2009年09月

山東京伝「八重霞かしくの仇討」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日は山東京伝の作品で少し変わった出版を紹介いたします。写真のシリーズご存知の方もあるだろうと思いますが、河出書房新社の江戸戯作文庫です。このシリーズの特徴は原本を出来るだけそのまま再現しようとしたもので、そのような企画は今までそう多くはなかったと思います。基本的にこのようなものは大衆読物で、今で言うと劇画本に近いように思いますね。ですので豊國の絵だけ見てもある程度お話の内容がわかるようになっています。京伝のこの作品は例によって仇討のお話ですが相変わらずディテールが凄いです。このシリーズは林美一氏のアイディアで企画されたようですが、いかんせん売れ行きが悪かったのでしょう。創業100周年企画もあえなく10冊を出した所で打ち切りとなってしまいました。面白い企画だったのに残念なことだと思います。当時は貴重な原本(林美一氏のコレクション)を1冊潰してこの出版を支えたようです。

ヘンリー・S・ホワイトヘッド「ジャンビー」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。怪奇小説の作家・ホワイトヘッドの短篇集を紹介いたします。もうかれこれ30年も前くらいに荒俣宏氏による翻訳が出たきりで、それも今では絶版です。ホワイトヘッドの本業は学校の校長先生、なんとなくM・R・ジェイムズみたいな感じの人ですね。彼の作品には西インド諸島を主な舞台とし、現地での奇怪な風習に取材した怪奇譚が多く見られます。「ジャンビー」というのは多分ゾンビのもとになった呼称でしょうが、映画のゾンビなどとは違って「森の精霊」のようなものを「ジャンビー」と呼んでいるそうです。ところで、この熱帯怪談ともいえるホワイトヘッドの作品なのですが、それほど恐くはありません(笑)。キリスト!悪魔!で育ったアメリカの方には別かもしれませんが、アミニズムの横溢するこれらの作品群は日本の方には比較的馴染みやすいものではないかと思います。

テキストは以前紹介いたしました、ドラキュラ叢書のものがありますが、まだ廉価で古書で捜すのは容易だと思います。ホワイトヘッドは作品自体がそんなに多くはなくて、英文でもアーカムハウスから出た2冊のみです。以前から読んでみたいと思うのですが、そこそこお値段ははるようなので入手できておりません(笑)。最近、PBで1冊だけ出ているのを買ってみました。全部で8篇の短篇が収録されていますが、「ジャンビー」と「カシアス」をのぞいて未訳作品です。写真2つ目はアーカムハウス版の1冊です。

「増補・日本幻想作家名鑑」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日はまだ出てない本で申し訳ないのですが、紹介しておきます。増補版「日本幻想作家名鑑」です。以前、幻想文学出版局から出たものの増補版なんですが、旧著の3倍の分量になるらしいです。この本内容はともかくとして、この方面の日本の作家リストアップしてくれているんですが、周辺領域ぎりぎりまでやってくれていたので割合重宝していました。正に雑然と積み上げた感じでそれがよかったのですが、今度の増補版はそれに輪をかけた内容で、明治以前の部分も含めているそうです。ちょっと値段がはるのが難点ですが、入手してみたいと思う本ですね。

写真は旧版の「日本幻想作家名鑑」です。付箋紙がたくさんついてますが、まだ未入手の読みたい本です。なかなか入手が難しい本が大分残ってきています。たとえば平山蘆江「蘆江怪談集」、畑耕一「怪異草紙」、池田得太郎「家畜小屋」などなど・・。


出版社紹介:『増補・日本幻想作家名鑑』
「一九九一年に刊行され反響を呼んだ『日本幻想作家名鑑』(幻想文学出版局刊)を、大幅に増補改訂。旧著の三倍を超える分量。《超自然的・非現実的な事象を主要なモチーフとする文学作品》の書き手の事典。いわゆる怪奇幻想小説やメルヘン、ファンタジー、ホラー、伝奇小説、 SFのほか、ミステリ、時代小説、冒険小説などとの境界領域に位置する作品までを、一般向け、ジュヴナイル等の別なく対象とした。古事記・宇津保物語・平家物語等の神話や物語、源内・秋成・馬琴・南北等の江戸の文人、 露伴・鏡花・谷崎・川端・三島等の近代の文豪、京極夏彦・小川洋子等の現代作家やライトノベルの書き手など、怪奇幻想文学の主要な作家作品約三千を網羅し、幻想文学関連の業績に重点をおいて記述。さらに重要作には詳しい内容紹介を施した。怪奇幻想文学世界を渉猟するための地図の一枚となるように構成。わが国の怪奇幻想文学、ホラー、ファンタジー、メルヘン、伝奇小説、 SF等の分野に関わる古今の作家作品をことごとく網羅した大事典。巻末には、「怪奇幻想漫画家事典」と「怪奇幻想映像小史」を附録として掲載し、文学以外のメディアにおける幻想作家・作品についても解説。漫画・映画愛好家にも必携の事典。
「怪奇幻想漫画家事典」…怪奇幻想漫画の主な作者を取り上げた本格的な作家事典。漫画研究者、漫画愛好家必携の事典。漫画家数335名。言及作品数約3000作。別立て作品数300余。手塚治虫・石ノ森章太郎・横山光輝・楳図かずお・水木しげる・つげ義春・萩尾望都・竹宮惠子・大島弓子・山岸凉子といった作家たちをはじめ、ファンタジー漫画の元祖である樺島勝一・宮尾しげを・杉浦茂等昭和前期の漫画家たち、『黄金バット』の永松健夫、『少年ケニヤ』の山川惣二、『空魔X団』の小松崎茂、さらには尾田栄一郎・CLAMP、荒川弘らの近年の作家までを記述。
「怪奇幻想映像小史」…怪奇幻想的な映画・ドラマ・アニメーションを概説。怪奇幻想文学をもとにした作品、オリジナルの怪奇幻想映画やドラマ、さらに特撮物全般、ファンタジーアニメなどについて通史的に概観。取り上げた作品数は約770。」

リチャード・プレストン「ホット・ゾーン」

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こんばんは、皆様、こちらのフォルダもたまには更新しておきましょう。というわけで今回は戦慄のノンフィクション、リチャード・プレストンの「ホット・ゾーン」です。もうかれこれ15年位前の出版ですが、この本が出て以来、様々なディテールが小説や映画で使われましたのでそれほどのインパクトはないかもしれませんが、お読みでない方は一度目を通すのも面白いかもしれません。高毒性のウイルスとの水際での戦いが極めてサスペンスフルに描かれています。余りシャレにならない類の恐さですね。出色の迫真のノンフィクションです。

ちなみに三頌亭はこの手の災害に割合楽観的で、人類を滅ぼすウイルスなどというのはナンセンスだと思っております。なぜかというと生物の基本的な機能として増殖性がありますが、宿主を死滅させてしまってはそのウイルスは増殖できないことになります。突然変異のスパンが極めて短いウイルスなどでは高毒性のものは淘汰されて、どこかで宿主と共存する変異種が生き延びて残るのではないかと思っているからです。

薔薇十字社カタログ(マンスール「充ち足りた死者たち」)

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。めぐり合わせのいい本というのがありまして、何度手放してもまた入ってきてこれが不思議です。薔薇十字社版のジョイス・マンスール「充ち足りた死者たち」もそんな本です。均一本のなかからまた見つけてきました(笑)。プラスチックのカバーが面白い変形サイズの本ですね。シュールレアリスムの女流詩人マンスルールのはじめての紹介だったと思います。この後、2度改訳されて白水社と河出書房新社から出ましたが、今は絶版になってしまいました。いま、マンスールの本は新刊では1冊もない状態です。

あわせて薔薇十字社の出版目録を載せておきます。もう大部分の本がいろんな出版社で出版されてしまいましたが、道標的な目録だったと思います。案外、日本文学の渡辺温や大坪砂男などが古書店向きのアイテムとしてまだ残っております。薔薇十字社の出版物はこの後、出帆社に引き継がれて売られていました。
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