こんばんは、皆様、三頌亭店長です。このところ古書店からカタログが届くのですが、コスト高でなかなか手が出しにくい状態です(笑)。最近あまり本を読む時間がないのでどうしてもブツのほうへ興味が行きがちです。とりたててないので、50年代風表紙ギャラリーということで2冊用意してみました。大分瑕がはいってボロボロになってしまってますけどご勘弁ください。シマック「再生の時」は初期の傑作です。アイリッシュは三頌亭の趣味ですね(笑)
2008年08月
こんばんは、皆様、三頌亭店長です。ちょっと野暮用であちこち行ってました。雷雲でえらく羽田で待たされたりと散々でございました(笑)。きょうはなにをいまさらというSF作品、ヴァン・ヴォークトの「宇宙船ビーグル号の冒険」です。ダーウィンの「ビーグル号航海記」のパスティーシュであることは題からもよく分かります。ミステリ学部のSF課題のときはベストに入れませんでしたが、無類の面白さです。なんといってもでてくる4つのエイリアンの造形が素晴らしいです。映画「エイリアン」のモデルともいえるイクストルをはじめどれも大変魅力的な設定となっております。SFエンターテイメントの傑作といって間違いのない作品です。えっ何?今品切れですと・・、犯罪ですなこれは(爆)。
出版社・コピー
「超光速の大型宇宙船ビーグル号は科学者を満載して宇宙の探索に出発した。しかしその行く手には、人類の想像を絶するような恐るべき宇宙生命体たちが宇宙船を乗っとらんとして待ち構えていた。一見、猫のような生物、宇宙空間に棲息する鳥類、人類の科学の粋とエイリアンたちの超能力が、壮大な宇宙を背景に手に汗にぎる死闘を展開する。」
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「超光速の大型宇宙船ビーグル号は科学者を満載して宇宙の探索に出発した。しかしその行く手には、人類の想像を絶するような恐るべき宇宙生命体たちが宇宙船を乗っとらんとして待ち構えていた。一見、猫のような生物、宇宙空間に棲息する鳥類、人類の科学の粋とエイリアンたちの超能力が、壮大な宇宙を背景に手に汗にぎる死闘を展開する。」
こんばんは、皆様、三頌亭店長です。このところ翻訳ミステリのお話に終始しております。今日の話題は写真の本です。カーの作品に「うつろな男」なんてあったかな?というひとは正解ですね(笑)。イギリス版の「三つの棺」(イギリス版の原題「The Hollow Man」)です。当然、日本語訳がハヤカワ文庫(三田村訳)でていたのですが、これに誤訳があるといいならわされてきました(現在は訂正済みらしい)。で実際のどれぐらいおかしいのだろうか?といつも思っていましたが、そういうことを自分で確かめたことはありません。実は日本語訳のほうを大分前に読んだことがあるのですが、全く気がつきませんでした。ためしに知り合いに聞いてみるとやっぱりどこかわからないということで以前から少し確かめてみたい気がしていました。実をいうとカーの文章はそう難しいものではないのです。アメリカ人(偏見?)ですし、セイヤーズやアリンガムあたりに較べるとよっぽど楽です。鴎外の「即興詩人」並みの訳を要求するわけではなし、そうそうおおきな誤訳はおこらないのではないかと思っていました。
でですね、テキストを2つ並べてみたのですが、こりゃすぐにはわからんですね(爆)。しかたないのでネットで解説しているところはないか調べてみたのですがないです。なんでも二階堂さんと森英俊さんの指摘した文章があるらしいです。仕方ないので最後50頁くらいを日本語訳と照らし合わせて1箇所だけおかしい所を見つけました。以下がそれです。未読の方はネタバレですので、気をつけてください。
原文:「Of course, we should have realized no bullet had really been fired.」
三田村訳:「もちろん、われわれは弾丸が実際に発射されたことに気づくべきだった。」
以上の部分です。「no」が訳せていないです。しかし前後のお話からスルーしてしまいそうですね(笑)。致命傷といえば言えなくもないですが、これひとつであの悪名は少し酷かなとも思いました。またこれ以外にもあるのかもしれません。ご存知の方はご教示いただけるとありがたいです、よろしくお願いいたしますm(__)m 。
追記:iizuka師匠ご教示の部分
奇術師フレイとグリモー教授の会話より(最初の「脅迫」の章)
I have a last question for the famous professor.
(ご高名なる教授に最後の質問があります。)
Some one will call on you one evening soon.
(近いうちにある男が夜分にあなたをお訪ねする。)
I also am danger when I associate with my brother,
but I am prepared to run that risk.
(わたしとて弟(*1)と連絡するときは危険ですが、
その危険をおかす覚悟はできていますよ。)
Some one, I repeat, will call on you.
(くり返して言っておきますが、ある男があなたをお訪ねする。)
Would you rather I did - or shall I send my brother?
(それがわたしであるほうが、あなたにはいいですか-
それともわたしの弟(*2)をよこしましょうか?)
上記に原文と三田村訳を示します。「my brother」というところが2ヶ所あります。*1の部分がダブルミーニングで「弟」ではなく「兄弟」が正解となります。しかし*2の部分は「弟」でよろしいです。*1の部分はグリモー教授が危険だということを暗示しています。これば最初の部分で出て来ますが、終りの方でもこの会話の引用があって、全く同じ訳です。
これを誤訳といわれるのはかなりきついですね~。全体から判断すると確かにそうなのですが、見逃しそうですね(^^;)。iizuka師匠、どうもありがとうございました。
でですね、テキストを2つ並べてみたのですが、こりゃすぐにはわからんですね(爆)。しかたないのでネットで解説しているところはないか調べてみたのですがないです。なんでも二階堂さんと森英俊さんの指摘した文章があるらしいです。仕方ないので最後50頁くらいを日本語訳と照らし合わせて1箇所だけおかしい所を見つけました。以下がそれです。未読の方はネタバレですので、気をつけてください。
原文:「Of course, we should have realized no bullet had really been fired.」
三田村訳:「もちろん、われわれは弾丸が実際に発射されたことに気づくべきだった。」
以上の部分です。「no」が訳せていないです。しかし前後のお話からスルーしてしまいそうですね(笑)。致命傷といえば言えなくもないですが、これひとつであの悪名は少し酷かなとも思いました。またこれ以外にもあるのかもしれません。ご存知の方はご教示いただけるとありがたいです、よろしくお願いいたしますm(__)m 。
追記:iizuka師匠ご教示の部分
奇術師フレイとグリモー教授の会話より(最初の「脅迫」の章)
I have a last question for the famous professor.
(ご高名なる教授に最後の質問があります。)
Some one will call on you one evening soon.
(近いうちにある男が夜分にあなたをお訪ねする。)
I also am danger when I associate with my brother,
but I am prepared to run that risk.
(わたしとて弟(*1)と連絡するときは危険ですが、
その危険をおかす覚悟はできていますよ。)
Some one, I repeat, will call on you.
(くり返して言っておきますが、ある男があなたをお訪ねする。)
Would you rather I did - or shall I send my brother?
(それがわたしであるほうが、あなたにはいいですか-
それともわたしの弟(*2)をよこしましょうか?)
上記に原文と三田村訳を示します。「my brother」というところが2ヶ所あります。*1の部分がダブルミーニングで「弟」ではなく「兄弟」が正解となります。しかし*2の部分は「弟」でよろしいです。*1の部分はグリモー教授が危険だということを暗示しています。これば最初の部分で出て来ますが、終りの方でもこの会話の引用があって、全く同じ訳です。
これを誤訳といわれるのはかなりきついですね~。全体から判断すると確かにそうなのですが、見逃しそうですね(^^;)。iizuka師匠、どうもありがとうございました。
こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日はアメリカのサスペンス小説3人衆のひとり、シャーロット・アームストロングを紹介いたします。ミラーやマクロイに較べていかにも細やかな描写が得意な人なのですが今ひとつ人気がないのが残念です。モンロー主演で映画化された『ノックは無用』の作者といえば、その方がとおりがいいでしょうか?
どれがいいかと思うのですが、やはり「毒薬の小壜」あたりがいいでしょうか?。ストレートなサスペンス小説をお望みならば「疑われざる者」あたりも悪くないでしょう。さて「毒薬の小壜」はちょっと他に見当たらない特徴のあるサスペンス小説です。この物語には悪人というものが一切出てきません。それでいながら、後半が見事なサスペンス小説になっています。自殺をするためにと思って持っていた「毒薬の小壜」をバスに置き忘れるということからこの物語が展開していきます。誰か料理に使っては大変と、必死になってみんながその毒薬の小壜を見つけようとします。善意の人に支えられて物語はお決まりのハッピーエンドになりますが、一種の童話のような離れ業だと思います。ご興味のある方は一度お読みになってみてください。
追記:写真の「Dream of Fair Woman」の方は読んだのですが、さっぱり忘れてしまいました(ーー;)。多分未訳作品です。3人一役だったかな。。(^^;)
どれがいいかと思うのですが、やはり「毒薬の小壜」あたりがいいでしょうか?。ストレートなサスペンス小説をお望みならば「疑われざる者」あたりも悪くないでしょう。さて「毒薬の小壜」はちょっと他に見当たらない特徴のあるサスペンス小説です。この物語には悪人というものが一切出てきません。それでいながら、後半が見事なサスペンス小説になっています。自殺をするためにと思って持っていた「毒薬の小壜」をバスに置き忘れるということからこの物語が展開していきます。誰か料理に使っては大変と、必死になってみんながその毒薬の小壜を見つけようとします。善意の人に支えられて物語はお決まりのハッピーエンドになりますが、一種の童話のような離れ業だと思います。ご興味のある方は一度お読みになってみてください。
追記:写真の「Dream of Fair Woman」の方は読んだのですが、さっぱり忘れてしまいました(ーー;)。多分未訳作品です。3人一役だったかな。。(^^;)
たまにはこちらのフォルダも更新しましょう。といってもそろそろネタが尽きつつありますが・・(笑)。ネット上では日本語での紹介は全く無いようなので取り上げます。パンジャマン・ペレとルイ・アラゴン合作のエロティック詩集「1929」です。四季それぞれの詩がひとつづつにマン・レイの写真(フォトグラビュール)が1枚づつついています。この詩集は限定215部で地下出版されました。シュールレアリスム関連の本としては非常に稀少です。現在は写真のように復刻版が出ていてアマゾンでも買うことが出来ます。
この本の出版経緯はこんな感じです。アラゴンが普通のエロティックな詩を作って、マン・レイにイラストを考えてもらって出版しようとしていました。それを聞いたマン・レイが持ってきたのは当時愛人だったキキと自分の写真でした。それを載せて出版したのがこの詩集です。マン・レイや彼のモデルだった「モンパルナスのキキ」については下記を参照してください。
マン・レイ「アングルのヴァイオリン」
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/picture/f_040403.htm
アリス・プラン(モンパルナスのキキ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3
問題は実はマンレイの写真の方なのです。クリスティーズの解説によれば「悪名高きシュールレアリスム本」といわれているらしいです。私は単に有名人のエロ写真だと思いますが・・(笑)。キキとマン・レイがモデルを務めたということで話題性はありますが・・。アンフォールにはふさわしい話題かとは思います(笑)。
追記:さすがにアップしずらい画像なので下記にリンクを書いておきます。嫌な方はご覧にならないようにお願いいたします。
http://fotolios.blogspot.com/2007/08/man-ray-1929.html
この本の出版経緯はこんな感じです。アラゴンが普通のエロティックな詩を作って、マン・レイにイラストを考えてもらって出版しようとしていました。それを聞いたマン・レイが持ってきたのは当時愛人だったキキと自分の写真でした。それを載せて出版したのがこの詩集です。マン・レイや彼のモデルだった「モンパルナスのキキ」については下記を参照してください。
マン・レイ「アングルのヴァイオリン」
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/picture/f_040403.htm
アリス・プラン(モンパルナスのキキ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3
問題は実はマンレイの写真の方なのです。クリスティーズの解説によれば「悪名高きシュールレアリスム本」といわれているらしいです。私は単に有名人のエロ写真だと思いますが・・(笑)。キキとマン・レイがモデルを務めたということで話題性はありますが・・。アンフォールにはふさわしい話題かとは思います(笑)。
追記:さすがにアップしずらい画像なので下記にリンクを書いておきます。嫌な方はご覧にならないようにお願いいたします。
http://fotolios.blogspot.com/2007/08/man-ray-1929.html
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