしば使われましたが、実際には12年と数ヶ月しか続かなかったのは周知の通りです。

 本書が描くのは、その第三帝国に独裁者として君臨したアドルフ・ヒトラーの誕生から、彼が自殺しドイツが連合国に降伏するまで。著者のウィリアム・L・シャイラーは、ラジオジャーナリズムの先駆者として有名なアメリカ人ジャーナリストで、ヒトラーが首相に就任する前から、ベルリンやヨーロッパ各地で取材し、数々の歴史的事件を報道しました。戦況が極端に悪化した1940年にアメリカへ帰国し、ベルリン滞在経験をもとにした『ベルリン日記』を発表。ヒトラーとナチスの言動を活写した同書はベストセラーになりました。本書にもその取材経験はいかんなく盛り込まれており、その場にいた著者にしか書きえないであろうシーンが数多くあります。

 ウィーンで悲惨な青春時代を過ごし、第一次世界大戦では一介の伍長。ビアホール・プッチで惨めな失敗を喫した男は、いかにして国家に君臨し、未曾有の災禍をもたらしながらかつてない高みへとドイツを導き、そして壮絶な最期に至ったのか。本書『第三帝国の興亡』はそのすべてを描きます。どうぞご期待ください。」

最新入荷事情

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。珍しく新刊書店に行ったのですが、お目当ての本はまだ入荷してないので、仕方なく他の本を買って帰りました。ひとつはそのうち出るだろうと思っていた「蘆江怪談集」で平山蘆江の唯一纏った怪談本です。収録された作品の内何篇かは雑誌やアンソロジーで読んだことがあるのですがまとまったものは今回が初めてです。収録内容は以下の通り。

ウェッジ文庫版『蘆江怪談集』
お岩伊右衛門
空家さがし
怪談青眉毛
二十六夜待
火焔つつじ
鈴鹿峠の雨
天井の怪
悪業地蔵
縛られ塚
うら二階
投げ丁半
大島怪談
  *
怪異雑記

このうち面白いのはやはり「悪業地蔵」と「大島怪談」で実話系のものでした。原本はいざ捜すとなると相当面倒なことになるので興味のある人は押さえておくのもいいでしょう。おなじウェッジ文庫から「東京おぼえ帳」もでているので興味のある方はどうぞよろしく。

ところでキングの「夕暮れをすぎて」を買ってみました。最近読んだ「悪霊の島」がよかったのでこれに続いてということですね。洋書のハードカヴァーは一回り大きいので、大きな本が好きな三頌亭にはぴったりです。まだ1,2編読んだだけなのですが、割合いいですね。ちなみに邦訳は全13篇の内7編を訳出しております。残りは別の本というわけでしょう。

デニス・ホイートリー黒魔術小説傑作選

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。デニス・ホイートリー黒魔術小説傑作選、残りの巻も一応紹介しておきましょう。ところで何でこんなものを全て読んでいるかというと、新古本(ゾッキ)が大変安かったからですね。このシリーズの「黒魔団」は平井呈一の翻訳で2度版をかえて出版されているので、この方面に興味のある方は大体読んでる作品でした。しかしそのあと出たこれらの作品はなんせ1冊3000円くらいで学生の私にはかなり無理なお値段でした。まあいいかとも思ったのですが、その後何年かたってバーゲンになりまして、なんと7冊セットで3000円ということで値段に負けました。つまり出会いはお値段というわけですね(笑)。

ここに示しました3作品はジャンルミックスなどという言葉がなかった頃に書かれた作品です。各巻の内容は帯などを参照していただければ大体想像がつくであろうと思いますが、特筆すべきはそのディテールであっという間に読者を引き込むその筆の運び方でしょう。この3作品の中では「娘を悪魔に」と「悪魔主義者」を推薦しておきます。「娘を悪魔に」はどちらかというとマッドサイエンストものというかホムンクルスをめぐるサスペンス小説です。「悪魔主義者」は女性版007といったところでしょうか?。しかし、このシーリーズ5作品の中でどれかひとつというと「新・黒魔団」をあげておきましょう。これを読んで面白くなかった方は残りの巻を読む必要はないです(笑)。

デニス・ホイートリーの後の作品への影響はいろんなものがあるとは思うのですが、案外と最近読んだブラックバーンなんかが顕著であろうと思われます。あのホラーともポリティカルサスペンスともつかない面妖さはホイートリーの影響下にできたものではないかと三頌亭は愚考しております。

デニス・ホイートリー「黒魔団」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日はまた大衆小説の翻訳ダネを紹介いたしたいと思います。デニス・ホイートリーというと本国イギリスではおしもおされもせぬ娯楽小説の書き手だったのですが、日本ではほとんど人気がなかったですね。因みに文庫が一つもないです(ファイルミステリーがありますか?)。今日はそのなかからオカルト小説のシリーズ「黒魔団」を紹介いたしましょう。「黒魔団」は日本に始めて紹介された本格的な黒魔術小説です。因みに翻訳は平井呈一でこれが最後のお仕事になりました。ロンドンを舞台にしたマジカルウォーズ+スパイアクションといったところがこの作品の内容ですが、ディテールには本核的な黒魔術がに関する知識が盛り込まれてリアルな表現になっています。余談ですが、ホイートリーはクリストファー・リーの近くにに住んでいたことがあって、リーの友人でした。その機縁から「黒魔団」の映画化「悪魔の花嫁」が作られました。監督テレンス・フィッシャー、リチャード・マシスンが脚本で原作にほぼ忠実な映画になっています。

邦訳リスト
国書刊行会/デニス・ホイートリー黒魔術小説傑作選 1983刊

『黒魔団』 The Devil Rides Out
『新・黒魔団』 Strange Conflict
『娘を悪魔に』 To the Devil -A Daughter
『悪魔主義者 -サタニスト (上)』 The Satanist
『悪魔主義者 -サタニスト (下)』 The Satanist
『ナチス黒魔団 (上)』 They Used Dark Forces
『ナチス黒魔団 (下)』 They Used Dark Forces
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