2009年05月

マイナー作家てんこもり

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。この前から引き続きで少しづつ買い集めているWordsworth Editionsの怪談シリーズです。ほとんどが日本では1,2編が紹介されているのみの作家たちです。ただし、レファニュなんかは例外でたくさん翻訳があります。レファニュは英米怪談のメインストリームの作家ですのでまた別格ですね。エヴェレットやギルクリスト、アメリア・B・エドワーズとカルデコットなどほとんど読んだことのないものが大変楽しみです。アンソロジーの2冊を含めて、全て短篇集なので私の読むスピードにぴったりなのがいいです。長編ですとさすがにある程度は一気に読まないと面白くないので纏った時間が必要です(笑)。

栗本薫「都筑道夫の生活と推理」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。栗本薫氏がなくなってしまいました。謹んでご冥福をお祈りいたします。泡坂氏に続いて幻影城の出身ということで、なんとなく寂しいですね。最近、そのデビュー時から知っている作家の方が亡くなっていくといことを経験するようになりましたが、なんともいえない感じがします。三頌亭は栗本薫氏のいい読者ではなかったのですが、幻影城で書評を書いていたころ、「絃の聖域」を連載しはじめたころ、あっというまに「ぼくらの時代」で乱歩賞を取ってしまった頃のことをよく憶えています。「グイン・サーガ」はあまり読まずによく読んだのが「魔界水滸伝」だったりしました。写真はまだ文芸評論家だったころの作品「都筑道夫の生活と推理」です。第2回幻影城新人賞評論部門佳作を受賞しました。同時受賞は友成純一氏「透明人間の定理」でした。

『英米女性作家ゴースト・ストーリー傑作選』(みすず書房)

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。このところ怪談ばっかりですね(笑)。最近、女性作家の怪奇小説集というのがちらりほらりと目に入るようになってきて、なかなかいいことだと思っています。このジャンル、女性作家が大いに活躍して名作を残しております。そんななか新刊でついにみすず書房までが「ゴースト・ストーリー傑作選」を出すことになってまいりました。収録作は以下をご覧になっていただきたいのですが、ギャスケルやリデル夫人、あのサイコな傑作「黄色い壁紙」のギルマンまで興味津々のラインナップですね。今までの英米怪談のアンソロジーとは一味違う内容になっていて面白いです。興味のある方値段が少し張りますがいかがでしょう?

出版社解説
「19世紀半ばから20世紀初頭にかけて、イギリスとアメリカで数多く書かれ、読者の心をつかんだゴースト・ストーリー。書き手の7割を占めていたのが、有名無名の女性作家たちだった。そのあまたある作品の中から、イギリス文学とアメリカ文学、それぞれの分野で長年にわたり活躍してきた二人が八つの短篇を精選、訳し下ろした。
年月を経てなお我々の心に不思議な驚きと共感をもたらす普遍性、読者のおかれた時代や立場によってさまざまに読みとれる広さと深さを兼ね備えた、ヴァラエティ豊かな作品群。このジャンルの決定版ともいえる一冊である。
〈収録作品〉
イギリス編:エリザベス・ギャスケル「老いた子守り女の話」、メアリー・エリザベス・ブラッドン「冷たい抱擁」、シャーロット・リデル「ヴォクスホール通りの古家」、ヴァイオレット・ハント「祈り」。
アメリカ編:シャーロット・パーキンズ・ギルマン「藤の大樹」、ケイト・ショパン「手紙」、メアリ・ウィルキンズ・フリーマン「ルエラ・ミラー」、イーディス・ウォートン「呼び鈴」。」

連城三紀彦「私という名の変奏曲」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日は適当に過去作品の紹介をいたしましょう。最近、新刊で入手できる本が少なくなりつつある連城三紀彦氏の初期作品から「私という名の変奏曲」です。最近ではあまりアクロバティックな作品は書きそうにないイメージがあるのですがこういうのもあるよという極めつけの連城作品です。広げた大風呂敷をどう回収していくのか、読むほうがハラハラしてしまうという要らない心配までさせてくれる極めてトリッキイな作品だと思います(笑)。一人の人間が7回殺されてしまうという、無茶苦茶な設定をどのように着地させるか、興味津々と言う所ではないでしょうか?。当然読むべき人は読んでおられると思いますが、最近少し採り上げられることが少なくなった連城作品なのであえて記事にしてみました。ただし好みは別れそうな作品ですね(笑)。

作者のことば
「他の多くののミステリーと同じように、この物語でも殺人事件が起こります。しかし。普通のミステリーでは最後まで隠しておいた方がいいことが、この作品では第一章で明かされています。事件は他殺と自殺が同時に起こっていて、加害者と被害者の二重奏というべきものかもしれません。その、重要な真相の一部が、最初から読者に提示されています。もうひとつー。この物語には、確かに女主人公を死にいたらしめた犯人と言える人物が存在していまが、それが登場人物の誰なのか、作者自身が知らずにいます。従って、この作品には、"犯人"の章がありません。

二つのルールを破って、それでも、謎があり、解決があるミステリーを書くことが可能か。それに挑んでみたかったのです。」

出版社コピー
「今日、私は死ぬ。私を殺したいと思っている人間が七人いて、その中の誰かに殺されることになるのだ…。その美しさと細すぎる躰を武器に、ファッションモデルとして世界的に成功した〈私〉こと美織レイ子が、ある日、マンションの一室で死体となって発見された。それは、次々と起こる殺人・変死事件の前奏曲に過ぎなかった。ミステリーの新境地を拓いた長編小説。」

柴田哲孝「RYU(りゅう)」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。少し野暮用があって、てんこもりの紙の資料を抱えて東京まで行ってまいりました。羽田空港はいなかモンにはきびしいところで保安検査のゲートを出てから、高松行きの搭乗口までは思いっきり距離があります(一番端です)。ぎっしり詰め込んだ紙の重さでもうぐったりいたしました(笑)。新刊本も買いたかったのですが、もうスペースがなくて文庫本1冊だけです。機内で読むのであんまりヘビーなのはちょっと・・というわけで、柴田哲孝「RYU(りゅう)」です。

沖縄を舞台にした未知動物をめぐる、サスペンスものですね。なかなか面白いんですが、最後の方で明かされる未知動物の正体にはなるほどと思わされる反面、以前の「TENGU」ほどの荒唐無稽さがなく少し拍子抜けさせられます。軽く読めて後味は爽快なので悪くはないでしょう。サイエンスミステリーというには少ししんどい所がありますが連作ものになる要素は揃っています。

ところで、創元推理文庫50周年とかでもらってきたパンフレットをみてますと、この前の復刊リクエストの1位はぶっちぎりでマクロイ「幽霊2/3」だったそうです。10位以内のランクインはもう一作で「殺す者と殺される者」ということだそうです。2冊とも今回の復刊リクエストには採り上げられませんが、今秋に新訳の出版が決定しているそうです。
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