2006年01月

アラビアのロレンス

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こんばんは、皆様。三頌亭シネマ館の第5夜は「アラビアのロレンス」です。金バッチが3つくらいついてます映画ですので、いまさら言う事があまりないのですが・・(笑)。最近は民生用のVTRが普及したおかげでめっきり映画館へ足を運ぶことが少なくなりました。

美術でもそうなのですが、原寸の大きさで見られることを意図して大体の作者は作品を考えます。また意図している距離(見てもらう)というのもあるでしょう。映画であればシネマスコープ・サイズということになるでしょうか?70丱錺ぅ疋好リーンで撮られました「アラビアのロレンス」はぜひ映画館で見ていただきたい映画のひとつです。

この映画をはじめてみたのはテレビでしたが、後にある映画祭で初めてこの映画をシネマスコープ・サイズで見る機会を得ました。すばらしい迫力で、なんと豪華な映画だったことでしょう。もちろんVTRの画面で見ても映画館で見てもあまり変わらない映画というのもありますが・・。

監督はデヴィット・リーンです。いわずと知れたイギリスの名監督で他にも多くの名画をとっております。なかなか手の早い人だったらしく、国際線に乗り合わせた岸恵子さんを一生懸命口説いたらしいのですがだめだったという逸話が残っております(笑)。ほかのデヴィット・リーン監督作品については「ライアンの娘」と「逢びき」が私のお気に入りの映画であります(笑)。

「アラビアのロレンス」の見所なんですが、あまりいわれない事をひとつ。砂漠が大変綺麗に撮れています。ロレンスがはじめてらくだで砂漠に入るシーンがありますが、その俯瞰撮影の見事なこと・・鳥肌が立ってきます(笑)。カメラは本当に見事な映画です。スピルバーグさんはこの映画を見て、映画の世界に入ることを志したそうです。DVDでは彼のインタビューが入っていてまあまあ面白かったですね(笑)。

ご覧になってない方は一度くらいは見ても損をしない映画だと思います。亡くなった淀川さんの言葉ではありませんが、本当に「富士山のような映画」だと思います。

余談ですが、スピルバーグさんはリンダ・ラヴレイスよりマリリン・チェンバースのほうが好みだったらしいです(笑)。今は有名になったクローネンバーグも「ラビッド」で彼女を起用しておりますが、この世代の映画監督にはもてるのでしょうか?(爆)

「顔のない目」と「地獄」

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こんばんは、皆様。三頌亭シネマ館の第4夜はBムービー特集です。Bムービーというもの、これがなかなか大事です(笑)。映画の醍醐味と申しましょうか?映画の活力源であります。これがなくては映画は楽しくありません。「金返せ!!」とばかりポップコーンを投げつけるもよし、己が不明を恥じてがっくりと肩を落とすもよし、あなたの人生は意外性に満ちて楽しいものとなることでありましょう(爆)。とはいうものの今回はそこそこの出来のものを用意いたしましたので、適当に安心しながら(爆)ご覧いただけるものと信じております。

「顔のない目」・・・フランスの恐怖映画です。田舎もののナイーブな日本やイギリスとは異なり、フランスには超自然的なものが少ないように思います。フランスの恐怖映画の描くものの多くは「人間の怖さ」であります。ジョルジュ・フランジュの監督になります「顔のない目」はこの手の恐怖物の原型となりました。

昔、小学生のころなんとなく見ていてやたら怖くなってしまった私のトラウマ映画であります(笑)。この映画は事故により崩れてしまった自分の娘の顔をどうにか取り戻そうとする外科医のお話です。

ジャン・コクトーはこの映画を評して「あまりにも残酷で、たとえようもなく美しい」といったと伝えられます。ラストに至り、能面のような少女の顔が聖性を獲得していくところが、フランジュ監督の努力の跡です。恐怖映画のひとつのタイプを作った映画です。

「地獄」・・・エログロ大蔵映画です(爆)。中川信夫監督の代表作です。昔見たこの映画の看板はなんとも怖く、極彩色の恐怖に彩られております。「うーん、悪いことをするとこんなになるのか・・」と結構本気にしていた自分を思い出すのです(爆)。

登場人物すべてが地獄に落ちてしまうという、かなりぶっ飛んだ筋です。前半では「この世の地獄」を後半では「あの世の地獄」を描きます。だいぶ前に見たのですが、確か残った人は葬式の料理を食べて食中毒でまとめて「地獄ツアー」に参加するという筋書きでした(笑)。

今となっては稚拙な特殊効果が笑いを誘う面白い映画となっております(笑)。この映画のキイワードは見世物でありますので、皆様は安んじてご覧になられんことを希望いたします(w)。

以上、Bムービー特集でした。

最近作紹介

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皆様、三頌亭店長です。三頌亭は古書店ですので基本的には新刊はあまり扱わないのですが、営業のほうから「アホ!」(笑)という厳しいご意見をいただきましたので、泣く泣く無い頭を絞ってみました(笑)。

一冊目はなかなかタイムリーな本であります。「真説光クラブ事件」~東大生はなぜヤミ金融屋になったか・・皆様は山崎晃嗣という人物をご存知でしょうか?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%B4%8E%E6%99%83%E5%97%A3
高木彬光「白昼の死角」や三島由紀夫「青の時代」のモデルとなった人物ですね。現在、世間を騒がせていますライブドアの先輩格にあたる事件が山崎晃嗣の起こした光クラブ事件です。

私は山崎晃嗣という人物は良きにつけ悪しきにつけ、非常にロマンチックな存在で、ある戦後世代のヒーロー或いは代弁者であったのであろうと思います。それが証拠に高木さんはより強力な悪役ヒーローを「白昼の死角」に登場させてますし、三島由紀夫についてもまったく同じです。

犯罪者でありながらそれをモデルとして扱った作者たちは彼に対して非常にシンパシーに溢れた記述を残しております。保阪正康のこの本は非常に丁寧に当時の山崎晃嗣を知る人たちに取材し、その実像を掘り起こそうとしています。

さて、その首尾や如何?。ご自分でお読みになってご判断くださいませ。ふりかえって、ホリエモンは後世、どなたかが小説のモデルとするでありましょうか?山崎晃嗣との差はそのあたりにあるように私には思えるのです。
http://www3.tky.3web.ne.jp/~taqueshi/mishimastudy.html
(人様のサイトで申し訳ないのですが、バックが山崎晃嗣の写真です。)

「ブラック・サンデー」と「ジャッカルの日」

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こんばんは、皆様。三頌亭シネマ館の第4夜は名匠2人の競演でございます。ジョン・フランケンハイマーとフレッド・ジンネマンの両監督によるベストセラー小説の映画化です。傑作小説の映画化というのはこれまた良作が少なく、映画としては難しいもののひとつです。小説という文学のコンテキストで完全に出来上がったシロモノを、映画の文法に直すわけですから、よくて引き分け大抵は原作より劣るのが常であります。映画化を見込んだ小説というのは別ですが・・。これから紹介する2作品は例外的によくできた作品です。

「ブラック・サンデー」・・・トマス・ハリス(「羊たちの沈黙」の作者)の原作をお読みになった方も多いでしょう。私は当時、この映画の公開を楽しみにしておりましたが、難しい政治状況の中、電話による脅迫事件などもありまして、日本での公開が中止になりました。ビデオ化されて始めて見た作品でした。

この映画はスーパーボウルで賑わうスタジアムへ爆弾を搭載した飛行船を乗りつけようとするテロ計画の全貌を描きます。時系列に進められていくシーンが非常なリアルさを持って迫ってくる傑作です。

とりわけ強烈な印象を残すのがブルース・ダーン扮する犯人のベトナム帰還兵で、平たく言えば「逝っちゃってる」(爆)演技が凄まじいです。この映画のあと、亡くなってしまったロバート・ショウ(「ジョーズ」)も存在感のある名優でしたね。

監督は「大列車作戦」などで知られる、ジョン・フランケンハイマー、非常に説得力のあるリアルな演出が得意の監督さんです。本物の列車を使ったスピード感のあるカットを含む「大列車作戦」も本作とあわせて必見の映画でありましょう(笑)。

「ジャッカルの日」・・・フレデリック・フォーサイスの出世作の映画化です。角川書店版の「ジャッカルの日」を読んだのは中学生のころでした。田舎のこととて、近くの書店はいつまでたっても置いてくれないので、注文して取り寄せたのを昨日のことのように思い出します。

類似した実話をヒントにしたのだろうと思われますが、フォーサイスは黙して語ろうとはしません。この映画はド・ゴール大統領暗殺を計画したスナイパーの物語です。主役に抜擢されましたエドワード・フォックスが颯爽としてカッコイイですね(笑)。

フレッド・ジンネマン監督の淡々としたカメラと演出が緊迫感を盛り上げます。犯人の水も漏らさぬ用意周到な計画がどこで破綻するか、ラストに向かって強烈なサスペンスが見る人の心を奪う傑作です。

フレッド・ジンネマン監督はウィーンの出身、「真昼の決闘」、「わが命尽きるとも」、「尼僧物語」などがよく知られている名監督です。戦後のハリウッド映画はヨーロッパからの映画関係者に多くを負っているのですが、このことはあまり意識されておりません。「亡命者のハリウッド」についてはまた稿を改めて書くことがあるかもしれません。

以上、長くなったのですが、オススメの2作品でした。因みにマリオ・バーヴァの作品は近日上映予定です(爆)。ポスターが感じがいいのであげてみました。

「切腹」と「眠狂四郎勝負」

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こんばんは、皆様。三頌亭シネマ館の第3夜はやはり日本映画です。最近、無性に邦画を見たくなるのですが、なかなか常備しているレンタルなども少なくて困ります。せめてというわけなのですが、ここに紹介する2本も大きい画像が拾えなくて、快適に著作権無視(笑)ができないのにも困ったことです。それだけ見られていないということではないでしょうか?

「切腹」・・・カンヌ審査員特別賞という金バッチ付きの時代劇です(笑)。どこから見ても完璧な映画とうのはこういうのを言うのかもしれません。脚本、カメラ、演出、俳優とほとんどすばらしい傑作といえます。またグイグイ引きこまれる語りの面白さというエンターテイメント性も兼ね備えておりまして、ほぼ言う事無しです(笑)。

難を言えばテーマが重い(武士道残酷物語みたいな)のと、ややショッキングなシーンがあることぐらいでしょう。でもいやな人はご覧にならないほうがいいかもしれませんね(笑)。この映画は井伊家の屋敷に、旧福島藩の浪人・津雲半四郎(仲代達矢)が現れ、「切腹をしたいから玄関先を拝借したい」と申し出るところから始まります。この後、物語は驚くべき展開を見せ、見る人の目を画面に釘付けすることでしょう。

監督は小林正樹監督、俳優陣は仲代達矢、三國連太郎、岩下志麻などオールスターです。因みに丹波さんも出てます(笑)。若い岩下志麻が綺麗ですね~。音楽は武満徹でこれまた良いです。機会があれば一度ご覧になってみてください。

「眠狂四郎勝負」・・・大映がまだ元気で歴然とした撮影所のシステムがあったころの当り作です。なんといっても市川雷蔵でしょうね、これは。原作は皆様ご存知の柴田錬三郎です。原作も大変面白いのですが、映画も市川雷蔵によって別格の地位を与えられているといってよいでしょう。

「眠狂四郎勝負」はシリーズ12作中の屈指の名編です。監督は三隅研次監督です。この人の作品はとりわけカメラと演出がずば抜けています。スターがまだ日本の映画界に厳然と存在したころの娯楽作です。多くの人にお勧めが可能な傑作といって差し支えありません。

以上、2作品、機会がありましたらご覧になってみてください。
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