2009年01月

山上たつひこ「光る風」他

イメージ 1

こんばんは、皆様、三頌亭店長です。最近、マンガの復刻本ばかり買っています。今日紹介する作品は2つとも読んだことがあるものばかりなのですが、より完全な版ということで入手してみました。

山上たつひこ「光る風」
言わずと知れた山上たつひこのシリアス方面での代表作。最近、小学館が「光る風」を含む山上たつひこの初期作品を纏めて刊行しております。なかなか暗めのぐっとくるタッチが面白い作品が多いです。「がきデカ」とのギャップがすさまじいですね(^^;)。土俗ホラーめいた作品もたくさんあって私の好みです。「光る風」は少年マガジン連載でしたか・・。よくこんなものを少年誌に半年以上も連載できたものだとよく思います。内容は帯の文句が調度いいですね、その通りです(笑)。

楳図かずお「猫面」
これもトレース版で何度か読んでおります。貸本時代のドロドロしたエネルギーが凄まじいです。南條範夫もかくやとばかりの残酷描写の大盤振る舞いで、結末に全く救いがありません(^^;)。絵の迫力というか、少し荒いタッチの分、なんか凄まじいですね。あまり万人にオススメというわけにはいかないのですが、強烈な作品です。

前川道介翻訳「独逸怪奇小説集成」

イメージ 1

こんばんは、皆様、三頌亭店長です。以前から少しづつ紹介しています前川道介氏の翻訳です。同志社大学の独文の先生です。昔、なんとなく野暮ったいような気がしていたドイツの怪奇物が大変面白いものだと知ったのはこの方の訳業によるところが多いです。例によってこの方面に早く着目したのは澁澤龍彦氏で、どのエッセイだったかわすれましたが、前川道介氏の『ドイツ怪奇文学入門』(昭和40年,綜芸社)を紹介していました。当時としては唯一のドイツ怪奇小説の入門書でした。創土社のエーヴェルスやシュトローブルの傑作選も前川道介氏の翻訳でした。参考までにこの方の翻訳や著作のリストをご紹介しておきます。
http://www1.doshisha.ac.jp/~ksuzuki/varia/shoshi.html

この前でた「独逸怪奇小説集成」は前川道介氏の翻訳によるドイツ怪奇文学傑作選です。この方面を読んだことがない読者の方に三頌亭が自信を持ってお薦め出来る数少ない本です。そうろそろ新刊もなくなりそうなのでご紹介しておきます。ちなみに三頌亭の本は箱が日焼けしているせいで大変安かったです(笑)。

レックス・スタウト

イメージ 1

イメージ 2

こんばんは、皆様、三頌亭店長です。これといってお出しするものもないので今日はまだ取り上げたことのないものをいってみましょう。レックス・スタウトというと私の中では「野獣死すべし」のニコラス・ブレイクとおなじ引き出しの中にはいっています(地味です(笑))。美食家の探偵ネロ・ウルフの活躍するシリーズは本国アメリカでは人気があるそうですが、なんとなく読んだ範囲では地味(笑)な感じがしてます。かなり前に読んだので大分記憶が薄れかかっているのですが、「毒蛇」「腰ぬけ連盟」「ラバー・バンド」 「赤い箱」「料理長が多すぎる」あたりがかろうじて記憶にあります。そのうちで面白かったのは「料理長が多すぎる」なのですが、ミステリと別のところがよかったです。料理を好きな方はオススメかもしれません。作中の料理はまことに豪華です(笑)。 とはいうものの翻訳はそこそこ出てますね。お暇な方は一度のぞいてみてください。

追記;クイーンとマクロイはPBギャラリーです。

北森鴻「虚栄の肖像」

イメージ 1

こんばんは、皆様、三頌亭店長です。きょうは積読本の消化です(笑)。買った時に2編は読んだのですが、最後の「秘画師遺聞」だけ読んでいませんでした。そう力の入る所のない短篇集なのですが、それがよろしいです。個人的な好みは「葡萄と乳房」と「秘画師遺聞」でした。マンガの方で賑やかな「ギャラリーフェイク」とか「ゼロ」とかがありますので、新機軸というわけにはいかないのですが、北森鴻さんなので活字ならではのいいところを見せて欲しいとあえて言っておきましょう(笑)。

出版社コピー
「舞い込んだ不思議な仕事。墓前での奇妙な花宴。そこで依頼されたのは肖像画の修復。報酬は、桜を活けた古備前というが…表題作ほか、藤田嗣治の修復を依頼された佐月が偶然、十五年前に別れた恋人に再会する「葡萄と乳房」。暁斎の孫弟子らしき謎の絵師を探るうちに思わぬ真実が立ち現れる、書き下ろし「秘画師遺聞」の全三篇。北森ワールドに浸る絵画修復ミステリー傑作連作短篇集。」

日影丈吉「地獄時計」

イメージ 1

こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日は幻想的な短篇小説の名手、日影丈吉の長編推理小説です。じつは日影丈吉の長編小説というのが気に入ったものがなくて、あんなに短篇はいいのに長編になるといささか切れ味が落ちるというのが三頌亭の昔からの印象です。もちろん大いに異論のあるところだとは思いますが・・。

「地獄時計」はもう晩年の作品、1987年の出版です。読もうと思いながらなかなか手が伸びずにほっておいてあったものでした。読んでみるとやはり独特の雰囲気があっていいですね。ミステリーてきな面白みは少し少ないないかもしれませんが、少しレトロな雰囲気の犯罪小説です。とくにカトリックやユダヤ教の教義について書き込まれていてこれが犯人の動機とかかわりがあるという仕組みになっています。日影丈吉の長編小説ではベスト3に入れてもいいですね。

帯よりのコピー
「子供の頃から私は麻布にあった天主公教会に通っていた。毎日曜日、父に連れられて弥撒に出席していた。ジャンもそこにいた。ジャンの存在をはじめて意識したのは、私がまだ十五歳のときだった。(中略)
地獄の時計のえは私も見た記憶がある。いちめんに文字盤が描かれ、周囲を時をしめす数字が取巻いている。それは十二ではなく二十四あった。一日の二十四時である。そして中央に悪魔(サタン)が坐っていた。(中略)
ジャンの告白を聞いて、私は具象性のない恐怖を思いだした。カトリック教徒のはしくれとして、その恐怖が胸に沁みこんで来た。そして、それがジャンの私にいおうとした最も重大な告白だったことがわかった。(本文より)」
最新コメント
ギャラリー
  • 萩尾望都「11人いる!」&「スター・レッド」
  • 萩尾望都「11人いる!」&「スター・レッド」
  • 萩尾望都「11人いる!」&「スター・レッド」
  • 萩尾望都「11人いる!」&「スター・レッド」
  • 和田慎二傑作選「砂時計は血の匂い」他
  • 和田慎二傑作選「砂時計は血の匂い」他
  • 和田慎二傑作選「砂時計は血の匂い」他
  • 和田慎二傑作選「砂時計は血の匂い」他
  • 花とゆめ・1975年5月5日号
アーカイブ
  • ライブドアブログ