2007年10月

エリナ・ワイリー「The Venetian Glass Nephew 」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日はあまり取り上げられていないファンタジーの傑作を紹介いたします。エリナ・ワイリーの「The Venetian Glass Nephew」です。この作品はどういったらいいのでしょうか?。現代のフランケンシュタインあるいは「メトロポリス」のアンドロイドの変種とでもいえるでしょうか?。カサノヴァとガラス職人に頼んでヴェネチアングラスの甥っ子を作ってもらうというファンタジーです。その甥が生身の女性に恋をしてしまったからさあ大変、という非常にウイットに富んだファンタジーです。

作者・エリナ・ワイリーはアメリカでは女流詩人として有名です。この作品を含めていくつかの長編小説がありますが、日本ではほとんど知られておりません。アールデコ期に書かれた大変優れた小説だと思います。英語の達者な方ぜひ翻訳をして欲しいと常々思っております。写真は当時の普及版と現在出ているペーパーバック版です。サインの入った限定版もあるのですが読めればいいということでけちってしまいました(笑)。

参考
http://en.wikipedia.org/wiki/Elinor_Wylie

E・R・エディスン「ウロボロス」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。久々のそれらしい本(笑)の紹介です。昨日、アニメの「ゲド戦記」と「ブレイブ・ストーリー」をまとめてみました。感想はまた改めて書くとして、このようなファンタジーが市民権を得て数多く出版される状況に驚いています。やはりトールキンの「指輪物語」の映画化の影響が大きかったかもしれません。

今日紹介するエディスン「ウロボロス」はヒロイックファンタジーの奇作でありクラッシックスである作品です。古いお話で恐縮ですが、30年近く前に写真のバランタイン・ブックスのペーパー・バックを手に入れて読みました。当時、月刊ペン社から「邪龍ウロボロス」として上下巻の翻訳が出る予定でしたが、出版社の事情でとうとう下巻が出ませんでした。90年代に入って東京創元社からやっと完訳が出ました(写真参照)。

このエディスン「ウロボロス」は少数の読書家や蒐集家の間だけで珍重されてきた奇作です。その理由は300年前の擬古文で書かれた作品でマスマーケットには適していなかったからでした。また作者のエディスンについてはよく分かっていないことが多く、その作品数も長編6作品のみで作家を本業としていないひとでした。「ナルニア国物語」のC・S・ルイスをはじめとしてこの作品を絶賛する人はかならずこのエディスンの文体に言及しています。残念ながら当時の私では英語版を読む力に程遠いものがあり、悪戦苦闘の読書でした(笑)。日本語訳に暇のかかった原因はこの部分にあります。翻訳が成功しているかどうかは写真の本でご確認ください。大変努力してあります。「ゴーメンガースト」や「指輪物語」と並ぶ傑作ですので紹介しておきます。

出版社・コピー
「文武に秀でた高貴なるジャス王とその二人の弟を戴く修羅国は、水星全世界に勇名を馳せていた。だが一方の強国、恐怖と権力の化身ゴライス大王率いる魔女国が、世界に覇をとなえるべく修羅国に臣下の礼を要求してくるや、ここに水星を二分する戦乱の火蓋が切って落とされた! 天馬がり魔獣が咆哮する英雄ファンタジーの一大金字塔!」

近況・その2

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。仕事であちこちでかけておりましたので、三頌亭も放置状態です。申し訳ございません。今日ご紹介する本は少し違う毛色の本です(笑)。私事にわたり恐縮なのですが、夏ごろからカミさんが騒いでどうしようもなくなって息子(中学生)の家庭教師をやっております。なんでももう後ろに何人もいないほど酷い点数らしく、さすがに担任の先生にも「もう少し勉強した方がいいのでは・・」と言われる始末らしいです。本人はそれほどでもないらしく「いいじゃん」とかいってゲームに夢中なのが最悪です(爆)。加えてカミさんの方からは「最低でも今の点数の倍にしろ!」などと身のほど知らずな要求がででおりまして・・、私は「ドラゴン桜」じゃありません(笑)。

というわけで数学と英語の問題集を漁りにいっていたら、こんな本を見つけましたソルテー夫妻の「なぜ初等幾何は美しいか」です。現在研究されている数学とはほぼ無縁の本ですが、初等幾何の精華を網羅した内容です。基礎的なものから始まってフォイエルバッハの定理などほぼ最高難度のものまで大変上手く、流れるような定理の導出が素晴らしいです。高校生程度ならば読んでいけると思います。パラパラめくりながら見ていると懐かしい物を見つけて面白かったです(笑)。

ところで余談ですが彗星がきています。ホームズ彗星といいますがつい最近まで大変暗かったのですが、バーストを起こして急激に明るくなって2等星くらいになっています。ここ最近では最も明るい彗星になりましたが、かなり拡大しないとコマやテイルが分からないそうで、肉眼で見た限りでは普通の星のような感じです。時間のある時にご覧になるのもいいでしょう。今、ペルセウス座あたりです。

フリッツ・ラング「メトロポリス」

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やっと買って見ることが出来ました(笑)。非常にいい状態のプリントを使って、現時点であたうる限りの再現を施したヴァージョンだそうです。ラングの「メトロポリス」については説明は不要でしょう。サイレントムービーのラストを代表する大作です。80年代の初め、グリフィス「イントレランス」とアベル・ガンス「ナポレオン」と相次いで再上映されたものを見たのが初めてでした。サイレントムービーというと少々馬鹿にしていたのですが、この3本の映画をみて認識を改めた憶えがあります。映画技法のほとんどがこの時代にすでに出来ていたということに驚きましたし、現在これだけの規模と費用を投入した映画というのはもう作れないと思います。それにもまして様々のイメージの原型溢れており、ラングという人がいかに映画作家として優れていたかがよくわかる映画です。今回、完全ではないにせよデジタライズされて新しいバージョンの「メトロポリス」になったことを喜びたいと思います。

参考
http://www.ivc-tokyo.co.jp/yodogawa/ma03.html

蘆原英了「僕の二人のおじさん、藤田嗣治と小山内薫」

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こんばんは、皆様、三頌亭店長です。今日紹介する本は復刻ですね。蘆原英了という方ご存知でしょうか?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%98%86%E5%8E%9F%E8%8B%B1%E4%BA%86
シャンソンや舞踏の評論家として知られていますが、古書の世界では希代のコレクターでした。彼の蔵書は現在、「蘆原コレクション」として国会図書館に寄贈されています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/theme/theme_honbun_101078.html
新宿書房の「僕の二人のおじさん、藤田嗣治と小山内薫」は彼の自叙伝といってもよいでしょう。なかなか興味は尽きない本です。以前買いそびれた方、興味がおありの方はどうぞ。

出版社コピー
「一人は世界的な画家、フジタ・ツグハル。一人は築地小劇場の創始者、オサナイ・カオル。僕はこの二人のおじさんに仕込まれて誕生したマルチ文化人、アシハラ・エイリョウ。稀代のエンサイクロペディストが情熱をこめて縦横に語る大正昭和のモダン東京文化世相。本書は1983年、小社刊行の『私の半自叙伝』を改題、増補、新装したものです 」
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