2008年03月

第2回SF学部課題・「私の好きな荒巻作品について」

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荒巻義雄というと最近では「架空戦記」物が有名ですね。ところで今回の課題は荒巻義雄の初期のSF作品について書いてみましょう。なぜこの人を取り上げようと思ったかというとしろねこ校長先生がベスト・SFとしてあげておられた作品に荒巻義雄「神聖代」があったからです。しかしここまでなら、どなたか好きな人が記事を書いているだろうくらいに思って終わりだったのですが・・。ヤフーのブログ内検索をしますとたった2件しかありません。しかも現在稼動中のブログというとしろねこ校長先生の記事だけということになってしまいます。これはちょっとあんまりだと思い、今回の課題とすることに決定いたしました。

さていろいろと書庫を漁ってやっと見つけてきた荒巻義雄の作品集が写真のものです。「白き日旅立てば不死」などと並んで荒巻義雄の初期の傑作長編です。筒井康隆の解説にもあるとおり、この作品は神話に似た構成で、ヒエロニスム・ボッスの絵に想を得てかかれた著者自身のインナースペース(内宇宙)への巡礼物語です。初めて読んだのは70年代後半でしたが、今読んでもじゅうぶん素晴らしい傑作です。SFというと何かと海外SFの方に目がいきがちですが国産でもこのように素晴らしい作品があることを知っていただきたいと思い出してきました。SF特有の記述もほとんど少ないので、その手が苦手な方にもお薦めです(笑)。

さてもう一つは伝奇SFの「神州白魔伝」です。江戸の奇人平賀源内を主人公にした作品でこちらは完全な娯楽作です。本当は3部作の予定だったのですが、単行本化されたのは「九来印之壷(くらいんのつぼ)の巻」のみでした。この作品は荒巻義雄の伝奇作品の最も始めの作品でした。そのほか初期のSF作品集「時の葦舟」などもよく記憶にあるもののひとつです。この作品集などもどちらかといえば幻想物に近いもので、所謂メカメカ(笑)のハードSFとは性格を異にしています。荒巻義雄は日本のSF作家の中では2番手のイメージのある作家なのですが、キャリアは長く大変面白いものをたくさん残しています。

残念なことにい全は山ほどあった徳間文庫も最近ではあまり見かけなくなりましたが、古書では大変廉価なので見かけましたら一度お読みになってみるのもいいと思います。

山口雅也「生ける屍の死」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。このところ新本格名作選みたいなかんじになっていて、「面白くないゾ!!」という方もおられるとは思いますが、まあそこはお付き合いくださいませ(笑)。今日のお題は写真の本です。ああ、あれかという方も多いでしょう。で皆様、この作品お好きですか?。忌憚のないところをお聞きしたいと思いまして今回記事にしてみました。

或る仮定のもと与えられた謎(命題)を解決するのが本格推理小説であるならばこの作品は純然たる本格ミステリでありましょう。ただこの作品は従来のミステリでは考えられない仮定を条件とした作品でひらたくいえばゾンビを使ったミステリです。「死者が甦る」という推理小説のパロディかアンチミステリか?。なんとなく居心地の悪いものを感じるのは三頌亭だけではありますまい(笑)。その結末は純粋に本格ミステリのそのものであるにもかかわらず・・です。

この作品はSFミステリの近親種といってもよいのでしょう。通常のミステリの設定ではどうしても書ける自由度が限られてくるので、それを変更もしくは拡張したタイプのミステリです。それはそのまま所謂アンチミステリといっても良いかもしれません。作品自体の出来は葬儀に対する知識を盛り込んであって大変いいと思います。スラップスティック風の描写もまあ収まっていて悪くないです。各章に挿まれたいろんなペダントリーも底は割れてますがまあ良しといたします(笑)。蛇足ですが驚異のデビュー作です。作者もこれ以上は書けないだろうと思います。で皆様いかがでしょうか?

余談です。実はこの作品がでたあたりから私はミステリーの新作をリアルタイムに読んでいくのが苦痛になってきて、この作品から5年間ぐらいでミステリーの新作をほとんど読まなくなってしまいました。理由は色々なのですが新作の多くが同年代の人の文章で書かれるようになってきたことも大きいと思います。アニメとマンガで育った人間が文章のよしあしを言うのもお笑いなのですが・・。このあたりは「これが私たちの世代の文章なのだ」ということで何とか最近折り合いをつけることが出来てきているようにも思います(笑)。

ヴァランチーヌ・ユーゴー画集

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女流のシュールレアリストとして、日本ではあまりよく知られていません。多くの挿絵本にその画業がのこされていますが、まとまった紹介というとこの1冊だけしか今のところないように思います。いつの日にか日本で「ヴァランチーヌ・ユーゴー展」が開催されることを心待ちにしています。

創土社の残り物

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。最近、古書の在庫が払底しておりまして、皆様のご興味を誘うような本がございません。今日も適当にそのあたりから抜いてきた本をご紹介いたしましょう。ここ何件かミステリー連発でしたので、幻想物を用意いたしました。今と違い昔はこのような間の出版をしてくれる所は限られてましたので、創土社の翻訳物はほとんど読んだと思います。グスタフ・マイリンクは「ゴーレム」が有名ですが、それ以外の翻訳は少なかったものでした。C.A.スミスはこの本以外は当時翻訳がありませんでした。創土社の翻訳物で心残りなのはエーヴェルスの「吸血鬼」を読まなかったことです。どこか復刊してくれるとありがたいなと時々思います。古書はめぐり合わせが悪かったもので・・(笑)。

日影丈吉選集

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日のお題は写真の本です。なんとなく読みたくなって去年買ったものです。河出書房新社版の傑作選ですね。編者は種村季弘さんです。短篇ばかり良い所を集めてあります。日影丈吉は日本推理作家協会の会長なども務めましたが、純然たる推理小説だけではなくこの選集に収められているような幻想譚をたくさん書いています。どちらかというと幻想譚のほうが得意なのではと密かに思っておりました。学生の頃から日影丈吉や中井英夫、久生十蘭などあまり純文学ぽっくなくて文章の上手い作家が好きでした。

テキストは今までいろんなものが出ましたが、社会思想社の傑作選、牧神社の短篇傑作選、ちくま文庫の傑作選あたりがよくできていたように思います。しかしいずれも絶版なのは残念です。この河出書房新社版も品切れだということですが、ゾッキ本が安く出回っているようです。
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