2009年08月

ジョン・ウインダム「海竜めざめる」&遠藤武文「プリズン・トリック」

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こんばんは皆様、三頌亭店長です。今回は新刊本から2冊とりあげてみましょう。まずはジョン・ウインダム「海竜めざめる」です。侵略SFの巨匠・ジョン・ウインダムは最近では扱いが小さく、三頌亭は不満であります(笑)。ウインダムについてはその最高傑作は「トリフィドの日」だと書いてある解説書が多いのでありますが、この「海竜めざめる」も侵略SFの古典的名作といっていいだろうと思います。エイリアンの造形が素晴らしい破滅テーマのSFでこのジャンルの古典というにふさわしい作品ですね。今回の版は長新太氏の素晴らしいイラストを添えた版で、星新一氏の翻訳を大森望氏がジュブナイル向きに改訳したものです。大森望氏や私と同年代の方は読んだ記憶がある方もおらられるかと思いますが、岩崎書店のSF世界の名作シリーズの1冊「深海の宇宙怪物」の再現版です。長新太氏のイラストとともに三頌亭の記憶に残る1冊です。

さて次は遠藤武文「プリズン・トリック」です。たまには派手な帯に騙されてみるのもいいかもしれません(笑)。第55回の乱歩賞ということなのですが、なにか書こうと思ったら審査員の方の選評に全て書いてありまして三頌亭が書くことがないです(笑)。ツッコミどころ満載ですがその意気やよしといったところでしょうか?。多重の視点で書かれているのはいいとして、半分過ぎたあたりから誰の視点だかわりにくくなってくる所があって、やや閉口いたしました。それと最後の一行は私は余りいただけませんでした。因みに審査員は内田、大沢、恩田、天童、東野さん達です。

出版社紹介
ジョン・ウインダム「海竜めざめる」
「海に落下する赤い火球が、世界中で相次いで目撃される。それと呼応するように続発する原因不明の船舶の事故。そして海流は不気味に色を変える。深海から、終末が静かに忍び寄る。」

遠藤武文「プリズン・トリック」
「刑務所で密室殺人―乱歩賞史上最強トリック交通刑務所で発見された前へ倣え姿の遺体。現場は密室――逃走した受刑者を追う県警が知る意外な事実。
選考委員・東野圭吾氏も仰天の第55回江戸川乱歩賞受賞作

刑務所内での密室殺人。社会派でありながら超本格。読み落としていい箇所はラスト一行までどこにもない。あなたは絶対に鉄壁のトリックを見破れない。そして必ず、二度読む。第55回江戸川乱歩賞受賞作。」

最新入荷(マクロイ&カー)

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こんばんは皆様、三頌亭店長です。今日は入荷本の紹介です。マクロイの「The Sleepwalker」を頼んだついでにカーの「疑惑の影」を一緒に頼みました。相変わらすみみっちくコストをケチってしまいました(笑)。その割には綺麗なのがきてうれしいです。マクロイのこの作品ですが他の彼女の作品とトリックは同じでしょう、多分。カーの「疑惑の影」はイギリス版、かなりダストジャケットがよれよれですが雰囲気があっていいです。内容のほうは確かまずまずの作品だったと思います。カーはコアな専門のサイトがあってありとあらゆる版のカー作品がアップされています。サイン本を一つくらいは持っておいてもよかったと思うことがありますね。

宇佐美まこと「入らずの森」他

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こんばんは皆様、三頌亭店長です。お盆休みの方も多いことと思います。今日は新刊というか、今年の3月に出た本です。宇佐美まことさんの「入らずの森」ですね。実は「るんびにの子供」がわりとよかったので入手してみました。この「入らずの森」はなんといいましょうか?。ホラー小説といえば言えなくもないのですが、少し変わった感じになっています。愛媛県の山奥で起こる怪奇な事件を軸に現在と過去を結ぶ謎が解き明かされていきます。発想は森村誠一で狂言廻しに南方熊楠を持ってきたといったところ・・何のことかわかりませんね(笑)。因みに予備知識として・・南方熊楠は細胞性粘菌の研究家として知られ、日本人で始めて科学雑誌「Nature」に論文が掲載された人です。それにしても文章がいやに落ち着いてどうに入っていると思ったら、けっこう年の方ですね。面白い作品ですが人気はどうでしょうか?。うーんといった所ですかねえ(笑)。

ところでローズマリー・ティンパリーの本を3冊ほど頼んでいたのが届きました。パラパラ見てるんですが、どうも怪奇小説といよりはミステリーに近いような気もします。日常の間の恐怖というかそんなものを書いているものが多いようです。怪奇小説のアンソロジストとしては大変有名な人で、創作についてもたくさんの著作があるようです。今の所どれを選んでいいかわからない状態です(笑)。一応戦後のイギリスでは第一人者というお話も聞きますのでもう少し見ていこうと思っています。

橘外男「私は呪われている」

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こんばんは皆様、三頌亭店長です。きょうは怪猫小説・・化け猫を扱った小説を紹介いたします。「四谷怪談」や「真景累ヶ淵」と同じくらいポピュラーでありながら化け猫の小説というのがほとんど新刊で読めません。文学的な価値が低いとみなされているせいもあるのかもしれませんが、今日紹介する橘外男「私は呪われている」は今まで一度も再版されたことがありません。しかしながら怪猫小説の決定版といってもよいものが橘外男の「私は呪われている」であろうと三頌亭は考えています。橘外男は戦後2つの長編小説を発表しましたが、その2つは「亡霊怪猫屋敷」と「私は呪われている」でどちらも化け猫を扱った伝奇小説です。どちらも新東宝で映画化されて「亡霊怪猫屋敷」、「怪猫 お玉が池」といいます。この2本の映画が大変有名です。「私は呪われている」は現代の1つの殺人事件と1つの怪死から過去へさかのぼる因縁噺を軸にした伝奇小説です。怪談には似合わず大変テンポよく読むことができる快調なストーリーとなっております。それぞれのキャラクターも印象的で橘外男作品の中の秀作といってよいです。願わくばこの2つの怪猫小説を抱き合わせて復刻してほしいものであります。


お盆限定大ネタ(笑):稲川淳二「生き人形」(短縮版) 
http://youtubo.pya.jp/dl.php?vid=YFFOASgS4Ho
http://youtubo.pya.jp/dl.php?vid=2JYzqtXTCdU
http://youtubo.pya.jp/dl.php?vid=hBnbwfdvpxI
http://youtubo.pya.jp/dl.php?vid=SPu7LosSDH0

追記:実際に見た人も少ないようなので感想を・・例の「プラスα」なんですが、見てましたけど私には見えなかったですね~。そっちの方は全くセンスなしですな(笑)

田中貢太郎「日本怪談全集」

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こんばんは皆様、三頌亭店長です。引き続き怪談コレクターの本を紹介いたします。田中貢太郎「日本怪談全集」です。取材を元に書かれている点では実話系の怪談といっていいでしょう。桃源社版の2巻本で上下段組1200頁という大冊です。これがおもいの他、怖いお話が多くて驚きます。もちろん奇談あり犯罪実話ありの内容で奇談集といったほうがよいのかもしれません。「日本怪談実話」のほうはその取材ノートそのままとでも言ったらよいのでしょうか?。大変短い実話怪談がたくさん収録されています。こちらもパラパラ読んでいくには楽しい読物になっています。現在は纏められて国書刊行会のほうから4巻本くらいで出ていたと思います。学研文庫の「田中貢太郎・日本怪談事典」もお薦めですね。青空文庫の方でもたくさん読むことが出来ます。
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